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アジア初100Gbps国際間研究・教育用ネットワーク回線の開通【NICT】

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 NICTは12月11日、シンガポール先端研究教育ネットワーク(SingAREN)及びシンガポール国立スーパーコンピューティングセンター科学技術研究所(NSCC)と共同で、従来の10Gbps回線を増速することで100Gbps回線を開通し、2017年11月1日よりアジア研究・教育用ネットワークのバックボーンとして運用を開始していたことを発表した。

 現在の研究・教育用ネットワークでは、「ビッグデータ」や「eサイエンス」などによる大量データの共有・活用や教育機関の国際展開の流れを受けて、国際間で回線の高速化(100Gbps回線設置)が、特に米国-欧州間で、急速に進んでいる。日米間やシンガポール-米国間で100Gbps回線は既に開設されているが、今般開通した高速100Gbps回線は、東京-香港-シンガポールを結ぶもので、アジアの国際研究・教育用ネットワークとして最初のものとなる。

3者間覚書 署名式

 同回線の開通、運用開始を受け、NICTは12月1日、開通を記念する「アジア100Gbps 回線 開通式典(Launch of the First 100G International R&E Link in Asia)」を、シンガポール 国立シンガポール大学 Shaw Foundation Alumni Houseにおいて、SingARENと共催した。式典では、NICT/SingAREN/NSCC間の協力関係を維持強化するため、3者間覚書の署名式が行われた。

7者間覚書 署名式

 また、本回線により、従来の100Gbps回線と合わせて、アジア・太平洋地域において100Gbps回線のリングが形成されることから、このリングをAsia Pacific Ring(APR)と称し、APRに関連する国内3機関、海外4機関により、APR利用や共同研究・共同実験の促進等を目的に7者間覚書の署名式も7機関の代表者により行われた。NICTは「同覚書を端緒として、現在手間のかかりがちな実験用高速国際ネットワーク設定を容易にするよう努め、我々も含む研究・教育機関が米国やアジア諸国と自由にデータ交換ができる研究環境を構築していけるものと期待している」とコメントを出している。

Asia Pacific Ring(APR)

 さらに式典では、11月に米国デンバーで開催された高性能計算、ネットワーク、ストレージ、解析に関する国際会議であるSC17において、NICTとNIIが共同でAPRを使って実施した200Gbps超データ伝送実験結果が報告された。NICTは「今後、他のアジア(国内・国際)区間やアジア-欧州区間においても、100Gbps 回線による国際間研究・教育用ネットワーク接続が加速していくものと予想される。東京-香港-シンガポール間高速100Gbps回線は、APRの一部としても、より一層利活用できることとなり、我が国の多様な分野の研究開発へグローバルなレベルで貢献していく。