通信業界の生成AI基盤モデル「Large Telecom Model」が「GSMA Open-Telco LLM Benchmarks」でトップクラスの評価を獲得【ソフトバンク】
テレコム 無料テレコム専用の学習フレームワークを確立しソフトバンクの運用のAI化を実現
ソフトバンクは3月30日、通信業界向けの生成AI基盤モデル「Large Telecom Model」(LTM)が、通信業界に特化した大規模言語モデル(LLM)の性能を評価する「GSMA Open-Telco LLM Benchmarks」で総合第3位を獲得したと発表した。
ソフトバンクは「LTMの高度化に向けた取り組みの一環で、通信事業者として培ってきたデータや運用ノウハウなどを基盤に、通信業界特化型の学習フレームワークを構築した。今回のトップクラスの評価は、通信分野において、事前学習済みモデルの性能の着実な向上を実現する学習フレームワークの有用性が評価されたものだ」と説明している。
GSMAは、「MWC Barcelona 2026」で発表した「Open Telco AI」イニシアチブの下、通信業界向けAIのためのオープンかつ協調的な基盤の構築を進めている。この取り組みでは、通信事業者、ベンダ、開発者および学術機関が連携し、モデルやデータセット、計算資源、ツールを共有するための共通プラットフォームが提供されている。「GSMA Open-Telco LLM Benchmarks」は、この取り組みにおいて中核的な役割を担っており、通信分野に特化した実運用タスクにおけるモデル性能を、透明性のある形で評価・比較・改善するための基盤を提供している。これにより、単なる汎用的な「最先端性能」の追求にとどまらず、通信ネットワークに求められる高い精度と信頼性の実現に向けた進展を支えている。
通信業界特化型の学習フレームワークでLTMを高度化
生成AI基盤モデルの開発においては、汎用のLLMを適用するだけでは実運用に十分な水準の性能を得ることは困難だ。例えば通信業界向けの場合、通信仕様の高度な理解に加えて、専門的な質疑応答や運用ログの解釈など、複雑な技術体系と通信特有の文脈の理解が求められるため、通信業界に特化した体系的な学習フレームワークが不可欠となる。
そこでソフトバンクは、LTMにおいてこうした要件に応えるため、通信ネットワークのデータ特有の複雑な構造や相互依存関係を踏まえたデータ設計と学習プロセスを体系化した、通信業界特化型の学習フレームワーク(以下、本フレームワーク)を構築した。
本フレームワークは、通信関連の公開データに加え、ソフトバンクが保有するネットワークデータや設計・管理・運用ノウハウに基づくデータセットを活用し、継続事前学習とファインチューニング、強化学習を組み合わせた段階的な追加学習を実施する。また、通信分野の専門データは、一般的な文書だけでなく、表形式やコード記述など多様な形式のデータを含んでいるため、各データを学習段階や目的に適した形式に整理・変換した合成データとして再構成する。さらに、LLMを活用したデータのフィルタリングによる学習データの質の向上や、小規模言語モデル(SLM)を活用したハイパーパラメーター最適化(HPO)などによる学習効率の向上とモデル性能の向上も実現する。
これにより、データの拡張やベースモデルの更新、業務要件の変化にも柔軟に対応しながら、通信分野における性能向上を再現性のある形で実現し、LTMの性能を高度化し続けることができる基盤を確立した。
GSMA Open-Telco LLM Benchmarksでトップクラスの評価を獲得
本フレームワークに基づく高度化により、LTMは、通信事業者の業界団体であるGSMAが主導する、通信業界に特化したLLMの性能を評価する「GSMA Open-Telco LLM Benchmarks」において、総合第3位を獲得した。「GSMA Open-Telco LLM Benchmarks」は、通信の仕様の読解や、通信分野の専門的な質疑応答、運用ログの解釈、通信領域における数理推論、構成記述など、通信の運用業務で実際に求められる性能を複数のデータセットで評価し、その平均スコアに基づく順位を公表している。今回の成果は、通信事業者として長年培ってきたデータや運用ノウハウを生かした特化型モデルであるLTMの有効性を示すとともに、ソフトバンクの生成AI基盤モデルの開発力と技術力が、国際的な基準で高く評価されたことを示している。
ソフトバンクは「今後も、LTMを通して、ネットワーク運用における属人化の解消や業務負担の軽減、運用効率の向上を図り、社内で本格的な活用を推進することで、より高品質なモバイルネットワークの提供をめざす」としている。
ソフトバンクの執行役員 兼 先端技術研究所 所長である湧川隆次氏は「ソフトバンクが取り組んできた、通信の専門知識や実運用データで学習させた通信業界特化型のLTMが、GSMA Open-Telco LLM Benchmarksでトップクラスの評価を得ることができた。ソフトバンクの学習基盤が国際的にも高い水準にあることを示している。LTMを使い、徹底的にソフトバンクの運用を高度化させて通信業界の発展をリードしていく」とコメントを出している。
GSMAのAIイニシアチブ担当ディレクターであるルイス・パウエル氏は「通信ネットワークには高い精度と文脈理解が求められるが、汎用AIでは十分に対応することが難しい場合がある。GSMA Open-Telco LLM Benchmarksは、通信分野に即したデータセットやタスクを用いてモデルを評価することで、真に意味のある性能向上を明らかにしている。ソフトバンクのトップクラスの評価は、その進展を示す好例であり、AIを責任ある形で運用へと展開していく上で、業界にとって重要な前進だ」とコメントを出している。




