光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

Interop Tokyo2025 Preview【アイランドシックス / PacketLight Networks】

期間限定無料公開 有料

 PacketLight Networks(以下、PacketLight)は、1Uのコンパクトで高性能な光伝送装置を提供し、業界から高い評価を受けているイスラエルの企業だ。特に、使いやすさ、セキュリティ、拡張性の面で優れており、データセンタや通信キャリア、企業ネットワークなど、様々な用途に適している。日本国内ではアイランドシックスが総代理店として製品の販売やサポートを提供しており、導入が進んでいる状況だ。例えばMIXIは、東京と印西のDCI(データセンタ間接続)構築においてPacketLight製品を採用し、約70kmの距離での300G回線による低遅延かつ高セキュリティな通信を実現しており、運用の効率化とコスト削減を達成している。

 PacketLightの技術の強みには、光伝送装置でのLayer1暗号化(GCM-AES-256)もあり、他のLayerの暗号化と比較して処理のオーバーヘッドが最も小さく、超高速で大容量な回線を一括で保護できることで、スループット100%のまま低遅延を実現し、Layer2、3の暗号化とは一線を画す特長として注目されている。例えば、AIデータセンタ間通信、金融や証券業界の超高速取引回線、データセンタ間のミラーリング(ストレージ レプリケーション)など、今後の成長が見込まれている市場では、遅延の影響により伝送距離の制限が発生する場合があるので、それを解決する有効な手段となる。
 
 また本展では、PacketLight NetworksのCEOであるKoby Reshef氏が特別講演として来日し、AI時代の光通信インフラについての講演も予定している。

1Uで1.6Tbps を実現した2x800G マックスポンダ「PL-8000M」

 1Uサイズの筐体に2つの800GプラガブルOpenROADMコヒーレント光モジュールを搭載し、最大1.6Tbpsの伝送容量を実現する光伝送装置。既存のOTN/DWDMインフラを800G波長でアップグレードし、大規模なAIアプリケーションが稼働するデータセンタ間の相互接続において高速・大容量の通信を提供する。アイランドシックスの通信インフラ事業部 プリセールス マネージャーである山口 闘志氏は「北米ではGPUの分散処理が始まっており、データセンタ間の通信における供給電力の課題解決などで期待が高まっている。そこで今回、AIデータセンタ間の通信を想定したPL-8000Mのライブデモを実施する」と話している。
 
 1Uで1.6Tbpsという設計は、発熱の管理(放熱設計)、電力供給と分配の効率化、シグナルの干渉制御など、高度な設計技術が必要であり、業界でも先進的かつ希少な仕様だ。特に、スペース効率と運用コストの重要性がより高まっているデータセンタやキャリア網で、非常に有用な製品と言えるだろう。小規模拠点やエッジDCへの導入適性も高く、モジュール単位の段階導入(Pay-as-you-grow)の観点からも優れた製品だ。山口氏は「PacketLightは創業当時から1Uの伝送機器を設計しており、その独自のノウハウにより実現した」と話す。

 100GbE、400GbE、800GbEサービスに対応する標準光モジュール インターフェイスに対応しているので、100Gのスモールスタートから、将来的に800Gに拡張することも容易だ。セキュリティ面では、GCM-AES-256暗号化機能を搭載した安全な通信に加えて、将来対応として量子コンピュータ対策といったより強固なセキュリティ要件を満たすQKD(量子鍵配送)もサポートしている。山口氏は「お客様からは、専門知識がなくても簡単に設定・運用できる点もご評価いただいている」と話す。

「PL-8000M」

1Uサイズ10×800G対応の高密度トランスポンダ「PL-8000G」

 ハイパースケールDCIやAI GPUクラスタの相互接続といった大容量アプリケーション向けに最適化されており、800G DWDMを活用した高効率な光伝送を実現する。1Uサイズに最大10ポートの800Gトランスポンダ機能を搭載し、800GbE、400GbE、100GbEといった各種イーサネット サービスをサポートする。

 EDFAおよび光スイッチを内蔵することで、光信号の減衰を補償しつつ、自動プロテクションスイッチングによる高い耐障害性を提供する。さらに、OpenZR+およびOpenROADMに対応し、マルチベンダ環境での相互運用性を確保している。
 AIクラスタやクラウドスケール展開に必須の大容量光伝送を低コストで提供する点が高く評価されており、特に、1Uサイズで8Tbpsの伝送容量を実現する設計は、業界でも非常に珍しく、市場最高密度と言えそうだ。
 柔軟な拡張性、高度なセキュリティ、優れた管理機能を備え、TCOの削減にも貢献する同製品は、今後の大容量ネットワークの構築や拡張を検討している企業にとって、非常に有力な選択肢となるだろう。山口氏は「北米など、大容量のトラフィックを扱うシーンをターゲットに開発された製品だが、日本市場での需要動向を探ることや、PacketLightの高密度実装の技術を知っていただくために、ブースでご紹介する」と話している。

「PL-8000G」

32個のFlex Gridポートをサポートした1UのROADM「PL-1000GRO」

 PL-1000GROは、32個のFlex Gridポートをサポートし、プロバイダによる動的かつアジャイルなメッシュおよびリングネットワークの構築を可能にするROADMであり、5月末に発表されたばかりの新製品だ。
 1Uで低消費電力の小型筐体で、カラーレス、ディレクショナルレス、フレックスグリッドをサポートしている。山口氏は「従来はMUX/DEMUXは別の筐体だったが、それも一体化しているのが、この製品の強みだ」と話している。

