光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

エッジコンピューティングに最適な小型組込みコンピュータを販売開始【PFU】

DX/IoT/AI 無料

インテル Xeon Eプロセッサ搭載「AR2100モデル120N/AR2200モデル120N」

 PFUは6月25日、産業機器、医療機器、社会インフラなど、さらなる高性能なエッジコンピューティングが必要とされる市場向けに最適な小型組込みコンピュータ「AR2100モデル120N/AR2200モデル120N」の販売を開始した。出荷開始は12月。

 市場では、DXやデジタルツイン、IoT、工場・病院・社会インフラのスマート化などの期待が高まっている。特にスマート化が進む生産現場で利用されるユーザ装置は、装置自体を小さくし単位面積あたりの生産性、性能の向上が求められている。そのため、組込みコンピュータにも、さらなる高性能、小型化への要求が強くなっている。
 また、このコロナ禍の状況で、産業機器や医療機器などの遠隔監視、遠隔保守の需要が非常に強くなっている。さらに医療関係では、遠隔診察や画像診断、複数の医療機器を連携するスマート治療といった需要もあり、使用される機器に組み込まれるコンピュータのネットワーク接続数や画像処理性能・表示機能のさらなる強化が求められている。

 新製品は、エッジコンピューティングに最適な組込みコンピュータとして、小型でありながらインテル Xeon Eプロセッサを搭載しての高性能を実現している。さらにARシリーズで初となるLAN4ポートとDisplayPortを同時に標準搭載し、組込みコンピュータへの期待に応える製品となっている。
 PFUは「本製品をご採用いただくことで、今後のお客様製品の発展に十分お役立ていただける。また、これまでPFUの組込みコンピュータをご利用いただいていたお客様には、従来機との高いコンパチビリティ、高品質・安定稼働、きめ細かなサポートなど本製品でもそのままご利用いただける」としている。

新製品の外観。

 新製品の特長は次の通り

新製品の強化ポイント。

ユーザや市場が必要とする機能と性能を大きく進化

エッジIoT向けインタフェース増強
 産業機器、医療機器などのユーザ装置は近年さらに多機能化(スマート化、監視、見える化、IoTなど)が進んでおり、装置内に非常に多くのコントローラやデバイス、センサが接続されるため、LANの強化が求められている。また、複数のお客様装置間の通信や、外部からのコントロール、監視、保守・サポートなど外部接続用LANのニーズも増えている。新製品は小型でありながらLANを4ポートに増やし、1台の組込みコンピュータで、装置内のより多くのデバイスとの通信や、外部の他装置との通信、保守・サポート専用ポートによる遠隔監視や遠隔保守が実現でき、ユーザ装置の多機能化に最適な製品となっている。
 ディスプレイ表示インタフェースは、ユーザからの要望の強い従来のVGAとDVIを搭載した上で、さらにマルチディスプレイ対応可能なDisplayPortを搭載した。ユーザが必要とされる画面表示ポートを装備している。また、医療機器など一度に多くの画像を表示したいといったユーザのニーズにも応える。

各インタフェースのポート。

ステンレス筐体採用
 組込みコンピュータを搭載するユーザ装置の動作環境によっては、温度やそのサイクル、酸化・腐食性、外圧などにより発生する、コンピュータの錆やウイスカを嫌うことがよくある。特に、クリーンルームに配置されるような産業機器では、そこから塵埃を排出し致命的なトラブルを引き起こす場合がある。新製品は、その対応のため、ステンレス筐体を採用し、錆やウイスカの発生を抑止、塵埃排出を極力抑えることができるので、安心して使用できる。
 また、このステンレス筐体は、コロナ禍において、医療現場など衛生面が必要な環境で頻繁にアルコール消毒液にて拭き取りを行っても、コンピュータ表面の変色、変形などは一切ないので、長く使用できる。

従来機を超える処理性能
 CPUは、第9世代(Coffee Lake Refresh)のXeon E/Celeronプロセッサあるいは第8世代(Coffee Lake)のCore i3プロセッサを搭載し、従来機を超えるプロセッサ性能を有している。CPUの負荷状態や温度環境などの影響を抑えるPFU独自のエンベデッドチューニングにより、産業用途で求められる安定した高性能を維持する。

メンテナンス性
 PFUは、イージーメンテナンスとして組込みコンピュータ(ARシリーズ)で一貫したメンテナンス性向上に取り組んでいる。
 新製品では、部品の交換作業をさらに簡略化し、SSDのネジレス装着としたことにより、簡単に交換できる構造にしている。

SSD交換をシンプル化

ユーザライクな高いコンパチビリティとエンベデッドクオリティを維持

高いコンパチビリティ
形状・取付構造:従来機とサイズ、取付ネジ位置を同じにすることで、簡単にシステムリプレース可能。
インタフェース:シリアルなどのレガシーインタフェースを継続搭載することで、ユーザの大切なハードウェアをそのまま使用可能。
機能:OS、ドライバやハードウェア監視機能、セキュリティ機能などを維持することで、お客様のアプリケーションソフトウェアを継続活用可能。

高品質・安定稼働
PFUの組込みコンピュータは、設計段階における各種設計ルールの順守や設計レビューの実施、試作機および量産に入るまで幾度もの評価を行い、品質を確保している。
また、AR2200モデル120Nでは、ストレージにRAID機能を選択、搭載可能で、SSD故障時においても安心して継続運用できる。稼働を止められないユーザ装置の運用に最適だ。このRAID機能は、自社開発のソフトウェアRAIDで提供しており、万一のトラブル時にも迅速に対応する。

きめ細かなサポート
カスタマイズ対応:ユーザの要望に応じて、BIOS、OS、ソフトウェア、ハードウェアのカスタマイズに対応する。ユーザアプリケーションやユーザ指定ソフトウェアを組み込んだOSインストールにも対応する。また新製品は、グラフィックスカードを搭載可能だ。高精細画像の高速処理が必要とされる分野にも適している。グラフィックスカードをプレインストールした状態で出荷可能なので、ユーザには余計な導入コストがかからず、すぐに使用できる。

海外規格認証:新製品は、北米欧州だけでなく、中国、韓国、台湾などアジア諸国・地域にも対応した海外規格認証を取得しており、ユーザ製品のグローバル展開にも応える。

長期安定供給:PFUの長年の経験に基づく「QCD最適部品採用論理」により、部品のライフチェック・予測を行った上で長期供給に対応した部品を採用し、部品の確実なLCM管理を行うことで製品の長期安定供給を実現している。また、ユーザ製品のライフサイクルに合わせた販売・保守期間の延長にも対応する。

AR2000シリーズにおける新製品の位置付け。PFUは販売目標について「AR2000シリーズ全体で、今後3年間で2万台」としている。

関連記事