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ミライト・ホールディングスの決算詳細と、3社統合・新グループ設立後の経営戦略【1】

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 ミライト・ホールディングスが11月に発表した2022年3月期 第2四半期 決算では、受注高2,496億円(対前期+205億円、かつ過去最高を更新)など、好調な数字が示された。
 本件に関する記者発表会では、ミライト・ホールディングス 代表取締役社長 兼 ミライト 代表取締役社長である中山俊樹氏が登壇。NTT事業やマルチキャリア事業、ICT事業といったセグメント別の状況説明や、来年7月の3社統合・新グループ設立後の経営戦略について解説された。
 本記事では、各項目に対する中山氏の見解をレポートする。

(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

第2四半期決算

受注高推移

ミライト・ホールディングス
代表取締役社長

ミライト
代表取締役社長
中山俊樹氏

 受注高は2,496億円で、対前期+205億円の8.9%増。前年度に引き続き、コロナ禍による活動の制限が有った中、過去最高を更新した。
 中山氏は「通信分野では高度無線環境整備事業の受注、新しいお客様である楽天様の通信基盤工事、更には通信キャリア各社様の5Gの基地局投資が本格化してきたというのが、増加の要因だ。また、非通信の分野では、環境社会事業で電気工事中心に受注が増加した。ICTの分野では、国内外のLAN配線、更にはデータセンタ系の工事が増え、更にはモバイル関連の商材の物販が非常に好調で推移したというのが要因だ」と説明している。

売上高推移

 売上高は2,118億円で、対前期+201億円の10.5%増。五期連続での増収となった。
 中山氏は「堅調な受注環境の背景で、環境社会事業を除く3事業(ICT、マルチキャリア、NTT)で増収となった。上期業績として過去最高を更新している」と説明している。
 次に、その内訳を見てみたい。

NTT事業
 NTT事業の売上高は752億円で、対前期+69億円となった。増収の背景について中山氏は「NTT東西の設備投資は中長期的には減少トレンドだが、今期は高度無線環境整備事業が拡大している」と話す。
 また、ミライトでは固定通信系の技術者とモバイルの基地局の点検業務の一体化(マルチスキル化)を推進しており、これにより、コスト減や労働力の確保が成果として表れているという。

マルチキャリア事業
 マルチキャリア事業の売上高は465億円で、対前期+67億円となった。増収の背景について中山氏は「一部のキャリアで部材の供給遅れがあり、工事進捗に多少の影響があった。5G戦略は通信キャリア各社で異なるが、総じて5Gの基地局建設が本格化してきた」との見解を示している。
 一方で、コロナ禍を背景にした通信需要全体の拡大を背景に、CATVのネットワーク増強の工事も順調に進んでいるという。
 
環境社会イノベーション事業
 環境社会イノベーション事業の売上高は224億円で、対前期-34億円となった。減収の背景について中山氏は「メガソーラー市場では、FITを中心とした大型の工事から、中小型への移行が進んでいる。また、前期は好調だった空調工事も反動減があった。こうしたことから、上期はこの事業全体として減収となったが、電気工事や上下水道工事の分野は増収だった」としており、今後の展望について「今年度の上期の受注が順調に推移しているので期待ができる。また、グリーン化、脱酸素社会の実現ということで、我々もEVの充電器、蓄電池、自家消費型太陽光発電の設備といった環境商材を活用して、増収に向けて事業を強化する」との考えを示している。

ICTソリューション事業
 ICTソリューション事業の売上高は676億円で、対前期+99億円となった。増収の背景について中山氏は「コロナ禍によるテレワークやリモート会議の伸長、そして学校教育では遠隔授業といった形でICT活用が拡大している。こうした通信設備の増強というニーズを背景に、LAN工事、データセンタといった分野が拡大している。また、5Gの工事の本格化に伴ったモバイル関連商材の物販、これが非常に好調に推移して、事業全体として拡大をした」と話す。
 海外では、日本以上にコロナの影響が大きいシンガポールで、子会社であるラントロビジョンが堅調に復調してきている。

営業利益推移

 営業利益は110億円で、対前期+43億円。営業利益率は5.2%(対前期 1.7p UP)。2期連続増益、かつ過去最高更新となった。
 増益の主な要因は、「業務効率化の推進」と「非通信分野の利益向上(環境社会・ICT)」の二つだ。中山氏は「この数年は利益性改善を最大のテーマに取り組んでおり、生産性の向上に努めた結果だと捉えている。販管費の面では人件費が多少増加したが、販管費率は微増で留めている。引き続きコスト削減の努力を継続していく。また、相対的に粗利率の高いICT事業の売り上げ拡大に加え、業務効率化を協力に推進してきた結果、通信分野だけでなく、非通信分野でも利益率の向上を図ることができた」との見解を述べている。
 なお、収益認識基準が変更になり、三億円ほどの押し上げの効果も有った。

四半期純利益推移

 四半期純利益は78億円で、対前期+31億円。こちらも2期連続増益、かつ過去最高更新となる。中山氏は「政策保有株の売却を進めているので、有価証券売却益が増加する一方で受取配分が減る等、増減の要素が多少入り組んでいるが、ベースとしては営業利益が増加している」と話す。

2022年3月期 通期計画

 ミライトは、2022年の3月期の通期計画を上方修正した。

  • 受注高 4,800⇒4,900億円 (+100)
  • 売上高 4,700⇒4,800億円 (+100)
  • 営業利益 305⇒320億円 (+ 15)
  • 当期利益 210⇒225億円 (+ 15)

 中山氏は上方修正の理由について「上半期が堅調に推移をしたことに加えて、今後も5Gのサービス拡大やテレワーク等の浸透により、通信設備、インフラの増強という社会のニーズが見込まれる。また、企業が様々なDXに取り組んでおり、ICT需要も堅調に推移し、増加傾向にある」と述べている

株主還元
 ミライトは、株主還元の強化を発表した。今年一年間の一株当たりの配当金について、期首に増配45円⇒50円(2期連続)を公表したが、下期は50円⇒55円となる。中山氏は「上期の決算が好調だった点、また通期計画を上方修正することを踏まえた」としている。
 自己株取得は上期に30億円(3期連続)を実施した。今後も業績や資金状況を見て、機動的に実施することを検討しているという。

レポート目次

1:第2四半期決算詳細
2:3社統合・新グループ設立後の経営戦略

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