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ローカル5Gを活用したAI 画像認識によるブリ養殖の効率化に向けた実証実験の開始

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 シンクレイヤは11月7日、ZTVを中心とした13の団体・事業者からなるコンソーシアムにて実施される『ローカル5Gを活用した水産業分野における実証実験』を、三重県尾鷲市において9月より開始したことを発表した。
 同実証実験は、総務省の「令和4年度課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に8月5日付けで採択されたものとなる。

 日本は豊かな海に囲まれた島国であり、その恵みでもある水産物を消費する大規模な市場が存在し、 多くの人が水産業に従事している。しかしながら、この30年間で国内の海面養殖の事業者数は三分の一、従事者数は二分の一と大きく減少しており、生産量増加への対応、餌代・人件費等のコスト削減や少子高齢化による人材不足への対策、給餌操船業務における安全性の向上が課題となっている。

 同実証フィールドとなる尾鷲湾は、多数の漁船が往来する港湾。同港でローカル5Gを採用することにより、他の無線の影響を受けることなく、また、湾内の任意の場所において安全で高速大容量な通信環境を構築でき、複数の4K高精細映像を同時に伝送することが可能だ。また、この映像をAI解析に用いることにより高精度かつ高速なブリ養殖の給餌判定が可能となり、遅延や誤りのない給餌機の制御を行うことで海面養殖業における課題解決をめざすという。
 同実証実験では、三重県尾鷲市の尾鷲湾内にローカル5G基地局を整備し、湾内の潮位変動等における電波伝搬の精緻化およびアンテナ角度調整による柔軟なエリア設計のための技術実証を行うと共に、尾鷲物産が所有するブリ養殖給餌船に設置する高精細カメラ映像をローカル5G経由で陸上のサーバまで伝送し、AI解析および操船確認を行う。
 シンクレイヤは、これまでのZTVのインフラ設備をはじめとした全国のケーブルテレビの通信高度化に関する多くの構築実績を活かし、システムインテグレーション全体の統括を担い、本実証実験の有効性の検証を担当する。シンクレイヤは「当社では、本実証実験で得られる技術と知識を基に、ローカル5Gを用いた具体的なサービ スの実現をめざす。また、今後もこのような取り組みを通じ、安全・安心で持続的な街づくりに貢献していく」との考えを示している。

実証実験に参加するコンソーシアムメンバー一覧