Ekinopsが、フランスのユニバーサルZTNAサイバーセキュリティスタートアップ企業Chimereの買収を発表
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Ekinopsは3月24日、フランスのサイバーセキュリティ専門企業Chimereの株式100%を取得する契約を締結したことを発表した。
Chimereは、すべてのエンドポイントとすべての企業リソースを安全に相互接続するユニバーサルZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)ソリューションを提供している。
Ekinopsは「ChimereのZTNAソリューションは、従来の企業向けVPN技術やファイアウォールに代わる魅力的な選択肢であり、デジタルノマド、リモートワーク、サードパーティアクセスをサポートする。ChimereのZTNAソリューションは、SaaS(Software as a Service)、ハイブリッド、オンプレミスといったサブスクリプションモデルで提供される」と説明している。
本件は、2025年5月のOlfeo買収に続くEkinopsのサイバーセキュリティ分野における価値提案を強化するものであり、グループをサイバーセキュリティSASE(セキュアアクセスサービスエッジ)という高成長市場セグメントに位置づけることを目的としたBridge戦略計画に完全に根ざしている。
Ekinopsは「今回の買収により、当社のSASE戦略の市場投入までの時間が大幅に短縮され、欧州および欧州以外の市場ニーズに対応した欧州SASEリーダーとしての地位がさらに強化される。当社はSASEポートフォリオを拡充し、世界的に選ばれた『シングルベンダーSASE』に該当する企業グループの一員となり、このエリートカテゴリーにおける唯一の欧州企業となる。そして当社は、SD-WAN、SSE、Universal ZTNAをオンプレミス展開オプション付きで提供する世界唯一のベンダーとなった」と説明している。
この取引は、EkinopsによるChimereの株式100%取得という形で行われ、3月31日までに完了する予定だ。Ekinopsは「本取引が2026年度の財務諸表に大きな影響を与えるとは考えていない」としている。
EkinopsのCEOであるLionel Chmilewsky氏は「今回の買収は、Ekinopsグループが欧州SASEリーダーとなるという目標達成を加速させるものであり、大変喜ばしく思っている。両社の技術と事業資産を統合することで、真に差別化されたソリューションを提供し、新たな高成長市場に参入することができる。Chimereは既に多くの顧客から高い評価を得ており、EkinopsはChimereのZTNAソリューションを我々の顧客および潜在顧客に提供できることを楽しみにしている」とコメントを出している。
ChimereのCEOであるGuillaume-Alexandre Chaizy氏は「EkinopsとChimereの統合により、欧州の顧客にとって真に有益な、完全に信頼できるサイバーセキュリティポートフォリオが実現する。Ekinopsチームに加わり、共に世界に貢献できる欧州SASEリーダーの構築に貢献できることを大変嬉しく思っている」とコメントを出している。
編集部備考
■SASEは2019年に概念が提唱された後、コロナ禍におけるテレワークの急拡大とクラウド利用の進展を背景に普及が加速した。従来の境界型セキュリティでは対応が難しくなり、ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合するアーキテクチャが求められるようになったためだ。その導入形態としては、複数ベンダーの製品を組み合わせるマルチベンダー型と、単一ベンダーで統合されたシングルベンダー型が併存しており、黎明期を経た昨今では運用負荷の低減やポリシー統合の容易さといった観点から、シングルベンダー型を再評価する動きも見られる。
さらに足元では、企業におけるAI活用の進展がSASEの重要性を改めて押し上げている。従業員による多様なAIサービスの利用により、企業が把握していないシャドーAIの増加も懸念され、どのサービスにどのようなデータが送信されているのかを可視化し、統制する必要性が高まっている。この文脈においてSASEは、セキュアな接続基盤にとどまらず、アクセスの可視化とポリシー制御を一体的に提供する“AI利用のガバナンス基盤”としての役割も担いつつある。
そうした背景の中、今回のニュースで見逃せないのが、欧州企業によるセキュリティスタックの構築という側面だ。欧州においてデータ主権や規制対応への関心が高まる中、欧州系技術による統合SASEへの需要は一定程度存在すると考えられる。
これを実現しようとする中で、存在感を高めてきたのがEkinopsだ。同社は、サービスプロバイダおよび企業向けの光ネットワーク、コネクティビティで長年の実績が有り、サイバーセキュリティ事業も強化してきた。本件に先立つ2025年のOlfeo買収時に中堅・中小企業 (SMB and SME)向けシングルベンダーSASEを志向する方針を示していたので、ターゲット層を明確にしつつ、需要構造の変化によって再び成長余地が生まれたタイミングを捉えた動きといえる。
冒頭で触れた通り、ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合するSASEアーキテクチャの普及は、コロナ禍を契機に急速に進んだ。これはネットワーク側、セキュリティ側の双方にとっても想定以上のスピードでの統合であったといえる。その黎明期を経て、運用や統合に関する課題が顕在化した現在、シングルベンダーSASEの再評価や、Ekinopsのような物理インフラに強みを持つベンダーがその担い手として台頭する動きが見られる。
裾野の広がりも期待されるSASE市場においては、これまで費用対効果に慎重だったユーザ企業による導入も進むだろう。そこでは、機能競争に加え、物理インフラの安定性、高度な脅威検知、運用の即応性といった得意領域の違いを含めた比較も進んでいく可能性も有る。その中で、物理インフラに強みを持つベンダーがターゲットを明確にしながらセキュリティ領域を取り込む動きは、ユーザ企業にとっても自らが重視すべき要素を見極める上での選択肢を広げるものとなりそうだ。









