Interop Tokyo2025 Preview【リボン・コミュニケーションズ】
期間限定無料公開 有料Ribbon Communications(アメリカ、テキサス。日本法人:リボン・コミュニケーションズ)は、リアルタイムコミュニケーション技術とIP&光伝送ソリューションを提供し、世界各国のサービスプロバイダや重要インフラ事業者など多くの顧客のネットワークの維持・最適化を実現している企業だ。今回は、出展ブース内でルータ「NPT 2714」や「NPT 2507」をはじめとした様々な製品を展示する他、ShowNetではコンパクトROADM「Apollo 9603」や、10GbE以下の低速回線の集約装置として「Apollo 9901X」が設置される。

展示予定製品。
Ribbon Communications が2020年に買収したECI Telecomの技術をベースとしたIP&光伝送ソリューションは、日本市場でも存在感を強めている。小型・高密度なOTN/WDMトランスポート「Apollo」シリーズ、 IPトラフィックを高効率に集約する高密度IPル―ティングシステム「Neptune」シリーズ、AIによるマルチレイヤ自動化プラットフォーム「Muse」をラインアップしており、これらを連携したマルチレイヤ ネットワーク ソリューションは、光伝送(L1)、パケット転送(L2/L3)、および自動化・管理(OSS/BSS連携)の3層にまたがるエンド・ツー・エンドの統合ソリューションを提供している。例えば「Apollo」(光レイヤ)と「Neptune」(IP/MPLSレイヤ)を「Muse」が連携制御し、光とパケットの両方でトラフィックを可視化・最適化できる。これにより、トラフィック輻輳時や障害発生時に、IPレイヤでのリルートだけでなく、光レイヤからのパス変更も含めた総合的な対応が可能だ。また、柔軟なスケーラビリティもグローバルで高い評価を得ており、中小キャリアからTier 1オペレータまで、用途に応じたスケーラブルな展開や、エッジ、メトロ、コアにまたがる包括的なアーキテクチャも構築できる。
本記事では、各製品の特長を詳しく見ていきたい。
高密度実装OTN/WDMトランスポートの「Apollo」シリーズ
OTN/WDMトランスポートの「Apollo」シリーズは、小型筐体への高密度実装と、低消費電力が特長だ。小型筐体は”Pay As You Grow”のスモールスタートにも適しており、日本市場では希少かつ価値ある選択肢として注目が高まっている。また、欧米を中心に導入の広まっているLayer 1暗号化(GCM-AES-256)も備わっており、データセンタ間接続や金融分野など低遅延が求められるネットワークでは特に注目が高まっている。
2UのROADM「Apollo 9603」
コンパクトROADM「Apollo 9603」は2Uの筐体で方路毎のカード冗長性を持ったFlex Grid対応などの高機能を実現しており、クライアントと回線を合わせたプラットフォーム容量は合計4.8Tを提供する。
リボン・コミュニケーションズ のIPオプティカル営業本部 本部長である宮下 泰彦氏は「カードを入れ替えることによってリング、メッシュ、ROADMなど、様々なシステムが構成できる。日本のお客様にこうした2U製品をご紹介すると、そのコンパクトさは日本市場では珍しく、また小型ながら用途に十分な機能が備わっているということで、ご注目いただいている。例えばエッジでは、AIも視野に入れたネットワークの低遅延化・大容量化をしておきたいというニーズが高まっており、コンパクトなROADMはそれに適しているということでお引き合いが増えている状況だ」と話す。

コンパクトROADM「Apollo 9603」。
大容量トランスポンダ「Apollo 9408」
大容量トランスポンダ「Apollo 9408」は最大1波1.2Tのトランスポンダ カード「MPJ1200_2」や、ニーズに応じて400G単位で拡張が可能なトランスポンダ カード「MPQ_8」を用意している。宮下氏は「大量のトラフィックを扱うことが明確な場合は1.2TのMPJ1200_2による効率化をお選びいただき、成長やトラフィックの増加にあわせて拡張して初期投資を最適化する場合はMPQ_8をお選びいただける。日本の市場ではMPQ_8のお引き合いが多い状況だ」と話している。

大容量トランスポンダ「Apollo 9408」。高性能なトランスポンダ カードにより、ユーザのニーズに合った機能を2Uの筐体で提供し、設置スペース、冷却、電力コストを大幅に低減する。

「Apollo 9408」に実装するトランスポンダ カード「MPQ_8」は、コヒーレント400Gでは1スレッドあたり3.2T、2Uで最大12.8Tの容量を実現し、ラックスペースの効率化に貢献する。2024年に海外で実施されたデモでは、Acaciaの131Gbaud 800G ZR+を使用した2Uトランスポンダ筐体による25.6Tという業界をリードする高密度実装と0.07W/G未満の低消費電力を披露しており、スペース、電力、冷却コストを節約してTCOを大幅に削減するソリューションとして期待が高まっている。

「Apollo 9408」に実装する最大1波1.2Tのトランスポンダ カード「MPJ1200_2」は、5nmプロセスの140Gbaud DSPを搭載し、大容量伝送を実現している。
10GbE以下の低速回線を集約する「Apollo 9901 X」
コンパクトOTN「Apollo 9901 X」は1Uの筐体で10GbE以下の低速回線を集約(MUX)できる装置。宮下氏は「100G、400G、800Gという高速化が花盛りだが、実際のユーザ様の立場からすると、ギガビットイーサネットや10Gが有るので、そのレイヤと100G、400Gを繋ぐ中間層をどうするかが課題となっている。そこで当社は、Apollo 9901 Xで複数の低速回線を一気に100GまでMUXして上位に繋ぐという機能をご提案している」と話す。

