LightRiverとNokiaが、テキサス州ダラスにおけるGigabit FiberのAIデータセンタ接続展開で連携
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LightRiverとNokiaは10月21日(テキサス州アーリントン)、光ファイバインフラプロバイダであるGigabit Fiberが、ダラス、サンアントニオ、ヒューストン、フェニックスにまたがる大規模ネットワーク構築を加速するため、Nokiaの光ネットワーク技術を採用したことを発表した。
この導入は、AI時代の帯域幅の増加に対応するために設計された、最新かつスケーラブルなネットワーク構築に向けたGigabit Fiberの最新の投資だ。LightRiverの専門知識とノキアのネットワークソリューションを組み合わせることで、Gigabit Fiberはわずか数日で新しいオンネット接続を確立できるようになり、企業、ハイパースケーラー、ホールセールプロバイダがこれまで以上に迅速に重要な容量にアクセスできるようになる。
Nokia 1830 GXプラットフォームを搭載し、LightRiverとの提携により導入されたこの新しいインフラは、地域全体のAIデータセンタやエンタープライズハブに大容量で低遅延の接続を提供する。Nokiaのソリューションは、消費電力を削減しながら帯域幅を効率的に拡張し、環境の持続可能性を確保する。
Gigabit Fiberの共同経営者 兼 ゼネラルマネージャーであるChris Degelia氏は「Gigabit Fiberは、エンタープライズ、ネットワーク事業者、そしてハイパースケール企業にとって、次世代の高速接続を推進している」とし、「NokiaとLightRiverと共に、AI時代のイノベーションと成長を促進する基盤を構築している」とコメントを出している。
Nokiaの北米チャネル担当ヴァイスプレジデントであるJeff Dean氏は「今回の拡張は、北米における主要な先端技術エリア(key technology corridors)を強化し、AIとクラウドサービスの成長の基盤となる」とし、「信頼性の高いキャリアグレードのパフォーマンスにより、NokiaとLightRiverは、Gigabit Fiberが現代のデータセンタを支え、デジタルイノベーションを加速する、将来を見据えたインフラを提供できるよう支援する」とコメントを出している。
LightRiverのセールス担当SVPであるMatt Briley氏は「LightRiverは、この重要な拡張においてNokiaおよびGigabit Fiberと提携できることを誇りに思っている」とし、「Nokiaの信頼性の高い光技術と当社のネットワーク設計・導入における専門知識を組み合わせることで、ギガビットファイバは記録的な速度で拡張性と耐障害性に優れたネットワークを提供できるようになる。これにより、AIデータセンタへのアクセスが高速化し、テキサス州とアリゾナ州の企業が次世代接続の可能性を最大限に引き出すことを支援する」とコメントを出している。
編集部備考
■今回の発表は、Nokiaの光ネットワーク製品が北米市場において中小規模事業者や地域通信網向けの導入実績を着実に拡大していることを示す好例と言える。従来、Nokiaの光伝送ソリューションはTier1通信事業者や国際キャリアへの採用事例が中心であったが、近年は地域密着型の通信事業者にも浸透し始めている。今回のGigabit Fiberへの採用は、その流れを象徴する事例の一つだ。スケーラブルで自動化に対応したNokiaのプラットフォームが、中堅事業者にも導入可能なコスト構造と運用柔軟性を備えている点が評価されたと考えられる。
また、LightRiverとの協業体制にも注目したい。LightRiverは、光ネットワークの設計・統合・自動化を手掛ける米国有数のSIerであり、Nokia製品を含むマルチベンダ環境のオーケストレーションに強みを持つ。今回のプロジェクトでは、LightRiverがネットワーク設計と統合を支援する形で、Nokiaと協働し、地域通信事業者への展開を効率的に進めるための橋渡し役を果たした。製品供給だけではなく、運用面まで含めた「AI時代の光ネットワーク・モデルケース」を共同で提示した点に、この提携の戦略的意義を感じる。
さらに、Gigabit Fiberの取り組みは、北米におけるAIデータセンタ接続のあり方に新たな方向性を示した。大規模クラウド事業者による中央集権型のDC間ネットワークに対し、地域通信事業者がローカルレベルでAIデータセンタ接続を担う取り組みは、今後の分散型インフラ発展を示唆するものといえる。テキサス州ダラスの「先端技術エリア(key technology corridors)」で展開される今回のプロジェクトは、AIインフラ整備の新たな選択肢を象徴している。NokiaとLightRiverが支える形で、Gigabit Fiberのような地域事業者がAIネットワーク時代の主役となりつつあることは、北米市場全体の多層化と持続的拡張の兆しといえるだろう。
今回のニュースでは、光伝送や自動化分野において、欧州発の技術が北米市場の実装力と結びつくことで、迅速かつ持続可能なネットワーク拡張を実現した好例を示した。こうした国家やエリアを超えた協調の構図は、日本にとっても重要な示唆を与える。事業者の通信網にしても、産業用途のIoT網にしても、国内完結型の最適化だけでなく、国際的な技術協調やオープンインテグレーションを前提とした発想も取り入れることで、AI時代に求められる迅速性や柔軟性を実現しやすくなるだろう。