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ノキアとアーンスト・アンド・ヤング(EY)が、ビジネスにおけるメタバース活用に関するグローバル規模の調査結果を発表

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企業用・産業用メタバースは想像以上の成果と期待をもたらしていることが明らかに

 ノキアとアーンスト・アンド・ヤング(EY)が6月12日(エスポー)に発表した調査によると、産業用メタバースのユースケースをすでに導入している企業では、計画段階にある企業よりも多くのメリットを享受していることが明らかになった。(本抄訳は、ノキアの日本法人より6月13日に提供されたもの)

 導入メリットとして、特に設備投資費の削減(15%)、持続可能性の向上(10%)、安全性の向上(9%)を挙げている。6 か国 860 人のビジネスリーダーを対象に、企業用および産業用メタバースの現状を調査した「現場でのメタバース活用(The metaverse at work)に関する調査」では、特に産業用メタバースが期待以上の成果をもたらしている。

 今回の調査結果では、企業がメタバースの効果を確信していること、メタバースの技術が定着していることが分かった。メタバースが単なる流行りの言葉だと捉えている回答者はわずか2%で、メタバースの本格導入を予定している企業の58%は、メタバース関連のユースケースを1つ以上すでに本格導入または試験導入している。まだメタバースを導入していない回答者のうち、ほぼ全員(94%)が、今後2年以内にメタバースを始める予定であると回答している。

 企業も、産業用メタバースが大きなビジネス価値を生み出していると述べている。平均すると、メタバースのユースケースをすでに実装している企業の80%が、業務に大きな影響や変革をもたらすと考えている。また、ほぼすべての回答者(96%)が、物理的なユースケースと仮想的なユースケースを組み合わせることで、メタバースによって革新的な機能が付加され、それにより業務にインダストリー4.0 を導入、採用、収益化できるスピードを加速できると認識している。

 産業用または企業用のメタバースのユースケースを少なくとも1 つ本格導入または試験導入したことがある企業について国別で見ると、米国(65%)、英国(64%)、ブラジル(63%)が牽引している。ドイツは 53%で、アジア太平洋地域はこれらの国々よりも低く、日本と韓国はともに49%だ。

 劇的な価値をもたらすものとしてどのユースケースを一番使用する可能性が高いかとの質問に対しては、従業員の育成とスキルアップのためのトレーニングに拡張現実を使用するとの回答が最多で、調査対象となった4 業種のうち3業種は、研究開発における製品設計とプロセス強化のために、仮想環境を使用すると選択した。

 メタバースのユースケースを導入する際、企業は十分なインフラストラクチャと堅牢な分析機能が必要であると明確に認識している。回答者は、クラウドコンピューティング(72%)、AI/機械学習(70%)、ネットワーク接続 (68~70%)などの要求を満たすために、非常に基本的かつ主要な技術を可能にするような要素を最も重視していた。自社内でさらなる技術的専門知識を得る必要があることから、現段階では、能力のギャップを埋めユースケースを展開するためにさまざまなパートナーに依存している。

 アーンスト・アンド・ヤング(EY)のビジネスコンサルティングおよびビジネストランスフォーメーション担当のエグゼクティブディレクターであるヴィンセント・ドウイン氏は「産業用および企業用のメタバースに関する今回の調査では、業務目標の達成に向けて、拡張現実やデジタルツインなどのテクノロジーに対する明確な需要が見てとれる。すでに多くの組織が計画段階を経て、初期段階の導入によって具体的なメリットを享受している」とコメントを出している。

 ノキアベル研究所のソリューション研究部門長であるティエリー・E・クライン氏は「企業用と産業用の両方のユースケースにおいて、企業がビジネスの価値を創造するためにメタバースのパワーを確信していることは素晴らしいことだ。このことは、産業用メタバースはインダストリー4.0の拡張であるというノキアベル研究所での8年以上にわたる研究から得られたビジョンと非常に関連性が高い。その結果、インダストリー4.0向けにミッションクリティカルな通信ネットワークをすでに実装している企業は、一部の企業がすでに享受しているメタバースのメリットを十分に体験できるようになった」とコメントを出している。

調査について

 この調査では、米国、ブラジル、英国、ドイツ、日本、韓国において、4業種から企業を代表する860名の意見をヒアリングした。業種は自動車、製造業、物流、電力および公共サービス。
 調査結果は、メタバースはデジタル世界と物理世界の融合と定義されている。企業用メタバースの導入は、より優れたデジタルコラボレーションとコミュニケーションツールに対する需要によって後押しされている。メタバースは、核となる生産性向上の用途にも対応し、業務を機能させ、次世代の仮想空間への接続を可能にする。産業用メタバースの特徴は、産業用途に焦点を当てた物理世界とデジタル世界の融合、そして人間拡張だ。具体的には、参加者が制御、監視、相互作用できる物理的な産業環境、システム、プロセス、資産、空間に関するデジタル表現がある。

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