NVIDIAとNokia 、6G向けのAIプラットフォームを先駆的に開発し、通信分野における米国のリーダーシップ復帰を推進
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NVIDIAとNokiaは10月28日(ワシントン D.C. & エスポー)、Nokiaの業界をリードするRANポートフォリオにNVIDIAを搭載する商用グレードのAI-RAN製品を追加し、通信サービス プロバイダがNVIDIAプラットフォーム上でAIネイティブな 5G-Advanced および6Gネットワークを構築することを可能にする、戦略的提携を発表した。
(本抄訳は、10月29日に日本法人が発表)
本提携は、AIネイティブな無線時代の始まりを告げ、エッジにおけるAIを活用した消費者体験とエンタープライズ サービスを支える基盤を提供する。
さらに、本提携は、急成長するAI-RAN市場に対応するものであり、アナリスト企業の Omdia によると、2030 年までに累計 2,000 億ドルを超えると予想される RAN市場における重要な機会を示している。
NVIDIAとNokiaは、戦略的なインフラを構築し、分散型エッジAI推論を大規模に提供することで、通信事業者向けの新しい高成長分野を切り開いている。
T-Mobile U.S.は、NokiaおよびNVIDIAと協力して、6Gイノベーションと開発プロセスの一環としてAI-RAN 技術を推進およびテストを実施する。これにより、無線技術革新を牽引する同社のグローバル リーダーシップが強化される。試験は、2026年に開始される予定であり、顧客向けの性能と効率性の向上の実証に焦点を当てる。
NVIDIAとNokiaは「本取り組みにより、性能と効率性が大幅に向上し、デバイス上で生成 AI、エージェント型 AI、フィジカル AI のアプリケーションを使用する消費者がシームレスなネットワーク体験を確実に得られるようになる。また、ドローンや拡張現実 (AR)、仮想現実 (VR) グラスなど、将来の AI ネイティブ デバイスをサポートし、統合センシングや通信などの 6G アプリケーションにも対応する。
NVIDIAの創業者/CEO である ジェンスン フアン (Jensen Huang)氏は「通信は、経済と安全保障を支えるデジタル中枢であり、重要な国家インフラだ。NVIDIA CUDAと AIを基盤に構築されたAI-RAN は、通信業界に革命をもたらすだろう。これは、米国がこの重要なインフラ技術において世界的な主導権を取り戻すことを可能にする、世代交代的なプラットフォームの転換だ。Nokiaと米国の通信エコシステムと協力して、NVIDIA はこの革命を推進し、次世代のグローバル接続を定義するインテリジェントで適応力のあるネットワークを構築する通信事業者を支援する」とコメントを出している。
Nokiaの社長 兼 CEOであるJustin Hotard氏は「通信の次なる飛躍は、5Gから6G への移行だけではない。データセンタからエッジに至るまでインテリジェンスを処理する能力を備えた AI を活用した接続を提供するためのネットワークの根本的な再設計だ。NVIDIA との提携は、AI-RAN イノベーションを加速させ、誰もがポケットに AI データセンタを入れられるようになる。NVIDIA、Dell Technologies、T-Mobile U.S. と協力してこの業界の変革を推進できることを誇りに思っている。T-Mobileのネットワークにおける初のAI-RANの展開により、AI が必要とする先進的な接続において米国がリードすることができる」とコメントを出している。
AIトラフィックの急激な増加を支援
AIトラフィックは爆発的に増加している。たとえば、ChatGPTの週ごとのアクティブ ユーザ数は8億人に達し、その約50%がモバイル デバイスからサイトにアクセスしている。また、モバイル アプリの月間ダウンロード数は 4,000 万回を超えている。
NokiaとNVIDIAが提供するAI-RANシステムを活用することで、モバイル事業者は性能と効率を向上させ、将来の生成AIやエージェント型AIアプリケーションと体験に向けた、ネットワーク体験を強化することができる。同じインフラを使用して6G向けの新しいAIサービスを導入し、エッジでの接続性、コンピューティング、センシングを必要とするドローン、自動車、ロボット、拡張現実 (AR) グラス、および仮想現実 (VR) グラスなど、数十億の新たな接続を可能にする。
AI ネイティブ ネットワークへのシームレスな移行
NVIDIA は、接続性、コンピューティング、センシング機能を組み合わせた6G対応のアクセラレーテッド コンピューティング プラットフォームである Aerial RAN Computer Pro (ARC-Pro) を発表し、ソフトウェア アップグレードを通じて通信事業者が 5G-Advanced から6Gへの移行を可能にする。
