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KDDIとSwift Navigationが、移動に強い高精度位置測位サービスの提供にむけて業務提携契約を締結

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PPP-RTK方式に対応する電子基準点を2021年12月までに全国へ整備

 KDDIとSwift Navigation (以下、Swift) は、高速移動に強くセンチメートル単位に対応したPPP-RTK方式の高精度測位サービスの提供に向けた業務提携契約 を締結したことを発表した。
 この業務提携をもとに、KDDIはSwiftの高精度測位に対応する電子基準点を2021年12月までに全国に設置し、2022年春のサービス提供開始をめざすという。

高精度測位サービスの活用イメージ

 PPP-RTK方式の高精度位置測位技術は、RTK方式の測位精度の高さに加え、PPP方式のカバー範囲の広さなど両者のメリットを併せ持つ、新しい方式の高精度位置測位の技術だ。RTK方式と比べ10分の1以下の電子基準点の設置数で十分なエリアカバーが可能で、高速移動や広域移動時でも安定した高精度位置測位を提供することが可能だ。
 KDDIは2021年2月に「KDDI Open Innovation Fund 3号」(運営者: グローバル・ブレイン) を通じてSwiftへの出資を公表し、日本における本サービスの共同事業展開を検討していた 。
 特に、今後スマート社会の実現においては、ドローンや自動運転ロボによる自動配送、自動運転車の実用化、電動キックボードや小型運転車両などモビリティ分野の進展が見込まれ、これらの安全性や効率化を図るため、安価で高精度な位置測位技術が期待されている。
 KDDIとSwiftは「高度なモビリティ社会の実現に向け、多種多様な機器で利用可能な高精度位置測位サービスを展開していく」との考えを示している。

両社の取り組み内容

日本全土をカバーするPPP-RTK対応電子基準点の構築と運営
 PPP-RTK対応の独自電子基準点をKDDIが国内に構築する。

共同ビジネスの展開
 両社で共同のビジネスチームを組成し、様々な分野で高精度位置測位を活用したユースケース開拓と新しいビジネスの創造を積極的に推進する。
 また、国内企業による利活用や企業とのプロダクトの共同開発、海外でSwiftの「SKYLARK」サービス(※)を利用のグローバル企業の日本市場展開や、日本企業による海外展開などを共同でサポートする。
(※)Swiftは、米国のGPSや日本の準天頂衛星システム (QZSS) など、複数の衛星信号を用いたリアルタイム測位に加えて、PPP-RTK方式のクラウド高精度測位サービス「SKYLARK」を全米で展開している。2020年3月にはドイツテレコムと業務提携し、欧州での展開を開始しており、今後はアジアでの事業拡大にも取り組むという。

企業による利活用ビジネスの支援
 高精度測位を活用したビジネス開発を行う企業をサポートするため、5G/IoT時代のビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」で共同ビジネス検討や実証実験を行う。
 また、Swiftの技術者と連携し、開発者向けの技術情報公開や技術セミナーの実施、開発評価ツールやサンプルデバイスの提供など、高精度測位サービスの開発支援活動を予定している。

提供サービス

PPP-RTK方式の高精度測位サービス:PPP-RTK方式は、PPP方式のカバー範囲の広さと、RTK方式の測位精度の高さの両者のメリットを併せ持ち、モビリティ性を高めた新しい高精度測位の方式だ。RTK方式と比べ10分の1以下の数の電子基準点の設置でエリアカバーが可能であり、従来の高精度位置測位サービスと比べ、大幅に安価な利用料での提供を見込んでいる。

全世界共通のクラウドサービス「SKYLARK」:PPP-RTK高精度測位の補正データを配信する「SKYLARK」は、世界共通で提供するSwiftのクラウドサービスのため、各国の対応エリアで同一の高精度測位サービスを利用する事ができる。また、クライアント向けのソフトウエア「STARLING」エンジンは多様な受信チップに対応しており、ハードウエアへの依存度が低く、顧客企業の幅広いニーズに対応する。
 サービス提供エリアは、北米 (米国、カナダ)、オーストラリア、欧州 (ドイツ、スイス、その他の国も拡大予定) に加え、今回のKDDIとの提携により日本エリア、さらには他のアジア圏にも拡大予定だという。

SKYLARKサービス概要

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