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日本ケーブルテレビ連盟 第48回定時総会Report・1

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 日本ケーブルテレビ連盟(JCTA)の第48回定時総会が6月5日に開催された。今回は新型コロナウイルス感染予防の観点からストリーミング配信で開催され、19年度事業報告や20年度の主な取り組みについて説明された。

 開会の挨拶では、同日付でJCTA理事長を退任した吉崎正弘氏(現・名誉顧問)より、これまでのCATV業界の変遷を振り返るとともに、今後の業界に対する想いが語られた。

テレトピア構想が支えた都市型多チャンネルCATV

開会の挨拶に登壇したJCTA理事長の吉崎正弘氏

 吉崎氏がCATV業界に初めて携わったのは1987年の7月であり、郵政省、通信政策局、政策課の課長補佐として地域情報化を担当することになったという。この時期は電気通信の自由化により電電公社が民営化されNTTとなり、NCCの参入が進み、自由闊達な電気通信市場を創っていくという機運が高まった時代だ。

 電電公社が民営化されるにあたって株式化がされ、その株式の売り上げの大半は国鉄の赤字債務の補填に充てられた。一方で、電電公社が民営化されることで、市場原理が及びにくい基礎研究への投資が進まないという見通しにより、NTT株の配当益を使った基盤技術研究促進センターの研究開発に国費が投入された。吉崎氏は当時を振り返り「売却益で社会資本が整備されたものの、せっかくのNTTの株式なので、情報通信分野で新たな設備投資をする際に使えないかという制度設計をするのが、当時の私の仕事だった。具体的には、NTT株式の売却益を活用した、いわゆるCタイプという無利子融資の制度を創設した。その際に整備すべき対象としてのメディアは二つあった。一つは通信メディアのキャプテンシステムと呼ばれるもので、文字や音声、画像を電話線で送るというものだ。このキャプテンシステムのサービスは終了したが、それと同じ役割は現在のインターネットで実現している。そしてもう一つのメディアがCATVだった。全国情報ではなく、地域発の情報。当時はまだ、エリアの中でしか流通できない映像情報だったが、コミュニティチャンネルとして、地域の結束力強化などに役立つのではないかということで、CATVを整備される方には無利子融資を決めた」と語った。

 この無利子融資は「テレトピア構想」であり、地方公共団体が地域の情報化の計画を出し、それを郵政省が認定をすると、同計画に記載されているシステムには日本開発銀行(現在の政策投資銀行)が無利子で融資をするという政策だった。当時の金利が7%を超えている中、同政策は15年償還で3年据置というものであり、実質は5割補助に近い効力があった。この1987年から1989年にかけては、BSやCSによる映像伝送が立ち上がり始めた時期だ。特にCSは家庭で直接受信できないことから、CATVのHEに大きなパラボラアンテナを設置し、衛星通信で受信して加入者に流す「スペース・ケーブルネット構想」が打ち出されることになった。いわゆる、都市型の多チャンネルCATVの幕開けだ。ここ数年で開局30年周年のCATV局が多く聞かれることからも、このテレトピア構想の黎明期に開局が多かったことが分かる。吉崎氏は「私も何局かのパーティーに参加させていただいたが、私としてみれば“自分も一緒に立ち上げた”という気持ちの局が、30年後、立派な姿になっていることが嬉しかった。そして自分のやってきたことは間違いではなかったという思いを強くした」と述べている。

放送か通信かを意識しないで映像や音声を自由にやりとりする時代

 1997年になると、吉崎氏は次のポストとして放送行政局の有線放送課長を希望したという。その理由について同氏は「当時のCATVは、有線の放送をエリアの中だけでやっていた。その一方で、アメリカではWindows95の登場によりインターネットが普及し、その情報基盤としてCATVが既に活躍していた。これから交換機の無い情報通信の時代になった時に、ツリー型のネットワークであるCATVが、放送だけでなく通信も提供できるインフラとして威力を発揮する。そして、いずれインターネットが社会全体に普及し、CPUの機能も向上する流れの先には、テレビとパソコンの区別がつかない、そして放送か通信かを意識しないで映像や音声を自由にやりとりする時代が来る。その時に、実は非常に身近にあるのがCATVであると考えた」としている。
 希望のポストに就任した吉崎氏は、自身が思い描くビジョンを電気通信審議会でCATVの将来ビジョンとしてまとめた。同氏は「無線の免許を取得し、実証実験も行った。また、通信の機能を保つためには流合雑音問題を解消しなくてはいけないので、幹線を光ファイバにするHFC化も進めた。多くの予算が必要になるということで、二年半の在任中に新世代ケーブル補助金として350億円を交付した」と話している。
 また、当時はBSのデジタル化もあった。当時のCATVにはデジタルBSをパススルーする設備は無く、圧縮をかけるトランスモジュレーションの開発が急務とされた。吉崎氏は「この開発に国費を30億円ほど投入した。当時、たまプラーザにあったイッツコムにラボを作り、そこでトラモジのソフト開発を行ったりもした」と当時を振り返る。

従来のCATVビジネスに加わる四つの意識改革

 日本のCATV業界を牽引してきた吉崎氏は、2016年にJCTAの理事長に就任した。同氏は就任当初「いよいよ有線も無線も無い、加入者は通信も放送も意識しなくなる時代だ。一方で、CATVは小さな会社が林立している業界である。通信のメガキャリアというマンモスのような存在が来た時にどう立ち向かうのか」と危機感を募らせたという。
 そこで吉崎氏は、通信と放送、有線と無線の垣根が無くなっていく中で、本来はこれら全てに対応が可能で、大きな活躍ができるチャンスがあるCATV業界に、様々な方向性を打ち出したという。同氏は「なかなか新しい動きが取れないのがCATV業界。何とかしなくてはいけないということで、伝統的なCATVからは非常識と思われるような新機軸を出してきた。特にこの一年については、少し早いとは思ったが、今日を予感して意識を変えてくださいというお話を会員の皆様に伝えた。有線から無線、放送から通信、インフラから上位レイヤ、B2CからB2B、B2Gという4つの意識改革をしてくださいというお願いをした。これは、従来からの有線放送やB2C向けのインフラビジネスをやめろと言っているのではなく、今まで手を付けていない、あるいは意識があまり向いていない無線通信やB2B、B2G、あるいはコンテンツといった分野に、より気持ちを振り向けていただきたいということだ」と心中を語った。

 吉崎氏は最後に「私は在任中の4年間にやってきたことを後悔していない。CATVを取り巻く環境に時間があまりないことから相当の無理をお願いしたが、意識改革をして欲しいという気持ちに免じ、お許しいただきたい。きっと、皆様方のお役に立てるものと思っている。この一年間の細かい話は、これから事業報告等でなされる。その結果を、今後は各会員個社の皆様方が自分の事としてどのように実行していくかを考えていただく、そんな時間帯だと思っている。連盟本部として、今出せるものは出し尽くした。これからしばらくは、現場の時間帯だと思っている」との思いを語ると、自身の理事長退任を告げると共に、業界各位への感謝の言葉を述べた。

特集目次

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日本ケーブルテレビ連盟 第48回定時総会Report
1・吉崎理事長の挨拶
2・(後日更新)

ケーブル技術ショー2020出展製品ピックアップ
住友電気工業
(以下、後日更新)

出展製品ピックアップ

日本ケーブルラボ 第35回ワークショップ Report