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第35回ラボワークショップ【ケーブルにおける5Gの今後の技術・1】

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 日本ケーブルラボが5月27日に開催した第35回ラボワークショップは、新型コロナウィルス感染防止のためライブ配信にて実施された。
 今回の講演は次の4セッション。
・日本ケーブルラボによる「ケーブルにおける5Gの今後の技術」
・エイビットによる「5Gの基地局と端末について~5Gの今後の展望について~」
・NECネッツエスアイによる「ネットワークの仮想化とスライシング技術について」
・日本ケーブルラボによる「PONの5Gフロントホールへの適用と課題について」

 日本のCATV業界における5G技術の活用はどのようなビジョンで進んでいくのか。今回のレポートでは、これらの講演のハイライトを纏めた。

「ケーブルにおける5Gの今後の技術」【日本ケーブルラボ】

 世界では2019年に5Gサービスがスタートし、日本でも今年3月よりキャリア3社のサービスが地域限定でスタートしている。今回の講演では、こうした全国5Gではなく、CATV事業者を含む地域の企業が活用できるローカル5Gに焦点が当てられた。日本ケーブルラボは「CATV事業者が5Gシステムを通じてIP放送の伝送が可能になれば、アクセス網の選択肢が広がり、これまでサービス提供が不可能だった地域にも放送サービスの提供が可能になる可能性がある」との見解を示している。
 講演では、ローカル5G展開の予測や実証実験の詳細について語られた。

5G技術の推移

 特定の建物内や敷地内での閉鎖網を展開できるローカル5Gは、産業機器やスマートメーター、IoT機器といった通信サービスとの相性が良い。日本におけるローカル5Gの使用周波数は、4.6~4.8GHz(200MHz幅)および28.2~29.1GHz(900MHz幅)が想定されており、28.2~28.3GHzの100MHz幅については、2019年12月に先行して制度化されている。

全国5Gとローカル5Gの仕様周波数。

 日本ケーブルラボは「ケーブル業界は、まずは4Gコアを使ったNSA方式で5G高速大容量サービスをスタートする」と最初のステップを示している。この段階では、コアネットワークのCプレーンとUプレーンは分離されず、ネットワークスライシングやモバイルエッジコンピューティング(MEC)は実現できない。
 そして、その先のステップとして、5G機器/システムのみで構成するSA方式の5Gコアを導入する方向性を示している。SA方式になると、CプレーンとUプレーンは完全分離されるので、高速大容量以外の5Gの特長を活かすためのネットワークスライスやMECの技術を導入することができるようになる。
 本記事では、4Gや5G NSA、5G NSのコアネットワーク構造を比較しながら、CプレーンとUプレーンを完全分離する流れを見ていきたい。

各方式のコアネットワーク比較

4GのEPC(Evolved Packet Core)
 4G LTEのコアネットワークはEPCと呼ばれる装置で、3Gも接続可能だ。
 EPCを構成する要素は次の通り。移動体管理を行う「MME」。ポリシーや課金ルールを行う「PCRF」。基地局切替え処理を行う「S-GW」。S-GW切替えやデータのルーティングを行う「P-GW」。これに加入者認証を行う「HHS」が接続される。

EPCの構成ではCプレーン(制御側)とUプレーン(ユーザ側)を完全に分離することはできない。トラヒック増への対応には、、EPC自体の追加設備やIPネットワーク増強費用が必要となる。

5GのNSAコア
 NSAの5Gは、上記の4G EPCに5Gの基地局を接続する方式となる。5Gの基地局は、4Gの基地局のI/Fをサポートすることで4Gコアに接続する。
 5Gの無線通信は、異なる周波数での通信を組み合わせるキャリアアグリゲーションの技術を利用し、5Gによる高速通信を実現する。

ローカル5Gが4G EPCと組み合わせたNSAで始まる理由は、周波数帯にもある。2020年7月の段階において日本で制度化されたローカル5Gの周波数は前述の28GHz帯のみだが、これは基地局と端末間を通信する際に対象を探し合うのが難しい周波数だ。そこで、対象を引っ掛けるための周波数となるアンカーバンドとして、4Gの2.5GHz帯が必要になる。そのため 5GのNSAでは、端末に4G/5Gの両方をサポートさせた上で、4Gの信号で制御される。

