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VIAVIが、業界初となる中空コアファイバの中距離・長距離双方向テストおよび認証ソリューションを発表

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 VIAVI Solutions (VIAVI) は1月6日(アリゾナ州チャンドラー)、業界初となるHCF(Hollow-Core Fiber:中空コア光ファイバ)の中距離・長距離双方向テストおよび認証のためのオールインワン ソリューションを発表した。

 このソリューションは、VIAVIの先進的な8100シリーズOTDRモジュール、光分散測定(ODM)モジュール、そしてReportPROソフトウェアを実装しており、ReportPROソフトウェアには、中空コア光ファイバに必要な双方向OTDR解析を実行できる専用アルゴリズムが搭載されている。
 VIAVIは「このソリューションの有効性は、光ファイバメーカ、専門業者、そして大手ハイパースケーラー3社との提携による検証試験を通じて実証されている」と説明している。

実績のあるプラットフォームは、OTDR、分散試験、減衰プロファイリングのためのHCF専用アルゴリズムを独自に実装している。

 中空コア光ファイバは、シングルモード光ファイバと比較して、最大30%の低遅延、最大70%の波長分散(CD)、最大65%の減衰、そして信号歪みの低減を実現する。これにより、増幅を必要とせず、長距離でも高速データ伝送が可能になり、データエラー/損失を最小限に抑えることができる。

 VIAVIは「中空コア光ファイバ技術は、AI、高頻度金融取引、量子通信、防衛など、運用およびサービスパフォーマンスの大幅な向上が期待されるアプリケーションにおいて、ハイパースケールキャンパス間のデータセンタ相互接続にますます採用が進んでいる」と説明している。

 中空コア光ファイバープロジェクトは、製造コストと専門業者による導入コストの増加、そして後方散乱やスペクトル範囲といった光学特性の違いにより、より大規模な投資と広範な試験を必要とする。特に中長距離リンクにおいては、投資を保護し、将来のパフォーマンスを保証するために、高波長での双方向OTDR測定に加えて、分散試験と減衰プロファイル(AP)試験を実施する必要がある。テストおよび認証の選択肢は限られており、必要なOTDR性能を備えていない企業や、OTDRベースの分散試験技術を使用している企業は、短距離の試験しか行えない可能性がある。

 VIAVIは「このソリューションは、中空コア光ファイバリンクの双方向OTDR、PMD、CD、AP試験とレポート作成を可能にする、業界初のオールインワン認証ソリューションだ。業界をリードするOTDRダイナミックレンジ性能とOTDRベースではない分散試験により、短距離、中距離、長距離リンクにおけるDNANFやPBGを含むあらゆる種類の中空コア光ファイバに適している。これらのソリューションは、VIAVIのOneAdvisor 800 Fiberプラットフォーム上で動作する。

 VIAVIのファイバおよびアクセスソリューション担当ヴァイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーであるKevin Oliver氏は「中空コア光ファイバの主な利点は、長距離でも高速にデータを伝送できることだ。しかし、接続品質、コネクタ損失、光ファイバの完全性などを試験するには、より高性能な試験ソリューションを用いた異なるアプローチが必要だ」とし、「VIAVIのオールインワン製品は、大手ファイバメーカやハイパースケーラーと共同で実施した試験において、短距離、中距離、長距離リンクで優れた結果をもたらし、HCFへの大規模な投資を保護し、将来のROIを保証することができた」とコメントを出している。

編集部備考

 VIAVIが発表した中長距離HCFの双方向試験・認証ソリューションは、技術的な新規性そのもの以上に、発表のタイミングが示唆するものは大きい。ニュースリリースでは「ハイパースケールキャンパス間のデータセンタ相互接続において、HCFの採用が進んでいる」と強調されているが、現時点でHCFが汎用的な中長距離伝送路として広く実用化されているという意味合いよりも、先進的な立場にある測定ソリューションベンダから見て「採用が進みつつある」という点を踏まえるべきだろう。その上で本発表は、HCFの本格導入に向けた前提条件が整い始めた段階を示すものと捉えるのが妥当と言えそうだ。
 HCFは、光がガラスではなく空気中を伝搬するという特性から、超低遅延や分散低減といった利点が期待されてきた。一方で、接続損失、曲げ耐性、距離拡張、双方向運用といった点では、従来のシングルモード光ファイバ(SMF)と比較して制約が多く、研究用途や限定的な短距離用途に留まってきた経緯がある。つまり、技術そのものは成立していても、運用モデルとしては未成熟だった。
 その意味で、今回VIAVIが提示したのは、「HCFが抱えてきた距離の課題に対し、測定し、検証し、保証できる環境が整いつつある」という点に本質がある。中長距離かつ双方向という、実運用を強く意識した条件での試験・認証は、HCFを研究対象・限定導入からインフラ候補へと引き上げるための重要なステップだ。
 もっとも、これをもって直ちにハイパースケールDC間での本格導入が進むと見るのは早計だ。現段階では、HCFは「主流の代替」ではなく、「用途特化型の選択肢」と見た方が良い。超低遅延を最優先するAIクラスタ間接続、高頻度金融取引、あるいは国家プロジェクト色の強い量子通信や防衛用途など、価値が明確な領域から段階的に導入が進む可能性が高い。
 一方で、中長期的に見れば、急速な普及の可能性も否定できない。AIインフラの拡大により、データセンタ間の距離や立地条件が再び設計変数として浮上している現在、光ファイバ伝送路そのものを最適化し直す動きは必然とも言える。帯域拡張だけでなく、遅延特性や揺らぎの最小化を含めた物理層の再設計という文脈において、HCFは無視できない存在になりつつある。
 2025年はHCFへの注目度が高まり、2026年以降は測定環境や標準化を含めた導入フェーズに向けた取り組みが本格化すると見られる。大手ファイバメーカやハイパースケーラーが試験に参加している点も、HCFの中長距離伝送に対する潜在的なニーズの高さを示している。
 HCFは、すでに「使える技術」ではあるが、まだ「使いこなせるインフラ」ではない。今回のVIAVIの発表は、そのギャップを埋めるための実務的な一歩と位置付けるべきであり、AIインフラの前進を予感させるものだ。HCFを将来の選択肢として扱える技術的・ビジネス的視座を持てるかどうかが、次のインフラ競争を左右する可能性は高い。