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古河電工が、エネルギー効率に優れたCPO用外部光源を開発。ECOC 2023にて発表

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8チャンネル、100mW光出力で業界最小の消費電力5.6 Wを達成

 古河電気工業は9月26日、HSDCやエッジデータセンタにおけるCPOを用いた次世代ネットワークスイッチ装置の実現にむけ、低消費電力の外部光源を開発したと発表した。

背景
 クラウドサービスや5Gなどの新しい情報通信サービスの普及にともない、データセンタにおける高速なデータ処理の重要性が増してきていく。HSDCおよびエッジデータセンタにおいては、使用されるネットワークスイッチ装置の大容量化と消費電力の削減が大きな課題となっており、次世代のネットワークスイッチ装置内の電気配線の一部を光に置き換えるCPOの導入が期待されている。
 CPOでは高速に電気信号処理をおこなうスイッチASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)と、その周りにシリコンフォトニクスを用いた光トランシーバを同一基板に実装する。シリコンフォトニクスは発光しないことから、外部に光源をおいて光を供給する形態が提案されている。また、環境温度が低い筐体のフロントパネルに外部光源を配置しているので、信頼性にも配慮した形態となっている(図1)。外部光源(図2)は、プラグ着脱可能なハウジングの中に複数のレーザを搭載している。この外部光源には、高い光出力と電力変換効率の最大化が期待されてきた。

図1:CPOを用いたスイッチ装置の上面概略図

図2:外部光源例 (ピグテイル型QSFP外部光源)

内容
 今回、同社で開発したCPO用外部光源は、光トランシーバで一般的に用いられるQSFP ハウジング、8チャンネルTOSAと制御回路で構成されている(図3)。8チャンネルTOSAには、非冷却状態で高い光出力を得るために、自社製高出力DFBレーザダイオードを内蔵し、さらに高い光結合効率を有する光学系を実現した。TOSAの放熱構造も最適化し、TOSAケース温度55℃、チャンネル当たりの光出力100mWの駆動条件において、レーザ駆動電流を300mA以下まで抑制した(図4)。

図3:QSFP外部光源内部構造

図4:I-L特性(ケース温度55℃)

 古河電気工業は「8チャンネルTOSAを駆動する駆動回路は、MCU(Microcontroller Unit)、温度センサ、レーザ駆動回路で構成され、ホストからのコマンドに基づく制御をおこなう。ハウジング温度55℃、チャンネル当たりの光出力100mWの駆動条件では、TOSAと制御回路をあわせた消費電力で5.6Wを達成した。電力変換効率としては14.3%となり、業界最高レベル(同社調べ)を達成している。このように、小型のQSFPハウジングを用いても十分に低消費電力で動作する外部光源を実現し、CPOを用いたスイッチ装置の実用化に向けて、サンプル出荷を既に開始している。また、量産開始は、2025年度以降を予定している」とし、「当社は、CPOの導入に必要な外部光源の提供を通して、引き続き、大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献していく」と説明している。

 同社は本製品をECOC 2023で展示し、4日に口頭発表をおこなう予定だという。

主な製品仕様

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