5GのSAコア
 日本におけるローカル5Gの2.5GHz帯は、2020年度末に制度化される予定だ。これにより、5Gの設備のみでもアンカーバンドが使用できるので、5G SAコアが運用できるようになる。
 5G SAコアは、CプレーンとUプレーンが完全に分離する。そのため、Cプレーンはクラウド化による経済メリットが生まれ、Uプレーンは全国のCATV事業者エリアに設置が可能となる。

各機能は、全てソフトウェアで実現される。

5Gにおけるネットワークスライシング

 5G SAのUプレーンにおけるネットワークスライシングについて見ていきたい。
 既にサービスが開始されている全国5Gは3GPPのRel-15に準拠している。そして2020年度の策定が期待されている次世代規格のRel-16では、eMBB(超高速)以外の機能強化、つまりURLCC(超低遅延)やMIoT(多数同時接続)といったローカル5Gで重要となる部分が強化される。Rel-16にはeV2X (拡張自動車通信)も含まれており、これら4つの機能がスライシングされ、UプレーンだけでなくSMF(セッション管理)やRANでもそれぞれ独立した処理で運用される。
 なお、ネットワークスライシングは移動体事業者識別子内、すなわち各オペレータ内での定義による。

ネットワークスライシングによる分離のイメージ。AMF(移動管理)に関してはスライシングされず、1端末に対して1つのAMFがスライシングを含めて管理を実行する。

5Gのモバイルエッジコンピューティング(MEC)

 5G SAになると、従来はセンター側で処理していた機能の一部を、ユーザ端末側に近いUPF基地局付近(エッジ)のサーバで処理をするモバイルエッジコンピューティング(MEC)も可能となる。
 エッジサーバで処理を済ませることにより、遠方のクラウドデータセンタ処理では実現できないレベルでの超低遅延化が実現できる。これによりユーザは、ゲームやVR/AR、自動運転等、反応時間にクリティカルなアプリが利用可能となる。また、エッジ処理には、クラウドなど上位回線へのトラフィック量を削減できるメリットもある。
 エッジサーバに処理負荷の高い機能を集約することで、ユーザは端末のパフォーマンスが低くても、高い処理能力が求められるアプリケーションを利用できるようにもなる。

MECのイメージ。

O-RAN Alliance準拠により、無線基地局のマルチベンダ化が可能

 ローカル5G構築を後押しする要素としては、米国系と中国系のアライアンスが統合された「O-RAN Alliance」(Open Radio Access Network Alliance)が、無線アクセスネットワークのオープン化とインテリジェント化を進めている点も挙げられる。
 O-RAN Allianceの目的は、無線機(RU)とその上位レイヤ(MAC以上)を分離し、インターフェースを標準化。これに準拠することにより、ベースバンド装置は汎用サーバ上のソフトで実現し、基地局のマルチベンダ化が可能となる。
 O-RAN Allianceは、AT&T、中国移動、ドイツテレコム、NTTドコモ、Orangeが2018年2月に発足。5社で結成された同アライアンスは、2020年4月時点でオペレータメンバー23社(KDDI、ソフトバンク等)とコントリビューターメンバー142社(NEC、Ericson、NOKIA等)に拡大している。

O-RANのカバー範囲。

特集目次

TOP

日本ケーブルテレビ連盟 第48回定時総会Report
1・吉崎理事長の挨拶
2・(後日更新)

日本ケーブルラボ 第35回ワークショップ Report
ケーブルにおける5Gの今後の技術・1
ケーブルにおける5Gの今後の技術・2
5Gの基地局と端末について~5Gの今後の展望について~
ネットワークの仮想化とスライシング技術について
PONの5Gフロントホールへの適用と課題について

ケーブル技術ショー2020出展製品ピックアップ
住友電気工業
三菱電機
伊藤忠ケーブルシステム
(以下、後日更新)

日本ケーブルラボ 第36回ワークショップ Report
後日更新

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