NVIDIAとパートナーが米国のAIインフラを構築し、次の産業革命の実現に向けたブループリントを作成
DX/IoT/AI 無料米国政府の研究機関や国の主要な企業がAIファクトリーを強化し、米国のAI開発の高速化を推進するため、先進的なAIインフラに投資
NVIDIAは10月28日、経済成長を支援し、次なる産業革命を推進するための米国AI インフラの構築に向けて、米国のテクノロジおよび業界リーダーと協力していることを発表した。
(本抄訳は、10月29日に日本法人が発表)
NVIDIAの創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang) 氏は、「私たちは、すべての産業と国の未来を定義する AI産業革命の夜明けを迎えている。米国が未来へのレースをけん引することは不可欠だ – これは私たちの世代のアポロ計画とも言える、歴史的な瞬間だ。発明、発見、進歩の次なる波は、我が国が AIインフラを拡張する能力にかかっている。パートナーである世界有数のテクノロジ企業と共に、NVIDIAはこれまでで最も先進的なAIインフラを構築している。これにより、米国の豊かな未来のための基盤を築き、世界のAIが米国のイノベーション、オープン性、コラボレーションによって実行され、すべての人の利益になることを確かなものにする」とコメントを出している。
NVIDIA AIが国立研究所における科学研究を推進
NVIDIAは、米国エネルギー省 (DOE) のアルゴンヌ国立研究所とロスアラモス国立研究所 (LANL) における先端科学研究の推進に向け、AIインフラを通じて7つの新システムを加速させている。
NVIDIAはOracleおよび米国エネルギー省と連携し、科学的発見を加速するDOE史上最大のAIスーパーコンピュータ構築に取り組んでいる。Solsticeシステムは10万基の NVIDIA Blackwell GPUを搭載し、米国の安全保障、科学、エネルギー領域での技術的リーダーシップを推進するDOEのミッションを支援する。
また、別のEquinoxシステムは1万基のBlackwell GPUを搭載予定で、2026年上半期に利用可能となる見込みだ。両システムはNVIDIAネットワーキングにより相互接続され、AI性能は合計2,200 EFLOPSに達する見込みです。
アルゴンヌ国立研究所は、Tara、Minerva、JanusというNVIDIAベースの強力な3システムを公開した。Argonne Leadership Computing Facilityを通じてアクセラレーテッド コンピューティングの利用機会を拡大し、科学者や研究者による画期的な科学的発見と生産性向上を実現する。
アルゴンヌ国立研究所の所長を務めるPaul K. Kearns氏は「アルゴンヌによるNVIDIA およびOracleとのコラボレーションは、米国のAIおよびコンピューティング インフラを前進させる重要な一歩だ。このパートナーシップによって、性能、スケーラビリティ、科学的可能性を再定義するプラットフォームを構築している。私たちは、今後数十年にわたる新たな科学的発見を支える次世代の計算基盤を共に構築している」とコメントを出している。
ニューメキシコ州に拠点を置くロスアラモス国立研究所は、HPEが構築および納入する次世代のMissionシステムとVisionシステム向けにNVIDIA Vera Rubin プラットフォームとNVIDIA Quantum‑X800 InfiniBand ネットワーキング ファブリックを採用することを発表した。Visionシステムは、非機密研究用に構築されたロスアラモス国立研究所のVenadoスーパーコンピュータの成果を基に構築されている。Missionは、ロスアラモス国立研究所が支援する国家核安全保障局 (NNSA)の先端シミュレーション コンピューティング プログラムにおける5番目の先端技術システム (ATS5) であり、2027年後半に稼働予定だ。これは機密アプリケーション向けに設計されている。
Vera Rubin プラットフォームは、これらのシステムに先進的なアクセラレーテッド コンピューティング性能を提供し、研究者が前例のないスピードと規模で膨大なデータセットを処理し分析できるようにする。超低レイテンシで高いネットワーク帯域幅を提供する Quantum‑X800 InfiniBand ファブリックと組み合わせることで、科学者は複雑なシミュレーションを実行し、材料科学、気候モデリング、量子コンピューティング研究に及ぶ分野の進展を可能にする。
ロスアラモス国立研究所の所長であるThom Mason氏は「NVIDIA Vera Rubin プラットフォームと Quantum X800 InfiniBand ファブリックの統合は、私たちの研究所にとって変革的な進歩だ。このレベルの計算性能を活用することは、最も複雑な科学および国家安全保障上の課題に取り組むために不可欠だ。NVIDIAとの協業により、私たちはイノベーションの最前線に立ち続け、重要なインフラの耐障害性を強化する発見を推進できる」とコメントを出している。