コンパクトOTN「Apollo 9901 X」。
IPトラフィックを高効率に集約する高密度IPル―ティングシステム「Neptune」シリーズ
「Neptune(NPT)」シリーズは、IPと光の統合、柔軟なスケーラビリティ、SDN対応など、現代のネットワーク要件に対応した先進的なソリューションを提供している。
IPoDWDMの領域では、400G ZR/ZR+プラガブル光モジュールや外付けアンプ等に対応したIPルータとして、IPと光のシームレスな統合を実現。光トランスポート製品「Apollo」との連携により、単一ベンダでのエンド・ツー・エンド ソリューションを提供できる。また、マルチレイヤ自動化プラットフォーム「Muse」と連携し、ネットワークの自動化と最適化も実現できるので、ライフサイクル管理のサポートや、迅速なサービス展開が可能だ。リボン・コミュニケーションズ のシステム技術部 部長である滝広 眞利氏は「NeptuneとApolloの組み合わせは、接続性に不安が無いことや、エンド・ツー・エンドでの最適化ということで日本のお客様からもご注目いただいており、単独よりもセットで導入されるケースの方が多い」と話している。
36個の400G ZR+を実装できる高密度6Uルータ「NPT 2714」
大容量アグリゲーション・ルータ「NPT 2714」は、モジュラー・システムと固定システムの長所を組み合わせることで、冗長性を最適なコストで実現しながら、運用の継続性による柔軟性と拡張性を可能にする製品。
筐体前面のスイッチカードを省いた構造となっており、全てのスロットにインターフェイス カード(IF)を実装できる高密度化を実現している。
滝広氏は「電力も余裕を持たせているので、全キャパシティをコヒーレントのインターフェイスで使える。具体的には36個の400G ZR+を実装できるので、WDMを中継するルータとして使っていただける14.4Tbpsの装置となっている。これを6Uの筐体という高密度実装で実現しているので、業界でも非常にユニークな装置としてご紹介している」と説明する。

大容量アグリゲーション・ルータ「NPT 2714」。2 つのスイッチング ASICを使用して14.4Tbps のスイッチング容量を提供することで、7.2Tbpsから14.4Tbpsへのインサービス アップグレードが可能になる。前面には最大9枚のIFを垂直に実装でき、スイッチカード等は背面から水平に実装する直交ハードウェア設計となっている。

「NPT 2714」のハードウェア設計。モジュラー型と固定型のアーキテクチャの長所を融合した、最先端のモジュラー集中型ルータとなっている。CIPSとMCPカードはメッシュ接続しており、優れた冗長性を実現している。直交ハードウェア設計により、ZR+コヒーレント インターフェイスの高密度実装にも耐える優れた冷却効率も実現している。
AIによるマルチレイヤ自動化プラットフォーム「Muse」
ネットワーク運用の自動化と可視化を支えるプラットフォーム「Muse」は、グラフィカルなLow-Codeツールによる直感的なワークフロー構築と、サービス設計テンプレートにより、構成作業の迅速化とヒューマンエラーの削減を実現する。また、Network Insightsによるトレンド分析や、光パスの品質を可視化するグラフ機能により、ネットワーク全体の健全性を把握し、予兆検知やトラブルシュートを強力に支援する。
こうした機能を「Apollo」や「Neptune」と連携させることで、サービス ライフ サイクルの自動化を可能にする次世代のネットワーク運用基盤として注目が高まっている。
リボン・コミュニケーションズ のカントリーマネージャーである日野 達基氏は「昨年からMuseを本格的にご提案しており、非常に良いご評価を頂いている。例えば、WDM製品の差別化は難しいが、MUSEによる統合管理とApolloの小型・高密度という組み合わせは、使い勝手の良さという差別化ポイントとしてご注目いただいている」と話す。

「Muse」の表示画面例。「Apollo」シリーズや「Neptune」シリーズの強みの一つである、小型・高密度な装置によるスモールスタートからの段階的な拡張は、以前であれば規模の拡大によるネットワーク管理の煩雑化が懸念されたが、AIによるネットワーク管理が業界のスタンダードになる今後はそうしたデメリットは軽微なものとなる。Ribbon Communicationsが得意とする小型・高密度な筐体設計やスケーラブルなネットワーク構成は、AIによるネットワーク管理という業界トレンドによって、今後は飛躍的に価値が増すことになるだろう。同社のAIツールである「Muse」は、それを実現する最も相性の良い管理・自動化プラットフォームとなるので、会場で示される最新のスペックは一見の価値がある。
日野氏は「Apolloシリーズ、Neptuneシリーズ、Museの組み合わせは、クイックで、シンプルで、フレキシブルという強みを打ち出していると自負している。このフレキシブルは価格競争力も生み出しているので、市場における差別化ポイントにもなっており、日本市場では結果として中小規模の事業者様にご採用いただいているケースが増えている。一方で、大手の事業者様によるAI関連のデータセンタ投資でも価格競争力が求められている状況なので、当社としては全方位的に取り組んでいく」とし、「日本市場に参入した際は、小型・高密度実装の筐体が珍しいとご注目を頂いた。そうした特長を日本の皆様にお役立ていただきたいという想いもあり、昨年から、IOWNグローバルフォーラムに参加した。当社はグローバルで活動しているので、フォーラムの皆様がグローバルで実現しようとしている内容に少しでも貢献していきたい」と今後の展望を話している。