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KDDIとパーソルワークスデザイン、 ITインフラ運用業務のアウトソーシングソリューション提供に向け業務提携

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 KDDIとパーソルワークスデザインは7月1日、企業のDX推進に向けた人材効率化、ITインフラ運用の品質向上・コスト削減をサポートするため、ITインフラ運用業務全般のアウトソーシングをワンストップで受託するソリューションの提供に向け、6月22日に業務提携していたことを発表した。

両社の役割

背景・課題について

 昨今、企業の情報システムにおいては、中核事業のDX化や働き方改革に伴うリモートワークの導入などの「攻め」と、ITインフラの運用・監視や情報セキュリティ対策などの「守り」を同時に進めていくことが求められている。
 「守り」の業務の中でも、企業内の通信ネットワークの運用・保守や、エンドユーザからの問い合わせ窓口であるITヘルプデスクなどは、需要に関係なく一定の人員を確保する必要がある。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークの急増など、ITヘルプデスクへの問い合わせ需要の増加に対して、突発的な増員などの対応は難しく、コストと品質維持の両立は大きな課題となっている。
 さらに、情報システム部門の人員リソースに限りがある中で、企業の「攻め」の中心を担うDX推進人材は大幅に不足するなど、ITインフラの運用負荷削減による効率的な人員配置・人材シフトも課題になっている。

業務提携内容

 これらの課題に対応するため、さまざまな通信ネットワークの提供・監視・運用のノウハウを持つKDDIと、ITヘルプデスクの運用やコンサルティング、スタッフ教育などの豊富なノウハウと実績を持つパーソルワークスデザインは、次の内容で業務提携した。

ITインフラ運用業務のワンストップでのアウトソーシング提供
 両社のセンターを一体的に運用することで、問い合わせ対応から実際のトラブル解決に至るまでをワンストップで対応することが可能になる。これにより、業務ごとのアウトソーシングと比較して迅速な状況把握やトラブル解決などが可能になり、運用品質が向上する。
 また、両社のセンターで問い合わせ需要の増加に伴う増員などの対応も柔軟に対応できるため、企業の事業継続にも貢献する。
 さらに、企業ごとに異なる運用上の課題に対し、両社のナレッジやノウハウを活かすことができるため、コストを抑えたアウトソーシングの提供が可能になる。これにより、情報システム部門のアウトソーシングを促進し、企業の運用にかかる人員効率化やコスト削減を行うことができるため、DX推進などの戦略的な業務への人材シフトも可能になる。

オペレーターの需要予測や採用・教育での協力
 両社が協力し、オペレーターの需要を予測することにより、同ソリューションの提供前から人材を確保するリソースプールを構築する。これにより、ユーザへの迅速なアウトソーシングの提供が可能になる。
 また両社は、同ソリューションの提供に必要な教育カリキュラムの整備など、採用や教育でも協力する。これにより、高品質なオペレーター対応の提供に加え、パーソルワークスデザインのアウトソーシングセンターの所在地である宮崎県と長崎県において、未経験者などの幅広い人材の雇用が可能になり、地域経済の活性化を支援する。

 両社は「アウトソーシングソリューションの提供を通じて、企業のITインフラの運用コストの削減、企業のDX推進のための中核事業への人材シフトを支援する」としている。

ソリューションの概要

 KDDIでは、2010年より、WAN、LAN、インターネット、モバイルなどユーザ企業の通信ネットワークの監視・運用を一体的に受託する「ITアウトソースセンター」を設置し、約250社の顧客からWAN/LANのネットワークを中心としたITインフラの運用・運営業務の業務受託を行っている。
 パーソルワークスデザインは、1996年より、ITヘルプデスクのアウトソーシング事業を開始し、宮崎県と長崎県にあるアウトソーシングセンターにおいて、24時間365日のヘルプデスク運用など、数多くのユーザのアウトソーシングを受託している。さらに、企業や自治体などにおけるさまざまな問合せ窓口業務をはじめ、ヘルプデスク協会認定のストラテジックパートナーとして、各種コンサルティングや教育など幅広いサービスの提供も行っている。
 同ソリューションでは、このような実績がある両社のアウトソーシングセンターを一体的に運用することで、通信ネットワークの運用・監視に加え、ユーザが利用している社内アプリケーション、クラウドサービスなどの社内OA環境に対する問い合わせ対応までを一本化したアウトソーシングを提供する。

サービスの全体イメージ

ソリューションの詳細

システム監視
 通信キャリアとして培ってきたノウハウや運用インフラを活用し、LANを含めたエンドツーエンドでのITインフラの障害ポイントをあらかじめ抽出し対策をおこなうとともに、万一に備え、24時間365日、ユーザのITインフラを守り、ビジネスのダウンタイムの最小化に貢献する。

システム運用
 設定情報の保全や最新化やパスワードの定期変更など、ユーザが行う日々の業務や作業管理を代行することで、ユーザのITインフラの安定稼働を維持するとともに、ユーザの稼働をDX推進やIT刷新の企画・戦略業務へのリソースシフトに貢献する。

ITヘルプデスク
 エンドユーザからの問い合わせ受付の他、日常のアカウント登録、FAQの最新化などの業務を提供する。KCSや各種AIツールを利用したEサポート導入により、高品質で効率的なアウトソーシングを提供でき、ユーザのITヘルプデスク運用負荷の削減やエンドユーザ対応の満足度向上を図る。

運用の見える化
 同ソリューションで提供する各種業務に対し、あらかじめ品質基準を設け、達成状況や改善活動を定期的に報告する。これにより、ITインフラの稼働状況や運用品質、エンドユーザの満足度など運用状況の見える化を図るとともに、統計・予測情報の提供を通じ、今後のIT戦略の企画・検討にも活用できる。