NVIDIA AI Factory Research CenterとギガスケールのAI ファクトリー ブループリント
NVIDIAはまた、バージニア州の Digital Realty に AI Factory Research Center を構築することを発表した。NVIDIA Vera Rubin プラットフォームを搭載したこの施設は、生成 AI、科学計算、先進製造の画期的な進歩を加速し、デジタル ツインと大規模シミュレーションにおける先駆的な研究の基盤として機能する。
このセンターは、NVIDIA Omniverse ライブラリを活用した複数世代のギガワット規模の構築に向けたブループリントであるNVIDIA Omniverse DSXの基盤を構築し、AIインフラの卓越性の新しい基準を確立する。仮想システムと物理システムを統合することで、NVIDIAはパフォーマンス、エネルギー効率、持続可能性を継続的に最適化するインテリジェントな施設を構築するための拡張可能なモデルを構築している。
この新たなセンターを通じて、NVIDIAとパートナーたちは、次世代のAIファクトリーを強化するために自律制御システムとモジュール式インフラを統合するOmniverse DSX の開発に取り組んでいる。NVIDIAは、ギガワット規模のAIインフラの展開を可能にするために、様々な企業と協力している。
・エンジニアリングおよび建設パートナーである Bechtel と Jacobs は、NVIDIA と連携し、複雑な建築、電力、機械、電気システムにまたがる検証済み設計に先進的なデジタル ツインを統合している。
・Eaton、GE Vernova、日立、三菱電機、Schneider Electric、Siemens、Siemens Energy、Tesla、Trane Technologies、Vertiv などの電力、冷却、エネルギー機器パートナーがセンターに貢献している。電力とシステムのモデリングにより、AIファクトリーはギガワット規模で電力ネットワークと動的に連携することが可能になる。NVIDIA Grace BlackwellとVera Rubinプラットフォーム向けに最適化された液冷、整流、電力変換システムも、先行するAIファクトリー デジタルツインのための NVIDIA Omniverse Blueprint でモデル化されている。
・Cadence、Emerald AI、Phaidra、PTC、Schneider Electric ETAP、Siemens、Switch などのソフトウェアおよびエージェント型 AI ソリューション プロバイダは、設計から運用に至るまで、AI ファクトリー ライフサイクルをモデル化し、最適化するデジタル ツイン ソリューションを構築している。AI エージェントは、電力、冷却、ワークロードを継続的に最適化し、AI ファクトリーのデジタル ツイン向けの NVIDIA Omniverse DSX ブループリントを、グリッドの柔軟性、回復力、エネルギー効率を向上させる自己学習システムへと変換する。
米国インフラの次なる波を構築
サーバ メーカー、クラウド サービス プロバイダ、モデル ビルダー、テクノロジ サプライヤ、その他の企業など米国の主要な企業がAIファクトリーを駆動し、米国のAI開発を高速化するために、先進のAIインフラに投資している。
システムメーカーである Cisco、Dell Technologies、HPE、Supermicroは、NVIDIAと協力し、NVIDIAのGPUとAIソフトウェアをフルスタック システムに統合することで、安全で拡張可能なAIインフラを構築している。これには、新しく発表された NVIDIA AI Factory for Governmentのリファレンス デザインも含まれており、公共部門や高度に規制された産業におけるAIの展開を加速する。
さらに、Ciscoは、NVIDIA Spectrum-X Ethernet スイッチ シリコンを搭載した新しい Nexus N9100 スイッチ シリーズを発表した。スイッチが既存のCisco Nexus 管理フレームワークと統合されることにより、顧客はすでに信頼されているツールと運用モデルを活用して、新しい高速な NVIDIA 搭載ファブリックをシームレスに展開および管理できるようになる。
Ciscoは、このスイッチを基盤としたCisco Cloud リファレンス アーキテクチャを備えたNVIDIA Cloud Partner準拠のAIファクトリーを提供する。N9100 Series スイッチは、今年後半に発売される予定だ。
主要なクラウド プロバイダとモデル ビルダーがAIを高速化
クラウド プロバイダとモデル ビルダーは、AI イノベーションのための多様なエコシステムを構築するために、AIインフラに投資を続けている。これにより、米国は、世界中の産業におけるAIの進歩と実用化において最先端の地位を引き続き維持している。
