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ノキアが提案する無線、有線通信インフラの最新ソリューション【G.fast】

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国内仕様VDSL2との相互接続が証明された独自のG.fast製品により、既設の電話回線用メタル線を流用した1Gサービスを実現

既設の電話回線で1Gサービス

 ノキアが既設住宅におけるFTTH移行を補完する技術として提案しているG.fastは、既設の電話回線用メタル線を流用することにより最大1Gbps強の高速化を実現できる。既設の住宅、特に集合住宅内において光ファイバを追い張りする方法は、通線路を確保することが難しいケースや、そもそも追い張りができないケースもあるなど、国内外で多くの事業者が課題としている。対して既設の電話回線を使うG.fastであれば、追い張りが不要で簡単かつ安価にアクセスサービスの高速化を実現できる。会場ではG.fastにより50mの距離を1.2Gbpsで伝送するデモが行われており、担当者は「1Gbpsの伝送容量があれば2020年に向けた4K・8Kの放送やIPテレビにも対応できる。光ファイバ伝送との違いは距離による信号の減衰が発生してしまうことだが、このデモのように50m程の距離であれば問題なく伝送できる」と話す。

G.fastの先には10G級のXG-FASTがあり、ノキアベル研究所では数年前から実際に動作するところを披露していたことから、商用化の見えている技術としてキャリアから期待されている。

 G.fastの実用化において、高速なサービスであることからメタル線のクロストークが深刻になるという課題があった。そこでG.fastでは、周囲のノイズをリアルタイムに把握して計算し、逆位相をかけることでノイズをキャンセルするベクタリング技術が必須となる。G.fastが実サービスでどこまでの品質を提供できるかは、このベクタリングの効果に左右されると言って良いだろう。ノキアベル研究所はこのベクタリング・アルゴリズムを得意としていることから、ノキアのG.fast製品は世界で評価されている。

日本で初めて国内仕様VDSL2との相互接続性を証明

 日本におけるノキア製品のアドバンテージとしては、国内仕様VDSLとG.fastシステム間の接続互換性が担保されている点もある。エネルギア・コミュニケーションズと共同で実施したフィールドトライアルでこれを証明していたことが、今年11月末に発表されている。ノキアは来年春にG.fastと国内仕様VDSLを収容できる製品を投入する予定だという。
 日本のキャリアがG.fastをVDSL2の後継技術として検討するにあたり、新技術かつ時分割伝送であるG.fastには互換性の観点から懸念の声もあったため、国内仕様でのフィールドトライアルにより互換性が証明された意義は大きく、日本におけるG.fast普及の契機となりそうだ。担当者は「VDSL2の宅内端末との相互接続が可能なことにより、例えばG.fastを導入する集合住宅に100Mサービスの加入者が何世帯か残るとしても、弊社のソリューションであればそのVDSL2端末を換えずに導入できる。この端末を後にG.fast端末に換えることで1Gサービスを提供することも可能だ」と説明している。
 日本のブロードバンドサービス市場、特に中部より西のエリアでは通信キャリア、電力系キャリア、CATV事業者による三つ巴の競争が激化して久しい。既設住宅の回線を優れたコストパフォーマンス、かつサービスを止めることなくスピーディに1GbpsへとマイグレーションできるG.fastは、FTTH化の難しかった案件を解決する技術として注目したい。

デモで使用されていたDSLAM「DX-16F」は、G.fastやVDSL2を16回線収容できる。高さは1RUで、幅19インチ、奥行きはケーブルスペース含めて300m。横置き、縦置きが可能で、重量は2.875Kg(SFP+の75gと、壁掛け金具の75gを含む)。

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