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NEC、ローカル5Gを活用し製造現場のリモート化・自働化に向けた実証実験を自社工場で実施

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 NECとNECプラットフォームズは4月5日、NECプラットフォームズ甲府事業所にSub6(4.7GHz帯)帯域のローカル5G環境を構築し、製造現場のリモート化・自働化に向けた実証実験を実施したことを発表した。
 今回の実証実験では、ピッキングロボットの遠隔操作と、映像・音声の共有による遠隔作業支援の有効性を検証した。今後、実用化に向け2022年度までにロボットの操作台数増加など実証規模の拡大を図りながら、生産ラインへ本格導入を目指すという。

背景

 昨今、製造業において生産性の向上、労働力不足への対応、熟練作業者の技能伝承などを目的にIoTやAI、更には5Gなどの最先端技術を組み合わせたスマートファクトリー化が加速している。こうした中、高速大容量、低遅延、多数同時接続といった特長を持つ5Gの活用が重要になっている。

ローカル5Gを活用した実証実験について

 NECがローカル5Gのコア・基地局など無線設備の構築や運用、5Gを活用した製造業向けソリューションの提供を行い、NECプラットフォームズが甲府事業所内に試験設備の構築とソリューションの実用化に向けた検証を行った。

ピッキングロボットの遠隔操作
 ロボットアームとカメラを取り付けた移動体を遠隔操作して、部品のピッキング作業を行う。ピッキング作業は、多種多様な部品が存在するため自働化するには難易度が高く、ピッキング位置までの移動はロボットが自動で行い、ピッキング作業を人が遠隔で操作することで作業者の負担軽減と自働化を両立する。
 今回、5Gで映像伝送しながら1人で2台のロボットを制御し、遠隔から8種の部品のピッキングを実現した。また映像表示・ロボット操作における遅延を検証し、ストレスなく遠隔操作するための目標遅延時間0.2秒以下を達成し、実用化に向けた操作性を確認した。今後ピッキングロボットの作業の高速化のほか、5Gの特長を活かし多数のロボットとの接続や無人搬送車との連携を図り、生産ラインへの導入を目指すという。

ピッキングロボットの遠隔操作の様子

映像・音声の共有による遠隔作業支援
 現場作業者が着用したスマートグラスを通じて映像・音声を共有するNEC遠隔業務支援サービスを活用し、支援者や熟練者は現場に赴くことなく遠隔からリアルタイムで作業支援を行う。データ量が大きい映像も5Gを活用して通信の安定性を図り、現場作業者の作業効率や正確性の向上につなげる。
 今回、リアルタイムに状況を把握して作業指示を出すことでライン停止時間と後戻り作業が削減でき、製造現場における遠隔作業支援の有効性を確認できた。またフルHD映像とより高精細な4K映像のそれぞれについて遠隔作業支援の効率性を比較して評価したところ、4K映像の方が支援時間を平均で約20%短縮できた。今後、高速大容量といった5Gの特長を活用し、4K・8Kなどの高精細な映像の共有やARを利用したコミュニケーションを製造現場で実現することで、さらなる生産性の向上を目指すという。

遠隔作業支援に関する実証の様子

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