以下の企業は、米国を拠点とする AI イノベーションをさらに強化するために、取り組みを拡大している。
・Akamaiは、コア データセンタからエッジまで AI 推論を拡張する分散プラットフォームであるAkamai Inference Cloudを立ち上げている。これは、NVIDIA RTX PRO サーバにより高速化され、当初は米国5州を含む世界中で20の地域を対象とし、その後さらなる拡大を計画している。
・CoreWeaveは、NVIDIA GPUと検証済み設計上で実行される安全でコンプライアンスに準拠した高性能なAI クラウド インフラとサービスを米国政府向けに提供する新ビジネスであるCoreWeave Federalを設立する。この取り組みには、CoreWeaveプラットフォームのFedRAMPおよび関連機関による承認が含まれる予定だ。
・新しいNVIDIA Cloud PartnerであるGlobal AIは、初の大規模購入で128台の NVIDIA GB300 NVL72 ラック (9,000基以上のGPUを搭載) を導入した。これは、ニューヨーク内のGB300 NVL72の展開としては最大規模となる。
・Google Cloudは、NVIDIA GB300 NVL72 を搭載した新しいA4X Max VMと NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell GPUを搭載したG4 VMを提供している。また、Google Distributed CloudによるNVIDIA Blackwell プラットフォームのオンプレミスおよびエアギャップ環境への提供も行っている。
・Lambdaは、ミズーリ州カンザスシティに、新しい100メガワット以上のAIファクトリーを建設中だ。このスーパーコンピュータは、最初に1万基以上のNVIDIA GB300 NVL72 GPUを搭載し、米国を拠点とする研究者、企業、開発者によるAIのブレイクスルーを加速させる。
・Microsoftは、Microsoft AzureでNVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell GPUを採用しており、先日、OpenAI向けにNVIDIA GB300 NVL72を活用した大規模なAzure クラスターの展開を発表した。さらに、Microsoft は数か月以内に、NVIDIA RTX GPUのAzure Local サポートを追加する予定だ。
・Oracleは先日、NVIDIA AI インフラを搭載した業界最大のクラウド上のAIスーパーコンピュータであるOracle Cloud Infrastructure Zettascale10を発表した。
・Together AIは、5Cと提携し、メリーランド州で既にNVIDIA B200 GPUを搭載した AIファクトリーを運用しており、近日中にはテネシー州メンフィスで、NVIDIA GB200およびGB300システムを搭載した新たなファクトリーを稼働させる予定だ。どちらの拠点も近い将来、拡張を予定している。また、AI ネイティブ アプリケーションの開発とスケーリングを加速するために、2026年に新しい拠点が開設される予定だ。
・xAIは、テネシー州メンフィスに大規模なColossus 2 データセンタを建設中であり、このデータセンタには50万基以上のNVIDIA GPUを搭載し、次世代AIモデルの高速かつ最先端レベルのトレーニングと推論を可能にする。
米国企業が産業向けAIインフラを構築
クラウド プロバイダやモデル ビルダーにとどまらず、米国の様々な組織が、創薬やヘルスケアなど様々な業界でワークロードを加速するAIインフラを自社向けおよびその他の企業向けに構築、提供することを検討している。
Lillyは、NVIDIA DGX SuperPODとNVIDIA DGX B300 システムを搭載した製薬業界で最も強力なAIファクトリーを構築している。NVIDIA Spectrum-X Ethernetと NVIDIA Mission Control ソフトウェアを搭載することで、同社は創薬と設計を高速化する大規模な生体医学基盤モデルを開発およびトレーニングできる。このAIファクトリーは、LillyのNVIDIA RTX PRO Serversの活用を基盤とし、企業のAIワークロードを高速化することで創薬と研究を推進している。
2,000万枚のデジタル化された病理スライドと世界最大の患者データベースにアクセス可能なMayo Clinicは、DGX B200システムとNVIDIA Mission Controlを搭載した DGX SuperPOD によるAIファクトリーを構築した。これにより、医学研究、デジタル病理学、個別化医療などのヘルスケア アプリケーションを推進し、患者の治療成果を向上させるために必要なAIの計算能力が提供される。




