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5G と高速AIディープラーニングを活用した、鉄道インフラのリアルタイム遠隔・自動監視の実証試験を開始【中央復建コンサルタンツ、ドコモ、京急電鉄、横須賀市】

DX/IoT/AI 無料

維持管理の効率化と安全性の向上をめざす

 中央復建コンサルタンツ、NTTドコモ(以下、ドコモ)、 京浜急行電鉄(以下、京急電鉄)、横須賀市の4者は11月20日、鉄道インフラのリアルタイム遠隔・自動監 視システムの実証試験を、京急電鉄の久里浜工場で12月21日から開始すると発表した。

 鉄道車両や線路の 4K映像を撮影し、5G網内のクラウド基盤においてAIのディープラーニングでリアルタイム解析した後、即座に遠隔監視室に配信する。5Gを活用したリアルタイム4K映像配信において、高速 AI ディープラーニング解析を実現するのは国内初(※)の技術だという。4者は「本システムにより、リアルタイムで精度の高い遠隔・自動監視を実現し、鉄道インフラ維持管理の効率化や旅客・ 鉄道係員の安全性の向上をめざす。また、横須賀市が地方自治体の視点で、公共インフラの維持管 理への活用可能性の検討に参加することにより、全国の“鉄道以外のインフラ”への技術の応用も検討していく」としている。
(※11月20日現在、ドコモ調べ)

 この実証は、総務省事業である「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証に係るインフラ分野におけるローカル5G 等の技術的条件及び利活用に関する調査検討の請負」を、4者がコンソーシアムを組んで実施するもの。4者は「人口減少と少子高齢化の影響から、社会インフラの維持管理における人手不足が将来的な課題となっており、鉄道事業者も同様の課題を抱えている。本実証では、中央復建コンサルタンツの知見とドコモの技術を掛け合わせて効率的なインフラ維持管理システムを実現し、産学官連携を通じて多業種への技術展開を図る」としている。

実証のイメージ

 本実証は、通常時と災害時を想定し遠隔監視システムの実証を行う。
 通常時の監視として、固定4Kカメラで車両台車を撮影し、ひび割れがないかを解析・監視する。また、災害時の監視として、ドローン4Kカメラで線路を撮影し、倒木などの障害物がないかを解析・監視する。
 解析・監視にあたり、撮影した4K映像を5Gの大容量通信を活用してクラウド上に伝送し、クラウド上の AI が映像を解析して、異常を検出する。解析結果は、5G によってリアルタイムに配信され、遠隔地の 管理モニターに表示する。

 なお、解析時に活用する高速 AI ディープラーニングの解析エンジンは、MEC(Multi-access Edge Computing)クラウド上に構築し、リアルタイムかつ高精度な AI解析と、高セキュリティな映像データの収集・ 解析・蓄積を実現する。このとき、映像の取得から解析後の配信までの時間は 1.5秒以内を目指す。これによりインフラ維持管理業務への実装可能性が飛躍的に高まるという。

 4者は「以上を通じて、通常時は車両の遠隔・自動監視によるより一層の安全性向上を、また、災害復旧時は 線路の遠隔・自動監視により鉄道係員の安全確保と業務負担軽減をめざす」としており、「今後は、5G と高速AIディープラーニング技術、4K映像配信技術を用いて、鉄道事業に限らず、 社会インフラの維持管理における課題解決を推進していく」との考えを示している。

各者の役割

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