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NEC、ローカル5Gを専門家なしで常時高品質に利用可能にする学習型通信分析技術を開発

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 NECは5月13日、ローカル5Gなどの自営無線網においてネットワークの専門家なしでも、混雑や競合による品質劣化を回避して、常時高品質で利用できるようにする、学習型通信分析技術を開発したと発表した。

 企業や自治体等などでは、ニーズに応じて個別に利用できる自営無線網としてローカル5Gの導入が検討されている。ローカル5Gの特長である高速・大容量、低遅延などの効果をシステム全体で常に発揮するためには、単に機器を設置するというだけでなく、5G基地局から接続先のサーバまでの通信混雑や競合を回避する運用が重要だ。通信キャリアが運用する公衆無線網では、通信品質劣化が発生する都度、ネットワークの専門家が数日を費やして、通信状態の分析と分析に基づく各通信の優先度や速度の調整を行うことで、混雑や競合を回避する運用が行われている。しかしながら、このような専門家がいない自営無線網においてはこうした分析・運用が課題となる。今回NECは、ネットワークの性能をフルに発揮させる最適運用を容易にするため、専門家の分析ノウハウをAIで学習することで人手を介さずリアルタイムに提供する技術を開発した。

 同技術は、現在流れている通信トラフィックの特徴から、動画や静止画、テキストデータといった通信種別とそれぞれの時間あたりの通信量を高精度かつリアルタイムに推定する。 また人手を介さず学習することで、利用状況の変化に自動で追従する。

 同技術により、ネットワークに関する専門家がいなくても、ローカル5Gで多数の端末や多様なアプリケーションを導入して、高い性能で安定的に利用することができる。

 NECは「本技術をローカル5Gだけでなく、幅広い事業者が手掛けるネットワークの最適化を容易にする技術として展開し、柔軟で安心な通信インフラの簡単・迅速な実現に貢献する」としている。

目指すローカル5Gの世界

学習型通信分析技術の仕組み

技術の特長

階層的な通信分析により、リアルタイムに高精度な推定を実現
 通信トラフィックの変動は、動画や静止画、テキストデータといったアプリケーションの種別と無線通信の状態の影響が混在するため分析に時間がかかり、その精度も低いという課題があった。今回開発した手法では、現在の通信トラフィックから最初に無線通信の状態を識別し、次にアプリケーション種別を識別する階層的なクラスタリング手法により、リアルタイムに高精度な推定を実現した。

人手を介さず自動で学習し、利用状況の変化に自動で追従
 事前に学習する従来手法では設置環境や通信の利用状況が変わるたびに膨大な教師データが必要なのに対し、今回開発した手法では、教師なし学習をベースとし、過去と最新モデルの類似度に基づいてモデルパラメータを自動で更新することで、利用状況の変化などにも自動で追従する。

 今回開発した学習型通信分析技術の一部は、東京大学大学院 情報学環 中尾 彰宏教授との共同研究の成果だという。

 NECは「2020年度までの3カ年の中期経営計画『2020中期経営計画』のもと、ネットワークの強みを活かした新たな領域におけるサービス事業を推進している。学習型通信分析技術により、ネットワークを柔軟に活用し、人・モノが生み出すデータを産業の枠を超え賢くつなぐ『NEC Smart Connectivity』の提供を加速し、新たな社会価値を創造していく」としている。

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