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IIJ、国内初となる5G SA方式対応のeSIMを開発

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5Gコアネットワーク技術に続き、フルMVNO、ローカル5Gサービスに必要となる要素技術を確立

 インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は11月2日、国内で初めて5G SA(Standalone/スタンドアローン)方式に対応したeSIMを開発し、動作検証を完了したことを発表した。

 IIJでは2018年3月より、フルMVNOとしてサービスを展開しており、その一環として2019年7月よりeSIM対応のデータ通信サービスを提供している。現在、ローカル5Gでの活用を見据え、5G SA方式に対応したコアネットワークの技術開発・実証を進めている。
 今回IIJでは、GSMA標準のeSIMに、3GPPで規格化された5G SA対応の機能を追加したeUICCプロファイルを搭載のうえ、市販の5G SA対応スマートフォンにダウンロードし、試験用の5G SA基地局、5G SAコアネットワークで動作検証を行い、通信が可能となることを確認した。5G SAに対応したeSIMの開発、動作検証を完了させたのは、IIJが国内初となる(IIJ調べ)。

今回の開発によりIIJは、5Gコアネットワークを用いたフルMVNO、およびローカル5Gにおいて、5G SA方式の接続サービス提供に必要となる要素技術を確立した。

開発の背景

 現在利用が始まっているキャリアの5GサービスであるNSA(Non-Standalone/ノンスタンドアローン)方式は、4Gのコアネットワーク基盤に5Gの基地局を追加したシステムで構築される。5G NSA方式では、5Gの基地局とは別に4Gの基地局も運用している必要があり、設備の二重投資となることから、特にローカル5Gのような利用者自身が基地局を整備して利用する自営網では導入が困難となっている。これに対して、5G SA方式は、4G設備に依存せず5G基地局のみで利用でき、また、高速通信だけが特長の5G NSAにくらべ、5G NGC(次世代コア)と組み合わせることで、高速通信に加えて低遅延・多数同時接続など5G本来の性能を享受することができる。そのため、ローカル5Gでは5G SAの導入が早期に進むと期待されている。

IIJはフルMVNOとして、他社に先駆けて市場に5G SA対応SIMを提供するため、SIMカードベンダーであるG+D Mobile Security社とともに開発を進めてきた。今回のeSIM開発では、5G SAで標準化された新しい規格への対応として、SIMカードに保存されている加入者識別情報(SUPI:Subscription Permanent Identifier)を暗号化したSUCI(Subscription Concealed Identifier)を導入し、セキュリティの強化を図っている。

今後の展開

 5G SA対応eSIMは、IIJのフルMVNO基盤で提供するサービスや、ローカル5GにおけるIoT/M2M用途などを想定しており、IIJでは、製造業の工場や流通倉庫、医療現場など今後需要が見込まれる分野で、お客様のローカル5G導入を支援していく。
今回、5Gコアネットワークに接続するeSIMの5G SA対応が完了したことにより、対応機器、端末が商用化され次第、速やかに5G対応できる体制が整ったことになる。
 IIJは「5GフルMVNO、ローカル5Gサービス並びにそれらをベースとしたIoTサービス提供などに向けて、引き続き準備を進めていく。また、プラスチックカード型のSIMについても、今後5G SA対応を推進していく」との考えを示している。