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NEC、石坂産業とスマートプラント実現に向け協業

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 NECは7月14日、石坂産業と協業し、再資源化処理を行なう石坂産業のプラントにおいて、最新のICTやローカル5Gなどのネットワーク技術を導入し、省人化や安心・安全などを推進する取り組みを開始すると発表した。
 同取り組みにおいては、資源リサイクルの先進企業である石坂産業に加えて、ローカル5G構築やAI実装を積極的に支援するインテルも参画して異業種間連携を進め、各社のノウハウ・技術を結集し新たな未来型価値を創出する狙いだ。
 今後3社は共同で実証実験を行い、2020年度下期以降順次、本格導入を進めていく予定だという。

スマートプラント実現に向けた取り組み案

背景

 現在、廃棄物処理においては、人手不足が深刻な問題となっており、また粉じんの多い現場での作業も多く、労働環境の向上も課題とされている。そこで、今回の取り組みではICTの活用によって処理作業の自動化や遠隔制御を実現し、プラントの省人化を進めるとともに、さらなる安全・安心な労働環境を構築していく。

今後の計画

 協業の第一弾として7月より、トラックで搬入される廃棄物の自動容積計測の実証実験に取り組む。現在、持ち込まれる廃棄物は、担当者によるメジャーを使用した容積測定と等級品目によって処理費用を決定している。しかし、この方法は属人的作業であることや、担当者を各エリアに配備しなければならないなどの課題があった。
 そこで同実証ではレーザセンサを用いた自動容積推定技術により、一定の精度を保ちながらスピーディな容積推定を行う。将来的には映像による等級品目の分析を組合せることで査定の遠隔・自動化を実現する。
 また、第二弾以降の取り組みとして、ローカル5Gを活用した重機による廃材処理作業の遠隔操縦や自律運転、プラント処理の映像監視など3社の共創によりアイデアを創出・検討していくという。

各社の役割

NEC:AI技術や遠隔・自律制御技術の導入や、ローカル5Gによる大容量データ活用の提案と実証。

石坂産業:廃棄物処理プロセスにおける知見の提供、実証試験のための処理プラントの提供。

インテル:Society5.0の実現に貢献する新しいビジネス機会の創出に取り組む「IJKK(インテルジャパン株式会社) 1.0」の一環として、インテル Xeon プロセッサーをはじめとした様々なコア技術を提供し、ローカル5G構築やAI実装を支援。

各社のコメント

 NEC執行役員の網江貴彦氏は「本協業により石坂産業が取り組むSDGsに対して最新のICTで貢献し、さらなるSDGsの推進を進めていく。同社のプラントでの各種取り組みに関しては、積極的に公開を行うことで、得られた知見を幅広く共有し、業界全体のSDGs推進にも石坂産業、インテルと共に貢献していく。また、NECはネットワークを柔軟に活用し、人・モノに必要なデータを賢くつなぐ『NEC Smart Connectivity』の提供を加速し、新たな社会価値を創造していく」とコメントを出している。

 石坂産業 代表取締役の石坂典子氏は「革新的な技術を保有する異業種間の連携がオープンイノベーションを創発し、超スマート社会『Society5.0』の実現を加速すると考えている。産業廃棄物処理業界では、プラント設備・重機などによる事故やトラブル、慢性的な労働力不足など様々な課題が山積している。ローカル5Gを導入しIoTやAIといった最新のICT技術を活用することで、それらの課題を解決し、効率的かつ安心・安全な職場になることを期待している。また、本協業を通じて、社員が働きやすく・働きがいのある、先進的なスマートプラントを目指していく」とコメントを出している。

 インテル 代表取締役社長の鈴木国正氏は「本プロジェクトにおいて、ローカル5Gを活用した最新のICT技術の導入を積極的に支援し、SDGs、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進、Society5.0の実現に貢献していく。最新のインテル Xeon プロセッサー上での仮想ネットワーク構築支援やインテル RealSense テクノロジーとNECの画像認識技術などを組み合わせて、安全、安心な産業廃棄物処理・リサイクルプラントの省人化の実現を石坂産業、NECと共に進めていく」とコメントを出している。

石坂産業について:石坂産業は、ゴミを出さない産廃処理を目指し、減量化・リサイクル化率98%を実現するなど、サーキュラーエコノミーの実現に取り組んでいる先進的な資源リサイクル企業。また、業界初のCo2を一切排出しない電動式重機の導入や、プラントでの自然採光による電力削減、地域に根差した里山プロジェクトの推進など、持続可能な経営を行っており、年間約4万人が工場見学者に訪れるなど国内外から注目を集めている。

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