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新たなミリ波アプリケーションに対応した145GHz、170GHz ウルトラポータブルスペクトラムアナライザの販売を開始【アンリツ】

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基本的なスペクトラム分析を必要とする設計・生産環境のコスト削減と運用効率向上に貢献

 アンリツは11月26日、スペクトラムマスタ MS2760A ウルトラポータブルスペクトラムアナライザシリーズの新機種として、145GHzモデル/170GHzモデルのMS2760Aと高感度モデルのMS2762Aを開発したと発表した。11月22日から販売を開始している。
 対象市場は5Gネットワーク通信機器、E-band、IEEE802.11ad/WiGig、自動車レーダー、マイクロ波無線通信機器、衛星通信機器。用途は研究開発、製造、建設保守。

 MS2760Aは、9kHz〜170GHz、MS2762Aは、6GHz〜170GHzの広帯域周波数範囲に対応している。ハンドヘルド測定器では最高レベルのダイナミックレンジをポケットサイズの筐体で実現しており、チャネルパワー、占有帯域幅、隣接チャネルパワーなどの基本的なスペクトラム測定を170GHzまでの高い周波数信号で行える。
 MS2762Aは、より高い感度が要求されるアプリケーションにおいても的確に測定でき、増加しているミリ波アプリケーションの設計や製造で必要な検証を優れたコストパフォーマンスで行える。
 MS2760A/MS2762Aは、車載レーダー、マイクロ波無線、物体検出レーダー、電波天文学、高解像度レーダー、アンテナビームパターンテスト(室内および屋外)などの様々なミリ波アプリケーションで使用できる。

開発の背景

 無線通信の普及にともない、5Gをはじめ、より多くの情報量を伝送できるミリ波・高周波通信システムの実用化が進展し、スペクトラムアナライザのニーズが高まっている。
 アンリツは、すでに9kHzから110GHzまで対応したスペクトラムマスタ MS2760Aシリーズを販売している。そして今回、170GHzまで拡張したモデルを追加し、ミリ波アプリケーションのラインアップを拡充した。

製品概要

 MS2760A/MS2762Aシリーズは、広帯域周波数範囲に対応したポケットサイズのスペクトラムアナライザだ。
 MS2760Aは9kHzから170GHz、MS2672Aは6GHzから170GHzまで測定が行えます。5GとE-bandに加え、802.11ad/WiGig、自動車レーダなど急成長しているミリ波アプリケーションが測定できる。
 それぞれ下限周波数が9kHzまたは6GHzから、上限周波数32GHz、44GHz、50GHz、70GHz、110GHz、145GHz、170GHzに対応した機種をラインアップしており、必要な上限周波数に応じて選択できる。連続掃引が可能であり、下限から上限までいかなる信号のスペクトラム解析も可能だ。
 MS2760A/MS2762Aは、USB延長コードを介してWindows PCやタブレットから測定を実行できる。長いUSBケーブルを使用することにより、アンテナ測定やパス損失測定など、一定距離離れた場所から測定を行う必要があるアプリケーションに最適だ。

主な特長

小型で高性能:MS2760A/MS2762Aシリーズは、ポケットサイズの筐体に、被試験デバイスを直接接続でき、ミリ波測定の精度と感度が向上する。これにより、異なる周波数帯域を測定する度に外部ミキサーを交換する必要がなく、セットアップも測定も容易に行える。

高感度測定:高感度モデルのスペクトラムマスタ MS2762Aは、Cバンドの途中からEバンドまでの多数のバンドをカバーしている。6〜90GHzにおける表示平均雑音レベル(DANL)は、それぞれ代表値で-141dBm、90~110GHzで-136dBm、110〜145GHzで-129dBm、145〜170GHzで-122dBmを実現している。この性能により、より低レベルの信号を確認することができ、自動車レーダーの空間電波測定など、多数のアプリケーションで使用できる。

高信頼性:スペクトラムマスタ MS2762Aは、70GHzで108dBという優れたダイナミックレンジを実現している。ノイズフロアが低いため、スペクトルマスクテストを高精度に実行できる。振幅精度は通常±1dBを実現しており、信頼性の高い測定結果を得ることができる。また、6〜170GHzの全周波数範囲で、代表値24秒未満(プロセッサ速度に依存)の掃引速度を実現しており、テスト時間を短縮できる。

空間電波測定:MS2760A/MS2762Aシリーズは、従来AC電源が必要な大型のスペクトラムアナライザなどで行われていた空間電波測定を実行することができる。また、ベンチトップ型のミリ波スペクトラムアナライザに比べ、導入コストを約30%低減できる。