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スペースXの「Starlink」を、au通信網のバックホール回線として利用開始【KDDI】

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 KDDIは12月1日、静岡県熱海市初島で、衛星ブロードバンドインターネット「Starlink」をau通信網のバックホール回線として利用する基地局の運用を開始したと発表した。
 同社は「auの高速通信を日本中どこででも体験できることをめざし、これまでサービス提供が困難とされていた山間部や島しょ地域、災害対策など、今後全国約1,200カ所に順次提供を拡大していく」との考えを示している。

 Space Exploration Technologies (以下、スペースX) が開発した「Starlink」は、世界中に高速・低遅延の衛星ブロードバンドインターネットを提供している。「Starlink」の通信衛星は、高度550kmの低軌道上に配置されており、従来の静止軌道衛星に比べて地表からの距離が65分の1程度と大きく近づくため、大幅な低遅延と高速伝送を実現している。
 KDDIは2021年9月から国内にて、「Starlink」の一連の技術検証を行ってきた。auの音声通話やデータ通信のサービス品質を確保するため、au基地局のバックホール回線には遅延の量や揺らぎ、上りと下りの帯域容量など、技術的なガイドラインを満たすことが求められる。
 KDDIは「今回、Starlinkを利用したau基地局の品質検証を完了し、光ファイバ回線を利用したau基地局と比較して遜色ない品質をお客さまに提供できることを確認した。光ファイバ回線を利用した通常のau基地局で展開するエリアに加え、山間部や島しょ地域など光ファイバ回線を敷設しづらい地域を補完することで、auの高速通信エリアを日本中に展開できるようになる」と説明している。

 またKDDIは国内の法人企業や自治体向けに、「Starlink」をバックホール回線としたau基地局の構築ソリューションを12月1日から提供開始した。
 2022年内開始予定の「Starlink」の法人・自治体向け提供と併せて、16,000以上の山々と6,000以上の島々を有する日本において、新しい手段によって企業や社会に持続的かつ信頼ある通信サービスを提供していくという。

 KDDIは「今後も『Starlink』の活用などによりお客さまに安定的な通信サービスを提供し、『KDDI VISION 2030』である“『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる”ことをめざしていく」としている。

「Starlink」をバックホール回線として利用する基地局

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