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VERTIGOプロジェクトが、光フィーダリンクを用いた将来の静止通信衛星の開発に向け、97W の25Gbps伝送の実証に成功【Thales Alenia Space】

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 Thales Alenia Spaceは4月12日、VERTIGOプロジェクトが、フランスのパレゾーにあるThalesの研究所で高出力光データ伝送システムの実証に成功したことを発表した。

 Thales Alenia Spaceは「これは、光フィーダリンクを用いた将来の静止通信衛星の開発にとって重要な成功であり、現在利用可能な容量を大幅に増加させることができる。これらのソリューションは、デジタル・ディバイドを解消し、2025年までにすべての人にブロードバンド接続を提供するために重要な役割を果たすことになる。また、衛星の容量を増やすことで、ユーザの需要に応えるために必要な衛星の数を減らすことも目的としている」と説明している。

 このような状況の中、Thales Alenia Spaceと親会社のThales (出資比率67%)は、G&H、Leo Space Photonics R&Dと共に、100Wクラスの伝送への道を拓く97Wという記録的な光パワーで、25Gbpsのデータを運ぶ光通信信号の生成と伝送を制御環境下で実証した。
Thales Alenia Spaceは「変調された光信号を2つの経路に分け、それぞれを最新のG&Hのハイパワーアンプで増幅し、2つのアンプ出力をコヒーレントに結合することで実現した。これは、高出力・超高出力光通信の実証だけでなく、長距離の自由空間光リンクに必要なデータ インテグリティを維持しながら、超高出力で通信信号を伝送する可能性を証明する機会でもあった」と説明している。

VERTIGOプロジェクト
 VERTIGO (Very High Throughput Satellite-Ground Optical link) は、2019 年 6 月 1 日に開始され、2023 年に完了する H2020 共同プロジェクトであり、最新の技術を使用してフィーダ リンクの大幅な容量増加を可能にするコンセプトを実証している。
 VERTIGOは、CREONIC GmbH、ETH Zürich、Fraunhofer HHI、G&H、LEO Space Photonics R&D, ONERA、フランスとスイスのThales Alenia Space、Thales Research & Technologyからなる完全補完コンソーシアムによって、高スループット光リンクの実装に必要な主要実現技術(高光パワー生成、高効率波形、大気障害緩和)を取り上げ、地上屋内と屋外デモでそれらを評価した。
 このプロジェクトは、助成契約番号822030に基づいて、欧州連合の研究・イノベーションプログラム「Horizon 2020」から資金提供を受けている。

 Thales Alenia Space は「2022年夏に行われた自由空間光リンクの屋外試験で、53kmの大気光路で1Tbpsの記録的な伝送を実証したのに続き、Thalesの施設で行われたラボ試験キャンペーンは、VERTIGOプロジェクトを新しい記録で締めくくった。これらVERTIGOプロジェクトの成果を生かし、次のステップとして、高度約36,000kmの静止衛星と地上局との間の本格的なコヒーレント レーザリンクを目指すことになる予定だ」としており、「次世代衛星システムは、デジタル・ディバイドを解消し、2025年までにすべての人にブロードバンド接続を提供するために、重要な役割を果たすだろう。その中で、光フィーダ リンクは、将来のVHTSシステムの要件を満たす非常に有望な技術であると考えられている。VERTIGOは、超高スループット衛星システムへの道を開き、EUの技術的な優位性と産業競争力の維持に貢献することを目標としている」と説明している。

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