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インフィニオンが、マーベルの車載イーサネット事業を買収

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車載マイクロコントローラーの世界トップの位置づけを強化し、SDV向けシステム能力を向上

 インフィニオン テクノロジーズ(以下、インフィニオン)は4月7日(ドイツ ノイビーベルグ)、マーベル・テクノロジー(以下、マーベル)の車載イーサネット事業の買収により、市場を牽引するインフィニオンのマイクロコントローラー事業を補完・拡大し、ソフトウェア定義車両 (SDV) 向けシステム能力の増強を加速すると発表した。(本抄訳は、4月8日に日本法人が発表)

 インフィニオンとマーベル・テクノロジーは、キャッシュで25億米ドルの買収価格で最終的な取引の契約を締結した。この取引は、規制当局の承認を条件とする。インフィニオンは「イーサネットはSDVに不可欠な低遅延、広帯域通信を可能にする重要な技術だ。さらに、ヒューマノイド ロボットなどの利用分野においても大きな可能性を秘めている。計画されている投資は、広範な研究開発活動を含む、インフィニオンの米国における強固な事業基盤をさらに強化するものだ」としている。

 インフィニオンの最高経営責任者 (CEO) であるヨッヘン ハネベック (Jochen Hanebeck)氏は「自動車業界向けの半導体ソリューションで世界を牽引するプロバイダであるインフィニオンにとって、今回の買収は戦略的に合致している。インフィニオンの既存の広範な製品ポートフォリオに、補完性の高いイーサネット技術を組み合わせて活用し、SDV向けのより包括的かつ先進的なソリューションを提供していく。この取引は、ヒューマノイド ロボットなどのフィジカルAI分野における新たな機会を含め、今後の当社の収益性の高い成長戦略をサポートするものだ」とコメントを出している。

 PHYトランシーバ、スイッチ、ブリッジで構成されるマーベルのBrightlane車載イーサネットポートフォリオは、現在の100Mbpsから市場をリードする10Gbps までのネットワーク データ レートをサポートする。また、現在および将来の車載ネットワークに必要なセキュリティと安全機能もサポートしている。

 マーベルの車載イーサネット事業の顧客には、OEMメーカー上位10社のうちの8社など、50社以上の自動車メーカーが含まれる。その強固な顧客関係は、2030年までの約40億米ドルの採用確定済みのプロジェクトとすぐれたイノベーション ロードマップに支えられており、将来の売り上げ成長への道を開いている。
 インフィニオンは「この事業は、インフィニオンの世界中の自動車関連の顧客への比類のないアクセスを通じて、さらなる加速が期待されており、2025年には2億2,500万~2億5,000万米ドルの売り上げおよび約60%の粗利益率を見込んでいる。研究開発力の結集とインフィニオンの生産体制の活用により、さらなるコスト削減の相乗効果が期待される。マーベルの車載イーサネット事業は、米国、ドイツ、アジアに主要拠点を置き、高度な技術を持つ献身的な数百人の従業員を擁している。取引完了後に、マーベルの車載イーサネット事業は、インフィニオンのオートモーティブ事業部の一部となる」としている。

 イーサネット接続ソリューションは、SDVにとって不可欠であり、セントラル コンピュート、ゾーン、エンドポイントで構成される高効率のE/Eアーキテクチャの基盤となっている。

 高度運転支援 (ADAS) システム、自動運転、OTA (Over-the-Air) ソフトウェア アップデートといった洗練された機能には、膨大な量のセキュアなデータ処理、ネットワーキング、ストレージが必要だ。インフィニオンのAURIXマイクロコントローラー ファミリーと組み合わせることで、通信ソリューションとリアルタイム制御を組み合わせた包括的な製品群を提供することができる。インフィニオンは「今回の買収は、インフィニオンのマイクロコントローラーにおけるナンバーワンの位置づけをさらに強化することを目的としている」と説明する。

 インフィニオンは、マーベルの車載イーサネット事業を全額キャッシュ取引により買収する計画で、その資金を調達するため、既存の流動性資産の活用に加え、追加借り入れを行う予定でおり、金融機関から買収資金を確保した。この取引は、規制当局の承認を含む一般的な取引条件に従って、2025年中に完了する予定だ。

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