光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

VerizonとEricssonが、世界初の屋外6Gフィールドコールに成功

期間限定無料公開 有料

期間限定無料公開中

 VerizonとEricssonは10月15日、カリフォルニア州コンコードにあるVerizonの商用ネットワークサイトから、7GHz帯におけるプレスタンダード6Gフィールドコール(Field Call)を成功裏に完了したと発表した。

 Ericssonの6G概念実証キットがサイトに完全に展開され、テスト検証が完了した。これにより、6Gはラボでの統合から実環境へと移行し、屋外および建物内を信号が伝わる状況下での性能評価が可能になった。

 VerizonのCTO 兼 技術開発担当SVPであるYago Tenorio氏は「Verizon 6Gイノベーションフォーラムの創設メンバーとして、Ericssonは、オープンで多様なエコシステムを構築し、6Gを理論研究から実用的で現実世界における現実へと移行させるという、私たちの共通の使命において重要な役割を担っている」とし、「今回の屋外6G実証実験は、業界間の緊密な連携がいかにグローバル標準の策定に必要な重要な技術的知見を生み出し、将来の6Gネットワークの設計、展開、そしてユーザ体験を理解する上で役立つかを示すものだ」とコメントを出している。

 EricssonのVerizon顧客ユニット責任者であるHannes Ekström氏は「本日の発表は、6Gへの道のりにおけるVerizonのリーダーシップを改めて証明するものだ」とし、「こうした現場での知見は、6Gの可能性を実用化可能な技術へと転換し、将来的には、応答性が高く、インテリジェントで、没入感のある接続性を実現する新たな可能性を切り拓くのに役立つ」とコメントを出している。

実地学習のためのフィールドテスト
 Ericssonの6G実証実験機器は、カリフォルニア州コンコードにあるVerizonの商用サイトに設置されている。基地局はサイトのシェルター内に別々に設置され、ユーザ機器は移動式の小型筐体(約3.7m×2.4mの筐体で、屋外および屋内の固定式無線構成に対応)に設置されている。専用電源とバッテリーバックアップを備え、様々な壁材や窓材を用いて屋内カバレッジの差別化テストを実施。400MHz帯キャリアを用いたプレスタンダード6Gスタックを使用。

 この成果は単なる屋内浸透テストにとどまらない。実証されたフィールド結果は屋外通話であり、より広範な概念実証では、6Gのパフォーマンスが屋外から屋内空間へどのように伝わるかを検証している。テストでは、見通し線内および見通し線外の経路、樹木、障害物、様々なガラスや建材を透過する屋外から屋内への浸透など、現実的な条件下でのカバレッジ、スループット、遅延、安定性、および機能動作を評価する。

6Gへの道のり
 今回の成果はプレスタンダード概念実証デモンストレーションであり、商用6Gサービスの開始を意味するものではない。VerizonとEricssonは、フィールド結果の分析を継続し、得られた知見を今後の6Gの研究、テスト、および展開計画に活用していく。6Gは、将来的にはよりプログラム可能で応答性が高く、状況に応じた接続性を実現することが期待されており、没入型通信、AIネイティブサービス、産業オートメーション、ロボット工学など、幅広い分野で新たな体験やユースケースを可能にする可能性がある。プレスタンダード6Gとは、公式規格が確定する前に開発・テストされている初期段階の6Gイノベーションを指す。

編集部備考

6Gの実用化に向け、実験室から実環境へ

 6Gの研究開発では、通信速度や遅延といった技術性能に注目が集まりやすい。しかし、実際のネットワークに導入するためには、理論上の性能を実環境でどこまで実現できるのかを確かめる必要がある。今回、VerizonとEricssonが米カリフォルニア州の商用ネットワークサイトで標準化前の6G技術による屋外通信を実証したことは、6Gの研究開発が実環境での検証段階へ進みつつあることを示している。

