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アラクサラ、シスコ、NECが語る戦略的協業の狙い【2:協業におけるNECの役割と、サイバーセキュリティに対する考え】

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 NECが掲げる“Digital Inclusion”は、デジタルテクノロジーが社会の隅々まで浸透し、データの安全で自由な活用が当たり前になり、それにより人々が抱える多様な課題が解決できるようになるという、未来のビジョンだ。NEC 執行役員常務の河村 厚男氏は「Digital Inclusionのような、デジタルツインと言われている実世界とサイバー空間での情報共有、分析、対処のサイクルが、これからのSociety5.0社会の実現に向けて非常に重要になる。その中でNECはセキュリティが非常に重要なものだと考えており、ネットワークの守り方にしても、攻撃から守ることに加え、正常を維持することが更に重要になってくると認識している。今回の三社協業でも、お客様に提供する価値として、セキュリティをしっかりと守っていく」と話す。

 協業におけるNECの役割は、自社の保有する高度なセキュリティ技術、信頼性向上のアセットの提供、システム運用まで見据えたデータ統合SIだ。河村氏は「お客様のニーズや課題解決に対応するため、NECが持つセキュリティ技術・アセットをアラクサラやシスコと共有し、提供範囲を広げていく。信頼性向上のアセットでは、高信頼な検査基盤の提供を進めていくことで、国際標準のセキュリティ要求事項に対応した検査体制等も実施する。三社で連携することにより、例えばシスコ製品に実装されているTrustworthy技術等を活用した真正性確認等を実施できる」と説明している。

工場出荷時の検査基盤で使われる高性能ブロックチェーン技術をシステム構築・運用・更新においても適用することで、システムのライフサイクル全体のセキュリティ対策をトータルで支援する。

NECの軽量プログラム改ざん検知技術は軽量性と高速な検査速度を実現しているので、メモリリソースが少ない、CPU性能が低いといったハードウェア制約をもつIoT機器にも導入できる強みがある。協業では、こうした各社の技術に対するディスカッションを重ねて、ユーザの要望を実装していく。

 河村氏は「重要インフラのネットワーク運用に更なる安心・安全をということで、NECの軽量プログラム改ざん検知技術も活用し、ネットワークシステム全体の高い安全性を確保する。ここではゼロトラストを前提に、ネットワークシステムの脆弱性等への攻撃を監視・検知し、即時に対処する技術を提供する。ネットワークシステムのセキュリティパッチ未適用リスクを分析シミュレーションする等、リスクへ早期に対処できる」と説明している。

重要インフラのネットワークにおけるNECのソリューションのイメージ。河村氏は「様々なパートナー様との協業を含めてセキュアなものを作っていくことが非常に重要だと考えている。今回の協業においても、正しい製品、透明性のある製品を正しい技術でセキュアを確保する。システムのインプリ、運用を含めたトータルなインフラを三社で構築し、安心・安全な日本の通信を支えていきたい」と語っている。

レポート目次

1:協業の概要
2:協業におけるNECの役割と、サイバーセキュリティに対する考え
3:シスコの主力製品で日本のソサイエティ5.0実現に貢献
4:協業に基づくアラクサラのネットワーク事業戦略