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高次元の量子暗号を実世界の都市条件で初めて実施【オタワ大学】

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 オタワ大学の研究チームは、フォトン当たりに1bit以上の情報を含む、量子で安全化したメッセージを、街の上空で伝送した。デモンストレーションは、大容量、フリースペース量子通信がいずれ実用化されることを示している。このような通信は、地上のネットワークと人工衛星間で極めて安全なリンクの構築する量子暗号ネットワーク実現要求のために利用される。

 量子暗号は、量子ビットの形式で情報をエンコードするためにフォトンを利用する。その最も単純な形式は、2D暗号化として知られており、各フォトンが1bitをエンコードする、つまり1か0かのいずれかである。シングルフォトンは、さらに多くの情報をエンコードできることは研究者によってすでに指名されている、つまり高次の量子暗号というコンセプトである。今日まで、実世界条件では、フリースペース光通信でこれが実証されたことはない。たとえば、1文字エンコードするのに8bits必要であるので、各フォトンにより多くの情報を詰め込めると、データ伝送は著しく高速化される。

 オタワ大学の研究チームリーダー、Ebrahim Karimiは、「われわれが実証した安全なフリースペース通信方式は潜在的に地球と人工衛星をリンクすることができる。また、ファイバ敷設が高価になりすぎるような場所の安全な接続、航空機など、動く物体との暗号通信に利用できる」とコメントしている。

 Opticaに発表された論文によると、研究チームは、オタワ大学の0.3km離れた2つのビル間をつなぐフリースペース光ネットワークで4D量子暗号を実証した。この高次暗号方式は、各フォトンが2つの情報ビットをエンコードしており、4つの01, 10, 00 または 11が可能になるので、4Dと言われている。

 フォトン当たりで、より多くの情報を送るだけでなく、高次量子暗号は、伝送が安全でなくなる前に、信号を曖昧にするノイズに対する耐性も向上している。ノイズ発生源は、空気の乱流、機能不全のエレクトロニクス、正しく機能しないディテクタ、データに対する攻撃と傍受である。「ノイズしきい値が高いとは、2D量子暗号が失敗すると、4Dの実装を試みることができると言う意味だ、原理的に4Dの方が安全で、ノイズ耐性が優れているからである」とKarimiは話している。

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