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シスコジャパンの中堅・中小企業向けビジネス戦略【3:ネットワークを起点とした網羅的なセキュリティ】

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 ここで話をシスコの取り組みに戻したい。石黒氏は「上原先生のご講演のポイントは、セキュリティ対策の中心としてユーザ端末やOSアプリケーションのアップデートが実行されている中でもセキュリティ脅威が拡大している理由は、ネットワーク型の脅威が拡大しているという点だと思う。我々はネットワーク製品を扱うメーカーとして、中堅・中小企業のマーケットに対しての責任もあるので、セキュリティ対策もご提案する」とし、メーカー視点からのセキュリティの現状と課題について「働き方改革は大手企業だけではなくて中堅・中小企業でも同様に起こっている。クラウドは普及したが、その管理はファイアウォールを経由する対策のみだ。またリモートワーカーが増えVPN経由になったことで、生産性の維持が苦しくなっている。一方で、UTMが導入当時からアップデートしていないという現状もある」と指摘している。

シスコから見る、中堅・中小企業サイバーセキュリティの課題。

 続けて石黒氏は「お客様のニーズは快適なネットワークの環境、そして従来の生産性を損なわないことにある。だが、セキュリティの脅威は日々増加しており、一つのセキュリティの脅威に対して一つのベンダの対策ソリューションで対応するという取り組みを重ねてきた結果、様々な対策ソリューションがパッチワークのように組み合わさった状況となった。このパッチワーク型の防御はもう限界がきており、特に中堅・中小企業のお客様はセキュリティに対する人材そしてコストにも限りがあるので、対策の継続に疲労感が蔓延しているようにも見える」とセキュリティ対策を施してきた結果の構造に対しても警鐘を鳴らしている。

 こうしたセキュリティの課題に対するシスコのアプローチは、長年にわたりネットワークに取り組んでいる企業としての強みを活かした、ネットワークを起点とした網羅的なセキュリティの提供だ。
 石黒氏は「従来パッチワークではなく、ネットワーク全体でセキュリティを守っていこうという新しい考え方だ。これを大手企業向けだけでなく、中堅・中小企業に最適なものをご用意した」と話す。

中堅・中小企業向けにパッケージしたセキュリティ ソリューション

Cisco+ Secure Connectは、単一の管理ポータルから、高度なセキュリティとあらゆる接続性をシームレスに実現する。

 クラウドで提供されるシスコの新たなセキュリティ ソリューションCisco+ Secure Connectは、VPNリモートアクセスの需要により増加した様々なセキュリティホールに対応しており、利用者がオフィスやカフェなど様々な場所からアクセスしても網羅性を持ってセキュリティを担保する。
 このCisco+ Secure Connectは、シスコが以前から大手企業を中心に展開しているCisco Secure Accessを、中堅・中小企業向けにパッケージしたものだという。石黒氏は「他のベンダさんがやってらっしゃるような、大手企業向けに展開しているソリューションの値段を安くして販売するということではなく、中堅・中小のマーケットに即した機能とコスト感に新しくパッケージングをし直して、それを適切なマーケットのお客様にきちんとお届けをしようと考えている。ポイントとしては、働き方の問題、そして場所が変わっていく問題、クラウドのソリューションが増えている問題、こういったものにすべて対応ができるようなパッケージ ソリューションになっている。このCisco+ Secure Connectによって、全ての通信の安全と快適さが守られることをめざしている」と説明している。

Cisco Merakiとも連携し、簡単で安心なセキュアネットワークをネットワークの観点から実現する。

 クラウドセキュリティであるCisco+ Secure Connectは、シスコが従来から展開しているCisco Merakiを中心とするネットワークセキュリティと組み合わせた統合管理が可能であり、これにより全体を網羅するネットワークセキュリティが完成する。
 既にCisco Merakiを利用している場合は、同じ管理画面にCisco+ Secure Connectの機能を追加し、従来と同様の運用方法を継続できる。
 石黒氏は「今回は、クラウドで管理をするというポイントを視野に入れた。その理由は、様々な脅威対策のアップデート、OSのアップデートをベンダの力に頼るだけではなく、我々メーカーも自動的にアップデートしていく仕組みとすることで、ユーザの負荷を下げ、簡単に安全なネットワークを使っていただけるからだ。すべてのネットワーク機器がクラウドで管理をされクラウドで上手に運用していただくことが、すべてのゴールになっていると考えている」と話している。

 また、シスコはセキュリティの脅威に対するインテリジェンスTalosを提供しており、これにより運用管理のシンプル化も実現できる。
Cisco Talosは世界各国の500人の脅威アナリストとAIによる強力なアルゴリズムによりインシデントをリサーチしており、毎日観測されるセキュリティイベントは5,500億件に上るという。石黒氏は「こうした日々の解析を基にした対応策が全て自動的にプッシュされる。こういった最新のテクノロジーそしてインテリジェンスを、中堅・中小のお客様にも同じように均一にご提供できると考えている」と話す。

 今回の記者説明会で発表された、Cisco Catalystシリーズの中堅・中小企業向けモデルや、クラウドセキュリティCisco+ Secure Connect。そしてこれらとの連携も可能な従来ソリューションCisco Meraki やCisco Talosにより、中堅・中小企業のネットワーク運用のさらなる高度化、効率化が期待できる。
 石黒氏は「今回発表したような、中堅・中小企業のニーズに合う形でパッケージングをし直し、かつブランディングもやり直した製品・サービスの展開は、他にも検討している。こうした中堅・中小のマーケットに沿った方法をさらに加速しながら、パートナーそしてディストリビュータの皆様と一緒に新しいビジネスモデルも加えて、特に安全なネットワークを実現するということと、ハイブリッドワークを実現するという二軸をゴールにして、これからも邁進していきたい」との考えを示した。

レポート目次

1:中堅・中小企業のニーズに合う形での商品提供、拡充

2:中堅・中小企業を取り巻くサイバー犯罪

3:ネットワークを起点とした網羅的なセキュリティ

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