光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

AccessOn Internetが、ノースカロライナ州全域のFTTH展開でNokiaの10GソリューションとAIネイティブAltiplanoプラットフォームを導入

期間限定無料公開 有料

期間限定無料公開中

 Nokiaは10月16日(エスポー)、AccessOn Internetが、ノースカロライナ州全域の数千の顧客に高速で信頼性の高いインターネットサービスを提供する新しい10GファイバおよびWi-Fi 7ネットワークで、NokiaのファイバソリューションとAIネイティブのAltiplanoプラットフォームを導入すると発表した。

 Nokiaは「AltiplanoのAIベースの自動化により、AccessOnは加入者のアクティベーションを迅速化し、運用を自動化し、顧客の問題を迅速に解決し、卓越したサービスを提供することが可能になる」と説明している。

 Nokiaのコネクテッドパートナー プログラムを通じて、クラス最高のOSS/BSSベンダー15社とプレ統合されているこのプラットフォームのオープンアーキテクチャと開発者エコシステムにより、AccessOn Internetは新しいアプリケーションやAIユースケースへの拡張と統合を容易に実現できる。AccessOn Internetは、認定パートナーであるSonarとの連携により、新規加入者接続の市場投入までの時間を大幅に短縮できる。

 Nokia は「Altiplanoは、世界で最も広く導入されている固定アクセス向けアクセス自動化プラットフォームであり、200社のブロードバンド事業者の2,000万以上の加入者回線を管理している。自動化とビッグデータ分析のためのオープンプラットフォームとしてゼロから設計されたAltiplanoは、AIを活用してネットワークデータから学習し、潜在的な問題を予測し、利用状況を分析し、オペレータをリアルタイムでサポートする」と説明している。

 AltiplanoのオープンAPIフレームワークはAgentic AIをサポートし、大規模言語モデルやAIエージェントがネットワークデータに容易にアクセスできるようにする。これにより、オペレータは自然言語でネットワークと対話でき、仮想エンジニアとして機能するAIエージェントは、Altiplanoのネットワークツールとライブデータを通じて継続的に学習、分析し、インテリジェントな洞察を提供する。

 AccessOn Internetのプレジデント 兼 CEOであるSteve Ledford氏は「NokiaのAIネイティブAltiplano自動化プラットフォームにより、業界で認められたベストプラクティスを活用して高品質なサービスを提供し、イノベーションを加速し、運用効率を向上させるインテリジェントな光ファイバネットワークを構築できる。これにより、真にデジタルでつながったコミュニティの基盤が築かれる」とコメントを出している。

 Nokiaの北米ビジネスセンター ヴァイスプレジデントであるMark Klimek氏は「AIと自動化は光ファイバネットワークを再定義し、よりスマートで信頼性が高く、顧客ニーズへの対応力を高めている。現在200社のお客様にAltiplanoをご利用いただいており、AccessOn Internetの導入は、自律型ネットワークを推進し、イノベーションを加速し、デジタルトランスフォーメーションを実現する、オープンでAIドリブンのネットワークプラットフォームへの移行の進展を浮き彫りにしている」とコメントを出している。

編集部備考

■AltiplanoはFTTHをはじめ固定アクセス網の管理に特化した自動化プラットフォームであり、競合製品と比べてもFTTH向け機能が豊富だ。また、Nokiaは、同一OLT上でGPON/XGS-PON/25G PONを柔軟に共存・運用できるマルチPONアーキテクチャを提供しており、Altiplanoはそれらをネイティブに制御できる構造を持つ。こうした「自動化プラットフォーム+将来対応にも優れたPONシステムのシナジー」という強みもあり、NokiaのAIネイティブFTTH自動化は欧州を中心に導入が進み、市場で高い評価を得ている。
 Altiplanoの導入事例で見られる、各事業者が共通して評価している点は「運用コスト・リスク削減+サービス俊敏性」だ。AltiplanoはFTTHの構造・障害特性(光レベル、スプリッタ階層など)を理解していなければ最適な実装が難しい機能を備えることで、包括的な自動化プラットフォームとは一線を画す優位性を実現している。
・OLT/ONTレベルでの自動プロビジョニング
・PONポート/スプリッタ配下のトポロジ把握
・ファイバ断線・減衰異常の自動検知
・トラフィック予測と自己修復支援(冗長経路への自動切替提案)
・デジタルツイン統合による“仮想FTTH網”シミュレーション
 こうした特長から、実際に利用する事業者にとっては、AIや自動化という先進的な技術の魅力だけでなく、「運用の現場が劇的に楽になる」という現実的なメリットが明確であり、これがAltiplano導入の決め手となっている印象も受ける。
 Nokiaは、PON技術を企業・キャンパスネットワークに適用するPOL(Passive Optical LAN)も提案しており、Altiplanoと共通のPON管理基盤を活かした運用統合を可能にしている。マルチPONによるアクセス網、POLによる構内網、これらを管理するAltiplanoという運用構成は、AI・IoT活用の広がりや高度化による広帯域化が予測される今後の様々な産業やエンタープライズにおいて、運用のシンプル化や安定化に繋がるだろう。日本でもパートナーが増えて販売チャネルが強化されているこれらのソリューションが、エンドユーザを含めビジネスの効率化を促進していくことに期待したい。

■次に、FTTH管理の自動化の意義について考察したい。FTTHネットワークの運用は、従来「人的な現場対応が不可欠な領域」とされてきた。光配線の断線や減衰、スプリッタ階層の複雑さ、加入者単位のトラブル対応など、IPネットワークよりもアナログ要素が多く、自動化が難しいとされていた分野となる。
 こうした中、Nokiaが推進するAIネイティブ自動化プラットフォームAltiplanoは、固定アクセス運用のデジタル化を一気に実用段階へ押し上げた画期的なものだ。その特長は、AI分析や可視化にとどまらず、PONの複雑な物理構造そのものを理解し、OLTやONTを含む階層的トポロジを自動的に把握・最適化できる点にある。光減衰の兆候検知や、障害発生時のセルフヒーリング(自動経路切替)、新規加入者のプロビジョニング自動化といった機能は、FTTH運用の「人手依存構造」を根底から変えつつある。
 特に注目すべきは、Altiplanoがデジタルツイン技術を統合している点だ。物理ネットワークを仮想空間に再現し、トラフィック変動や機器更新の影響をシミュレーションできる。これにより、ネットワーク構成変更のリスクを事前に把握し、安定運用と迅速な拡張を両立できる。AIネイティブという表現は、単にAIが搭載されているという意味ではなく、「AIを前提に設計された」ことを示しており、このアーキテクチャの違いが運用効率に直結している。(当サイト内関連記事)
 FTTH運用の自動化は、コスト削減だけでなく、ネットワークの拡張スピードや障害復旧の即応性、さらにはカーボンフットプリント削減にも直結する。AIネイティブ自動化が進むことで、固定アクセス網は「静的なインフラ」から「自己学習型のアクティブインフラ」へと進化しつつある。Altiplanoの導入が世界で広がっている潮流からは、事業者がその進化を“実用段階の価値”として認識し始めていることが感じられる。今回のニュースリリースは、AIによる判断が運用現場で確かな成果をもたらし、投資対効果としても成立する段階に達したことを示す一例となる。国内でも、マルチPON対応やAI運用の潮流は確実に高まっており、FTTH網の運用モデルをどう刷新していくかが次の焦点の一つとなるだろう。