 先進的な次世代波長選択スイッチ技術を採用しており、50/75/100/150GHzおよび将来のフレックスグリッド信号帯域幅を同じファイバ上で混在させることができる。これにより、100Gから800G、そして新たに登場する1.6Tまで、様々な容量を同じファイバで伝送できるため、ファイバの利用率が最大限に高まる。また、任意のネットワークノードで選択した波長を動的に追加または削除し、ノードの容量をシームレスに制御する。波長のパワーを自動的に均等化し、バランスを調整する。
 山口氏は「最近はIPoDWDMの需要が増えてきたので、その市場をターゲットにご紹介していく」と話す。

「PL-1000GRO」

SilicomのFPGAベース製品

 ブースでは、アイランドシックスが国内代理店を務めるSilicomの製品も紹介される。
 Silicomは、高性能ネットワーク製品、エッジ コンピューティング システム、ハードウェア アクセラレータ、FPGAベース製品の提供において20年以上の実績を持つイスラエルの企業だ。FPGAを活用したネットワーク アプライアンスやSmartNIC、ハードウェア アクセラレーション カードなど、通信用途に最適化したソリューションが特長であり、通信事業者やデータセンタ事業者向けの高パフォーマンス・低遅延製品として、市場で高い評価を得ている。

 クラウド、データセンタ、エッジAI、金融、SD-WAN/SASE、サイバーセキュリティなど、急速に拡大する複数の市場で強みを持つ企業であり、アイランドシックスの通信インフラ事業部 セールスマネージャーである吉村 高幸氏は「今回の展示では様々な市場のお客様にFPGAベース製品をご紹介し、ご要望に関するヒアリングもする。また、6Gの研究・開発におけるSmartNIC『N6011』の有用性もご紹介する」と話している。

SilicomのSmartNIC「N6011」は、現行の通信ソリューションにおいては、マルチアクセス エッジ コンピューティングや、6Gの先行技術と重なる5G vRANなどの用途で有用な製品だ。画像は、同製品を使用した5G RANのイメージ。

SmartNIC「N6011」のブロック ダイアグラム。Intel Agilex AGFB014 FPGAを搭載した高性能な製品であり、5GvRANだけでなく6Gの研究開発においてもリアルタイム処理やプロトコル検証に適したスペックを有している。こうしたブロック ダイアグラムからも、SilicomがFPGAを活用した高性能なネットワーク・エッジ向け製品を提供するベンダであることが分かる。なお、先進的な通信事業者や伝送機器ベンダの6G研究では、FPGA SmartNICによるPHY〜MAC層のリアルタイムな前処理に、GPU側でのAIによる最適化や異常検知およびスケジューリング判断の制御を組み合わせるタスク分担を理想とする傾向もある。

 SmartNIC「N6011」を構成する各機能は次の通り。

Intel Agilex AGFB014 FPGA:1.4Mロジックエレメントを持ち、柔軟なハードウェアアクセラレーションが可能。内蔵のHard Processor System (HPS)には、64ビットのクアッドコアARM Cortex-A53が含まれ、PTPスタックの実行などに利用可能。最大58Gbps PAM4トランシーバによる高速シリアル通信で、6Gで想定されているサブTHz帯や広帯域にも対応。

Intel E810-CAM2 NIC:2つの100GbE(QSFP28/56)ポートを提供し、仮想化やトラフィック フローの分類をサポート。PCIe Gen4 x 16インターフェイスは、ホストシステムとの高速データ転送を実現し、FPGAとNICの両方に対してx8の帯域幅を提供。

DDR4メモリ:FPGAファブリックおよびHPS用に複数のDDR4メモリコントローラを搭載し、高速なデータ処理を実現。

タイミング同期機能:PTPやSyncEを正確に扱えるため、6Gネットワークスライシングや分散アンテナシステムの実験にも適している。

 SmartNIC「N6011」のこれらの機能により、新しい6Gプロトコルの検証や、eCPRI/CPRIインターフェイスの実験に対応できる。また、HPSを活用して、エッジAI処理やインテリジェントなネットワーク制御も可能だ。6Gの研究開発において必要とされる高性能、そして高精度な同期機能を兼ね備えたプラットフォームと言えるだろう。
 こうしたFPGAベースSmartNICはベンダ フリーなので、ユーザ主導で機能を追加、削除できる柔軟性もあり、研究・開発やプロトタイプ、ニッチなアプリケーションに最適なシステム設計ができる。

Silicomは、全世界で200 社を超える顧客を持ち、400件以上の設計受注を誇る。また、 300を超える製品を提供しており、定期的に顧客の仕様に合わせてカスタマイズしている。OEMにも力を入れており、世界的メーカーを中心に製品を提供している。吉村氏は「Silicomは、大手通信機器メーカーやクラウドベンダのOEMパートナーとしても実績は多い。通信事業者向けOEMによる高い品質、高い信頼性という強みや、小ロット(数台)対応という強みも有る。今回の展示を機に、FPGAを活用した低遅延や時間同期、設計の柔軟性をご紹介する」と話している。

 SilicomのFPGAベースSmart NICはグローバルで高い評価を得ており、直近では5月末に北米での大型受注を発表している。(当サイト内関連記事)

 

特集目次(50音順)

特集TOP

・アイランドシックス / PacketLight Networks

住友電気工業

以下、後日更新