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クラウドとIoT時代に必要な世界最高の処理能力を誇るインターネット・ルーティング・プラットフォームを発表【ノキア】

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 ノキアは6月22日、世界最高の処理能力を誇るインターネット・ルーティング・プラットフォームを発表した。これにより、最新のネットワークの速度と安全性が増し、適応性が格段に向上する。ノキアのFP4チップは、既存のソリューションに比べて飛躍的なパフォーマンス向上を実現しながら、高度なネットワークセキュリティとインテリジェンスも提供する。
 ソリューションの販売は、2017年第4四半期を予定。

 没入型コミュニケーション、IoT、人工知能、オートメーションなど、インターネットの「次なる扉」が開かれると、生産性が一層向上し、我々の仕事や暮らしに更なる変革がもたらされる。ネットワークに対する新たな需要も生まれるだろう。ソーシャルネットワーキングやソーシャルコンテンツによる映像トラフィックの急増はとどまるところを知らず、今後ますます規模が拡大する一方で、新しいセキュリティの脅威が増すことで、より俊敏なネットワークの運用が必要になると考えられている。
 ノキア ベル研究所では、今後5年間でIPトラフィックが2倍以上になり、2022年にはひと月あたり330エクサバイト、年間平均成長率にすると25%に達すると予測している。ピーク時のデータレートの増大はさらに急速で、年間40%近くに上るとされている。この急増の理由は、高解像度のビデオストリーミングや近年注目されている仮想現実といったサービスに対する利用者および企業の尽きない需要にあり、人やモノをつなぐ高速低遅延ネットワークの登場も拍車をかける一因となっている。ノキア ベル研究所では、このネットワーク関連市場のコネクテッドデバイスは2025年までに1,000億台に達すると見込んでいる。
 こうした新しい課題に対処するためには、インターネットインフラストラクチャの再考が必要となる。ノキアIP/Opticalネットワークス事業部門プレジデント、バジル・アルワン氏は「インターネットプラットフォームは、その一部としてHDオンデマンドビデオを完全に組み入れ、同時に数十億台の新しいデバイスへと接続を拡大していくと予想される。この動きが加速すれば、パフォーマンスの大幅な向上、非常に高度なインサイトとセキュリティが必要とされるのはもちろん、経済的なメリットも求められる。ノキアは、本日の発表に代表される高度なテクノロジーでこうした進化のサポートをしていく。グローバルな社会に神経系のように張り巡らされたインフラにおいて、性能、コスト効率、耐障害性、安全性にかつてないほど優れていることはきわめて重要だ」とコメントを出している。

世界最高の処理能力を誇るルーティングプラットフォーム

 Nokia 7750 Service Router のSR-sシリーズは、業界最高クラスの高密度ルーティングプラットフォームとして、シングルシェルフで144Tbpsの構成をサポートする。
 また、ペタビットクラスのルータとして、新たにNokia 7950 Extensible Routing System、XRS-XCを発表。これは、ノキアの主要ルータ製品にとっても業界にとっても大きな飛躍となる、世界最高のキャパシティを実現した最新のルータだ。スイッチングシェルフを必要としないシャーシ拡張により、1基のシステムで576Tbpsまでスケーリングが可能だ。
 ノキアの新プラットフォームは、業界で初めてテラビットのIPフローを実現し、インターネットバックボーンの構成に使用される既存の100Gbpsリンクに対して処理能力を10倍に向上させる。

よりスマートかつ安全なインターネット

 FP4ベースのルーティングプラットフォームには、キャパシティ、パフォーマンス、詳細な可視性、きめ細かい制御、テレメトリー、セキュリティがバランス良く組み合わされている。これにより、ウェブスケール企業とサービスプロバイダは、クラウド、5G、IoTに関連するデータ需要への対応、変化への適応、コスト効率と安全性を確保した拡張を可能にする最新のネットワーキングシステムを構築できるようになる。
 FP4に組み込まれた高度なパケットインテリジェンスと制御技術に、ノキアのDeepfield IPネットワーク分析ソリューションと包括的なSDNポートフォリオを組み合わせることで、効率性と収益機会を最大限に高めながら、セキュリティの脅威を最小限に抑えられる。DDoS攻撃をはじめとする、生産性と経済活動に影響を及ぼすセキュリティの脅威は年々増え続けており、被害も拡大している。Deloitte Globalが公開したテクノロジー、メディア、通信に関する予測レポートによると、その件数は2017年だけでも1,000万件に上るとされている。