 今回の実証では、7GHz帯の400MHz幅の搬送波を用いた6Gの概念実証設備をVerizonの商用サイトに設置し、屋外での通信に加え、屋外から屋内へ電波が到達する際の性能も評価している。検証対象には、カバレッジ、スループット、遅延、通信の安定性などが含まれ、見通しの良い環境だけでなく、樹木や障害物、窓ガラスや建材の違いなども考慮されている。
 無線通信の性能は、使用する周波数や帯域幅だけで決まるものではない。電波の伝搬経路や周囲の構造物などによって、実際に得られる通信品質は変化する。特に、将来の6Gで高い周波数帯の活用が進む場合には、利用する周波数の特性を踏まえ、どのような環境で必要な通信品質を確保できるのかを把握することが重要になる。実験室で優れた性能が確認できたとしても、それだけで広範囲のサービスエリアや建物内で同様の品質を実現できるとは限らないからだ。

 この観点では、今回の実証の意義は、6Gによる通信が成立したという事実だけにとどまらない。商用ネットワークのサイトを利用し、現実の設置環境や電波伝搬条件の下で性能を評価することで、将来の基地局設計やエリア展開を検討するための知見を蓄積することにも意味がある。
 もっとも、今回の発表は標準化前の技術を用いた概念実証であり、商用6Gサービスの開始や、既存の通信方式に対する性能上の優位性を確立したものではない。今後、実証結果が蓄積されることで、理論上の性能と実際の利用環境との間にある差を把握し、実用化に向けた技術や設計の検討が進むことが期待される。6Gの進化を評価するうえでは、最高性能の更新だけでなく、その性能を実際のネットワークでどこまで再現できるかという視点も欠かせない。

実証で得た知見を、6Gの標準化とネットワーク設計へ

 6Gの実用化に向けては、無線技術の性能を高めるだけでなく、異なる事業者や機器ベンダが共通の仕様に基づいてネットワークを構築できるよう、技術の標準化を進める必要がある。今回の取り組みは、標準化が完了してから仕様に沿った設備を開発するというだけでなく、標準化前の段階から実証を通じて知見を蓄積することの重要性を示している。

 通信規格は、多様な機器やシステムの相互接続性を確保し、幅広い市場で技術を展開するための共通基盤となる。一方、規格として成立する技術であっても、実際のネットワーク環境でどのような性能を発揮し、どのような条件で制約が生じるのかは、実証を通じて明らかにすべき部分が残る。実験室での検証に加え、商用ネットワークのサイトを利用した試験を行うことは、現実の電波伝搬や設置条件を踏まえ、技術の実装可能性を評価する機会になる。
 ここで重要なのが、通信事業者と機器ベンダの役割の違いだ。機器ベンダは無線技術や通信設備の開発を担う一方、通信事業者は実際のサービスエリアやネットワーク運用を通じて、利用環境に即した知見を持っている。両者が研究開発の早い段階から協力することで、技術の性能だけでなく、将来のネットワークを設計・展開する際に考慮すべき条件も検討しやすくなる。今回、Verizonの商用サイトにEricssonの実証設備を設置したことも、こうした協業の一例と捉えられる。

 また、Verizonは今回の実証について、将来のグローバル標準の形成に必要な技術的知見を得ることにも意義があると説明している。ただし、今回得られた結果が具体的にどの標準化提案へ反映されるのかは、発表内容からは明らかではない。したがって、実証が標準仕様を直接決定したと見るのではなく、今後の研究開発や標準化、ネットワーク設計に活用できる知見を蓄積する段階と捉えるのが適切だろう。

 6Gの標準化に向けた競争は、個々の技術の優位性だけで決まるものではない。実環境での検証を通じて課題を把握し、その知見を研究開発や仕様の検討に活かすことも、実用化に向けた重要なプロセスとなる。今回のVerizonとEricssonの協業は、6Gを将来の技術構想にとどめず、実際のネットワークへとつなげていくための取り組みとして位置付けられる。

(OPTCOM編集部)