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光通信技術セミナー企画委員インタビュー:谷口 和彦氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】

INTERVIEW 有料

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■コースリーダー
富士通オプティカルコンポーネンツ(株)谷口 和彦

■講演タイトル
FOE-1
データセンターのスケーリングおよび機械学習ネットワークにおける光技術の進化と役割

■講演者
Google LLC
Principal Engineer/Director, Platforms Optics Group
Ryohei Urata

富士通オプティカルコンポーネンツ(株)
代表取締役社長
谷口 和彦氏

 このプレゼンテーションでは、データセンタと機械学習ネットワークに関わる光技術の進化と、その重要な役割について考察する。
 谷口氏は「今後のデータセンタの変遷という観点で、本テーマを扱う。ハイパースケーラー各社でデータセンタのネットワーク構築の考え方は異なるので、ベンダからすると一つのソリューションで全てに対応することは難しい。そうした中で、ニーズに対してどのようなソリューションを考えていくかを識別した上で取り組んでいく必要があるので、今回はGoogleの展望をご紹介する」と話している。

 データセンタにおけるスケーリングは、10Gから段階的に400Gまで高速化を遂げてきた。だが、これは単に伝送機器を置き換えて実現してきたわけではない。
 例えばGoogleのJupiter データセンタが2015年に30,000台を超えるサーバに拡張され、サーバあたり40Gbpsの均一な接続を実現し、1Pbpsを超える総帯域幅をサポートしたことが発表された。その実現に際しGoogleは、SDN、Closトポロジ、コスト効率の良い市販のスイッチ シリコンの3つを柱に基づいてアーキテクチャを構築することにより、分散システムに大きな変化をもたらし、データセンタのネットワーク構築および管理方法を業界全体に示した。
 そして、その後の更なる高速化にあたり、Closトポロジでは数万組のファイバのペアが建物全体にめぐらされている中でスパインレイヤ全体を入れ替えて対応しなくてはならないという課題に直面したことから、GoogleはApollo OCSを設計してスパインレイヤを排除し、代わりにダイレクト メッシュ内で異種の集約ブロックを接続する方法を、データセンタ ネットワークの大部分の基盤とした。このOCS は、光を入力ポートから出力ポートに反射するシンプルな方法で優れた精度を実現し、ロスをほとんど出さない。また、データレートと波長に依存しないため、200Gbps、さらにはそれ以上の伝送およびエンコード レートに移行しても、アップグレードは必要ない。

 登壇するRyohei Urata博士は、OFC2023で発表されたApollo OCSに関するホワイトペーパーの著者の一人でもあり、世界の関心を集めていた。今回の講演では同氏の見解を日本で直接聴講できる貴重な機会となる。谷口氏は「本講演のベースは、海外HSDCの最先端の話になるだろう。通信業界で様々な次世代光技術のアプローチが考案されている中で、ベンダ各社は自社の得意とする技術を活かす道を選んでいると思う。今回はGoogleの将来展望を知ることで、日本企業がどこに注力して何を推し進めていくかのヒントになればと考えている。また、こうした動向を知ることで、日本のナショナルプロジェクトなどでの企業同士の横の繋がりが強まることも期待している。本講演のような場により、日本発のテクノロジーが世界で展開されるソリューションになれば幸いだ」との思いを述べている。

 Urata博士は現在、Platforms Optics GroupのPrincipal Engineer/Directorであり、過去10年にわたりGoogleのデータセンタ光学技術とそれに対応するロードマップの策定/開発に携わってきた。Google入社前は、日本のNTT Photonics Laboratoriesで研究スペシャリストを務めていた。光インターコネクト、スイッチング、ネットワーキングといった分野で、150件を超える特許、発表、プレゼンテーションがある。カリフォルニア大学バークレー校で基礎工学の学士号(最優秀成績)を、スタンフォード大学(Stanford Graduate Fellow)で電気工学の修士号と博士号を取得している。 2022年には、Optica/OSA Fellowに選出されている。
 本講演タイトルには、機械学習ネットワークというキーワードも入っているので、急成長している機械学習アプリケーション用のデータセンタネットワークを構築する際の様々なネットワークアーキテクチャとテクノロジーの要点が期待できる。同分野では特に光インターコネクトの役割に重点が置かれているので、Googleのデータセンタ光学技術に精通するUrata博士が、技術動向、主要な指標、より高い相互接続速度への進展、光スイッチングの役割、および今後のロードマップについてどのような見解を示すのか興味深い。

(OPTCOM編集部)

特集目次

「COMNEXT」開催直前 主催者インタビュー
「通信・放送Week」から新生した国際商談展「COMNEXT」が6月に開催。
次世代通信技術&ソリューション展として、光通信、6G、ローカル5G、エッジAI、映像伝送などを網羅

光通信技術セミナー企画委員インタビュー

佐藤 良明氏【NTTエレクトロニクス】
FOE-S
2023年 日本国際賞 受賞記念講演

・谷口 和彦氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】
FOE-1
データセンターのスケーリングおよび機械学習ネットワークにおける光技術の進化と役割

黒部 立郎氏【古河電気工業】
FOE-2
光トランシーバ最新技術動向

岡安 雅信氏【華為技術日本】
FOE-3
高密度光インターコネクトのトレンドおよび主要技術

森 浩氏【アンリツ】
FOE-6
光ファイバが拓くインフラセンシングの未来

土井 健嗣氏【日本電気】
FOE-9
クラウド データセンターおよびAIクラスター向けの次世代光トランシーバー

和田 悟氏【フジクラ】
FOE-10
シリコンフォトニクス用光コネクタの最新技術動向

以下、後日更新
※各委員より、セミナーの魅力を紹介。