Nokia FP4チップのイノベーション

 これらの新システムの基盤となるFP4チップは、画期的なネットワークチップセットだ。FP4は従来製品の最大6倍の処理能力となる、世界初の2.4Tbpsネットワークプロセッサを搭載し、テラビットの処理速度とペタバイトクラスのルーティング性能を実現する。
 このイノベーションは長年にわたるエンジニアリングと研究の成果であり、16nm FinFET Plusなどのチップの最新技術と多次元設計を活用している。またFP4の設計は構造的にも様々なイノベーションをもたらす。例えば、ノキアが新たに開発したインテリジェントメモリは、パッケージサイズを最小化しながらも、パフォーマンスと効率性が向上している。

各社のコメント

 BTのマネージングディレクター兼チーフアーキテクト、ニール・マクレー(Neil McRae)氏は「弊社のネットワークは、日々、家族や友人とのディナーをオンラインで予約したり、最近誕生した孫の写真を共有したりというようなシンプルなタスクを通じて、お客様やコミュニティをつなげている。ネットワークは私たちが想像もつかない方法で世界を変えてきた。BTでは、ミッションの中核として、皆様が必要なときにそこにある最善のネットワークとなることを掲げている。需要が増大し続ける中、ノキア社の新FP4チップとルーティングプラットフォームのような最新イノベーションをクラウドベースのアプリケーションと組み合わせることで、キャパシティ、インテリジェンス、可視性、セキュリティのバランスを取りながらお客様に対応し続けていくことができる。また、弊社ネットワークの構築と運用をインサイトに基づいて自動化するというアプローチに向け、変革を実現することが可能だ。これらのイノベーションは既存のプラットフォームでも活用できるため、弊社の既存ネットワークをスムーズに強化して、新しい構成を補完することで、超高速ブロードバンド、5G、IoT、マシン間通信の新たな波に備えることができる」とコメントを出している。

 DE-CIXのCTO、ダニエル・メルツァー(Daniel Melzer)氏は「DE-CIXは、世界大手のインターネットエクスチェンジ事業者として、業界最高レベルの処理能力、密度、効率性を実現するノキア社のマルチテラビットFP4チップと、それを搭載する7950 XRS-XCルーティングプラットフォームのイノベーションを高く評価している。引き続きノキア社とのパートナーシップを通じて、世界最大の規模と性能を誇るルータを、弊社の相互接続ポイントの中心部に展開していくことを考えている。2017年内にどこよりも早く新しいシステムを展開できることを楽しみにしている」とコメントを出している。

 ACG ResearchのCEO兼主席アナリスト、レイ・モタ(Ray Mota)氏は「ウェブスケール企業は大規模なネットワークを構築して世界中のリソースをつなぎ、データセンタをユーザのより近くに設置して最高のパフォーマンスを引き出そうとしている。ノキア社はデータセンタ間の歴史的な量のトラフィックを処理するために必要となる純粋な処理能力と、クラウド接続環境に欠かせないインテリジェンス、安全性、適応性の能力を組み合わせることに成功した。ノキア社に対してはこれまで、チップとシステム両面のイノベーションのバランスを取り投資を最適化しているという見方がありましたが、今回は市場最速のルータを開発している」とコメントを出している。

 IHS Markit社キャリアネットワーク部門シニア・リサーチ・ディレクター、マイケル・ハワード(Michael Howard)氏は「世界中の大手ネットワーク事業者がビッグデータの分析やソフトウェアによる自動化に適応し、IPネットワークの構築と運用に関する新たな手法を生み出している — これに疑いの余地はない。通信事業者は、格段に優れた性能とキャパシティを実現する高パフォーマンスのネットワークを探し求めているだけでなく、事業の目標である自動化とサービスの俊敏性に対応するためのインテリジェンスと拡張性も必要としている。新しいNokia FP4チップとそれを搭載したシステムはこうしたネットワーク機能の重要な3要素を全て備えているため、今後は利用を検討する通信事業者が出てくるだろう。IoT、5G、マシン間通信が発展する今日のクラウド時代に、ネットワークは間違いなく大規模になり、かつてないほど高度な適応性とセキュリティを備えるようになると考えられる。そうした中で、ノキア社のチップとシステムは、通信事業者が様々なサービスを提供するための支えとなる」とコメントを出している。

 Broadcom社ASIC製品部門シニア・バイス・プレジデント兼ゼネラルマネージャー、フランク・オストイッチ(Frank Ostojic)氏は「ノキアはFP4ネットワークプロセッサで市場をリードしようとしている。16nm finFET Plusプロセスのテクノロジー、Broadcomの業界最先端の埋め込みSerDes、高度なパッケージ化など、最先端のシリコン技術を高度に統合し活用できるとなれば、ノキアが描く市場戦略に他社が追随するしかなくなるだろう」とコメントを出している。