「COMNEXT」2025出展製品Preview【NEC】
期間限定無料公開 有料光トランシーバ製品ラインアップや、オール光ネットワークに貢献する技術、5G基地局向け55%の高効率パワーアンプを展示
400G QSFP-DD ZR/ZR+ライブデモンストレーション
NEC製400G QSFP-DD ZR/ZR+を使用し、WhiteBoxスイッチと組み合わせたDC間接続構成を実演する。「従来はシステムベンダやSIer等がNWシステムをインテグレーションしていたが、最近はオープン化によりNW構成要素の機能が分離され、ユーザ自身でNWシステムを構築する流れがある。今回はデモを交えながら、オープン化のメリットである低コスト化や、各構成用品を自由に選択できることによる機能向上の加速をご説明する」(担当者)
NECは、光ネットワークのオープン化への対応にいち早く取り組んでおり、この領域の深い知見がある。また、多様なニーズに応えられる光トランシーバ技術の強みも有る。今回のデモではそうした最新動向を知ることができるだろう。
光トランシーバ製品ラインアップの紹介
NECの光トランシーバ製品は、従来からコヒーレント系や、モバイルフロントホールで使われる一心双方向タイプに強みがあり、最近ではそのノウハウを活かしたラインアップの拡充を進め、多様化する市場ニーズに対応している。また今年は5Gモバイルネットワーク向けに、業界最長クラスの40km伝送を実現した25G Tunable SFPの長距離版の販売を開始した。「昨年末に販売を開始した一心双方向の100G QSFP28 ZR4 BiDiは、他では見ない製品ということでご注目いただき、ご採用が増えている状況だ。今回の展示では、こうした新製品を含め、NECの光トランシーバ製品のラインアップを静態展示し、様々な用途でご提案する」(担当者)
オール光ネットワーク共通基盤技術の研究開発への取り組み
NECは次世代光技術の研究開発として、NICT(エヌアイシーティー)(*1)の委託研究にてオール光ネットワーク共通基盤技術の研究開発に取り組んでおり、「分散型ROADM技術」「光ネットワークフェデレーション技術」が紹介される。「共通基盤実現により、あらゆるものが光技術で相互接続されることによるAI活用等のイノベーションの加速が見込まれている。また、地方分散化により、生成AI等に伴う土地・電力の不足解消と地方創生も期待できる」(担当者)
(*1)国立研究開発法人情報通信研究機構

「光ネットワークフェデレーション技術」と「分散型ROADM技術」の導入イメージ。
「これまで単一事業者のAPNに対する研究開発は行われているが、本研究では複数の事業者間を接続してエンドエンドでの光通信を実現することが大きな目的となる。複数の事業者間をシームレスに接続する『光ネットワークフェデレーション技術』では、ビジネスの加速や災害時の早期復旧を実現する。また、メトロで使われているROADMの機能を分散してユーザ拠点側のアクセス網に適用する『分散型ROADM技術』では、WDMの領域を拡大することで低遅延と大容量化を実現していく」(担当者)
通信キャリアのみならず、分散型ROADMの導入が想定されるDC事業者などのユーザ向けにユースケース・SLAを最適化する研究開発では、アクセス網へのWDM技術の適用を前提として、ユーザ拠点へ配備できる小型APNノードの実現に取り組んでいる。「アクセス網に既存の装置を適用するには機能・サイズ・価格ともにスペックが過剰であるため、高密度実装によりキャリアROADM装置比で50%の小型化をめざす」(担当者)
各事業者で所有しているAPNの経路情報をAIで自動生成し、その経路をラベリングして共有・活用する光ネットワークフェデレーション技術の研究開発により、事業者間のAPN経路をシームレスに活用し、迅速に目的に応じた経路生成を実現する。「NECの研究分野は、AIを用い、APNの様々な情報や状況に応じてどの様な経路が運用上最適であるかを算出するとともに、他事業者から共有されたAPNの経路の情報も用いることで、事業者間をまたぐネットワーク設計の実現と運用のシナリオを自動生成する機能となる」(担当者)
また、会場ではAPN関連としてWhiteboxトランスポンダーのWX-T(400G-TPND)シリーズやOAO型波長変換試作機が出展される。
5G基地局PAM
NECは、5G基地局のRU(Radio Unit)向けPAM(パワーアンプモジュール)の研究開発を進めており、25年度に電力効率55%のPAMをRU商用機に搭載する予定だ。Sub-6GHz帯の商用PAMは45~50%が高効率とされているので、それを上回る55%のPAMが実用化されれば、環境負荷低減を重視するグローバル調達において強力なアドバンテージとなる。「高周波の高効率回路設計手法を確立させ、最先端GaNデバイスに適用することで、世界最高の電力効率を実現した。同時にNECが保有する高集積化技術を用い、PAMの超小型を図った」(担当者)

NECのPAMは、優れた電力効率と超小型化を実現。
NECのRUは、国内市場の実績はもちろん、海外市場でもTIP Open RAN認証モデルが注目され順調に拡大している。そこで培われた、高い通信品質を実現するデジタル信号処理や、歪補償(DPD)の技術、そして適切に電波を届けるビームフォーミング技術も高い評価を得ており、これらの制御技術と55%の高効率PAMを一体で設計・制御できることが、NECの高効率RU開発の強みとなる。「ネットワーク消費電力の73%がRANの消費電力、そのうち基地局装置が50%を占めるという実態がある。そこでNECでは、高周波回路設計技術と電力制御技術の双方で基地局装置の低消費電力を実現し、通信事業者様を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく」(担当者)

高効率RUを支えるRF技術。