NVIDIA ARC-Pro リファレンス デザインは、メーカーやネットワーク機器プロバイダが利用可能な市販品または独自のAI-RAN製品を構築し、既存の基地局の拡張および新しい基地局の構築の両方をサポートする。
Nokiaは、NVIDIA CUDAプラットフォーム上で5Gおよび6G RAN ソフトウェアの提供を加速するとともに、新しいAI-RANソリューションの中核にNVIDIA ARC-Proを組み込むことで、RANポートフォリオを拡大する。本提携により、Nokiaのモバイル ネットワークの顧客は、現在のRANネットワークから将来のAI-RANネットワークへシームレスに移行することが可能になる。
Nokia独自のanyRAN アプローチは、Cloud RANと専用RANの両方向けにソフトウェア デファインドRANの進化を確立することで、ARC-Pro プラットフォームの導入を簡素化する。AirScale ベースバンドは、新しいカードと以前に展開されたカードを共存できるモジュール式アーキテクチャだ。Nokiaは、AirScale ベースバンドを新しいAI-RAN機能を搭載した5G-Advancedと6G時代への拡張と進化させることをめざしている。
Dell Technologiesは、最先端のDell PowerEdgeサーバを活用して、NokiaのAI-RAN ソリューションの革新を推進している。シームレスな拡張性を実現するために設計されたこれらのサーバは、非接触型のソフトウェア アップグレードと低接触型のシリコン アップグレードを可能にし、5Gから5G-Advanced、6G へのスムーズな進化を確実にする。堅牢な高性能インフラを備えた Dell PowerEdge サーバは、AI-RANソリューションを展開するオペレーターにとって、究極のコンピューティング プラットフォームだ。
6Gを見据えた設計
NokiaとNVIDIAのAI-RAN プラットフォームは、ソフトウェア デファインドのアクセラレーテッド インフラ上で AI と無線アクセスのワークロードを統合し、パフォーマンス、効率、収益化を向上させ、スムーズで費用対効果の高い 6G への道を切り開く。
ソフトウェア アップデートを通じて新機能が追加され、6G 以降の将来性に優れた投資が実現し、AI のペースで急速なイノベーション サイクルが実現する。RAN機能と同じサイトで、増加する生成AIとエージェント型AI のトラフィックを処理し、AIアルゴリズムを適用してスペクトル効率、エネルギー効率およびネットワーク全体の性能を向上させ、活用されていないRAN資産を利用してエッジAIサービスをホストすることで、投資収益率を最大化する。
T-Mobileの技術社長 兼 最高技術責任者であるJohn Saw氏は「米国最高のネットワークにより、T-Mobile は顧客体験を再定義する次世代技術の推進に引き続き注力している。業界をリードするNokiaおよびNVIDIAとの協業は、6G時代を牽引するイノベーションを開発し、接続性の未来を形作る重要な一歩だ。2024年に設立したAI-RAN イノベーション センターの基盤をさらに強化する本戦略的取り組みは、米国のワイヤレス業界を推進する上でT-Mobileのリーダーシップを強固なものにする。2026年から、T-Mobile は先進のAI-RAN技術のフィールド評価とテストを実施し、6G への移行に伴う顧客の進化するニーズを満たすことをめざす」とコメントを出している。
Dell Technologiesの会長 兼 CEOであるMichael Dell氏は「通信業界は、データが作成されるエッジという、AI にとって最も価値のある領域を所有している。Nokiaおよび NVIDIAとのこのAI-RAN協業は、その可能性を現実のものにする。私たちは、10万基以上のGPUを搭載した世界最大級のAIクラスターを構築してきた。現在、私たちはその専門知識を応用し、数百万のエッジ ノード全体にインテリジェンスを分散している。今日、インフラを近代化する事業者は、AIトラフィックを伝送するだけでなく、遅延が重要であり、データ主権が不可欠な発生源で処理を行う分散型 AI グリッド ファクトリーになるだろう」とコメントを出している。
追加の AI ネットワーキング ソリューションの協力
NokiaとNVIDIAは、NVIDIA Spectrum-X Ethernet ネットワーキング プラットフォーム向けのNokia SR Linux ソフトウェアによるデータセンタ スイッチングや、NVIDIA AI インフラ上のNokiaのテレメトリーとファブリック管理プラットフォームのアプリケーションなど、AI ネットワーキング ソリューションでも協力する。
両社は、将来のNVIDIA AI インフラ アーキテクチャの一部として、Nokiaの光学技術と機能の使用を検討する。




