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Adtranが、800Gbps DR8 LPOモジュールを発表。シングルモードVCSELによる1pJ/bitのエネルギー効率を、次世代AIやクラウドワークロード向けに提案

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 Adtranは3月10日、最新のAIおよび機械学習(ML)ワークロードの電力、遅延、発熱、帯域幅の要求に対応するために設計された、超低消費電力800Gbps DR8 LPO(Linear-drive Pluggable Optics)であるLiteWave800を発表した。

 GPUクラスタの拡大と、高密度サーバーラックにおける短距離リンクの拡張に伴い、データセンタ事業者は、厳しい電力および冷却制限内でより高い容量を実現する800Gbps光伝送ソリューションを必要としている。
 Adtranは「LiteWave800は、完全に再設計されたアーキテクチャにより、この課題に応え、エネルギー消費量を大幅に削減する。わずか1pJ/bitで動作し、消費電力は0.8Wのみ。800Gbps光伝送ソリューションの新たな電力クラスを確立し、今日の第一世代LPOや主流のDSPベースのプラガブルトランシーバよりもはるかに低いビットあたりのエネルギー消費量を実現する」と説明している。
 Adtranは、OFC 2026(展示会:3月17~19日。ロサンゼルス)でLiteWave800を展示する。

 AdtranのCTOであるChristoph Glingener氏は「AIワークロードの拡大に伴い、データセンタ事業者は電力と熱管理の予算面で限界に直面している」とし、「LiteWave800は、その障壁を打ち破る。エネルギー効率を劇的に向上させ、消費電力と冷却容量を削減することで、800Gbps光通信の新たなベンチマークを確立する。これにより、通信事業者はエネルギー消費量を増やすことなく、AIクラスタを拡張する実用的な方法を手に入れることができる。LiteWave800は、データセンタ事業者にパフォーマンスと持続可能性のどちらかを選択することを強いるのではなく、両方を実現する。お客様は、より高密度で低遅延のファブリックを構築し、貴重な熱的余裕を確保し、AI需要の加速に合わせて自信を持って拡張できるだけでなく、長期的なインフラ投資も保護できる」とコメントを出している。

 AdtranのLiteWave800は、AIおよびMLファブリックを支える高密度かつ低遅延が求められるリンク向けに設計されている。革新的なLPO設計は、シングルモードVCSEL技術とAdtran独自の低消費電力エレクトロニクスおよび統合技術を組み合わせることで、信号経路を効率化し、レイテンシを低減し、ビットあたりのエネルギー効率を飛躍的に向上させる。Adtranは光学系と電子回路の両方を自社で所有することで、モジュールレベルでLiteWave800を総合的に最適化し、個別部品設計では実現できない効率向上を実現している。LiteWave800は、標準化された100Gbps-DR-LPO光インターフェースとOSFPフォームファクタに基づくLPO MSA仕様をサポートしており、既存のホストデバイスとの幅広い互換性を確保し、マルチベンダ環境への統合を可能にする。

編集部備考

■AIデータセンタの急速な拡大に伴い、光インターコネクトの消費電力はネットワーク設計において無視できない要素になりつつある。また、最新のAI専用クラスタやGPUスーパーポッドでは、短距離であってもラック間距離の開きや将来の高速化を見据えてSMF(シングルモードファイバ)を採用するケースが増えている。今回Adtranが発表したLiteWave800 LPOモジュールが示したシングルモードVCSELによる「1 pJ/bit」というエネルギー効率は、その文脈において注目すべき数値だ。

 現在、一般的なDSPベースの800Gプラガブル光トランシーバの消費電力は15〜20W程度とされる。これを800Gbpsの伝送速度で換算すると、エネルギー効率は概ね15〜20 pJ/bitの水準となる。近年はDSPを排除し、スイッチASIC側の信号処理能力を活用するLPO(Linear Pluggable Optics)が登場し、光モジュールの消費電力は大幅に低減されたが、それでも第1世代のLPOモジュールはおおむね5〜10 pJ/bit程度と見られている。
 これに対し、LiteWave800が示した1 pJ/bitという値は、従来のDSPベースモジュールと比較して1桁以上、また第1世代LPOと比較しても数倍の効率向上に相当する。AIデータセンタでは数万から数十万規模の光リンクが使用されるため、この差は施設全体の電力消費に大きな影響を与える可能性がある。GPUやネットワークスイッチを含めたシステム全体の電力効率が設計上の重要な制約となる中、光インターコネクトの電力削減はデータセンタ全体のエネルギー設計にも影響を及ぼす要素となりつつある。

 こうした効率改善の背景には、LPOアーキテクチャの採用に加え、光・電子回路を含めたモジュール全体の最適化があると考えられる。LPOはDSPやリタイマをモジュール内から排除することで電力を削減する技術だが、その一方で信号品質の確保はホストASICや光デバイス側の設計に強く依存する。今回の製品では、光デバイスと電子回路の統合的な最適化によって、モジュール全体のエネルギー効率を極めて高い水準まで引き上げたとみられる。

 さらに注目されるのは、今回のモジュールが光デバイスとしてシングルモードVCSELを採用している点だ。LPO開発のロードマップでは、1.6Tや3.2Tといった超高速化や、2km以上の伝送、そして量産性を見据えていることから、シリコンフォトニクスやEMLを用いたアーキテクチャが注目を集めている。対してAdtranは今回、短距離リンク(2km以内)において依然として高い電力効率を持つデバイスであるVCSELを用いることで、短距離における低消費電力という用途に特化した。
 LPOのようにDSPを排した構成では、光デバイス自体の特性がリンク品質と電力効率を大きく左右するため、低消費電力の光源を採用することは重要な設計要素となる。今回の製品は、VCSELと電子回路を含めたモジュール全体の最適化によって高いエネルギー効率を実現したとみられ、データセンタ光接続におけるデバイス選択の多様性を改めて示す事例といえる。

 AIデータセンタのネットワークでは、計算基盤の拡張とともに光リンクの数も急速に増加している。そうした環境では、個々の光モジュールのわずかな電力差も、システム全体の消費電力に大きく影響する可能性がある。今回示された1 pJ/bitという水準は、LPO技術がDSP削減(第一世代)の段階から、光モジュールを再設計する段階への移行を象徴しており、データセンタの電力設計そのものに影響を与える要素になりつつあると言えるだろう。

(OPTCOM編集部)

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