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ノキアが提案する無線、有線通信インフラの最新ソリューション【エッジ・コンピューティング】

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エッジ処理によるイベント会場内へのリアルタイムなHDビデオストリーミング

エッジ処理により距離による遅延を低減

 情報の全てを遠方のクラウドで処理するのではなく、端末に近いエッジ・サーバで処理することで距離による遅延を低減するエッジ・コンピューティングは、リアルタイム性と大容量伝送を両立したローカルなネットワークを実現できることから、IoTでの活用や路車間通信の実現など、日常の様々なシーンに適用できる技術として期待されている。
 ノキアはモバイル、そして有線での利用も視野に入れたマルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC) ETSIの創立メンバーであり、担当者は「LTEやWi-Fiなど既存のインフラで5Gライクな配信をする方法として、エッジ・コンピューティングは一つの選択肢になる。その利用シーンは様々で、一例としてはエッジ・ビデオ・オーケストレーション(EVO)がある」と話す。
 EVOは野球場やサッカー場、コンサート会場といったイベント会場にいる観客の端末に対し、会場内の様々なアングルから撮影した複数のHDビデオストリーミングをLTEやWi-Fiでリアルタイムに配信するというもの。これにより観客は、会場での臨場感を味わいながら、手元のスマートフォンやタブレット等で会場内の様々な場所の映像も同時に楽しむことができる。担当者は「観客がワンセグで会場の中継を視聴する場合、放送の制度により数秒後の映像が送られるので、目の前の状況と時間のズレが生じてしまう。対してEVOは、エンコーディング、デコーディングから再生を含め、カメラから視聴端末へ1秒以内に送ることができる」と説明している。

HDライブビデオのE2E遅延は<500ms

エッジ処理による即応性が分かりやすい構築例として紹介された野球場での配信イメージ。限られた範囲のネットワークなのでプライベート性も高い。

 例えば野球場で利用環境を構築する場合、審判の背後や各ベースの付近にカメラを設置し、そこからの映像を付近のエッジに送信する。このエッジから球場内に映像が配信され、観客は手元の端末で興味のあるアングルの映像を選んで視聴することができる。上海のF1グランプリでの採用実績もあり、観客はF1マシンが目の前を疾走するシーンを直接見るだけでなく、車載カメラによるドライバー視点の臨場感のある映像や、各コーナーにF1マシンがアプローチする際の緊張感のある映像を、手元の端末でリアルタイムに楽しめたという。HDライブビデオのE2E遅延は<500ms、容量はピーク時で228GB、全体で1.27TBのデータ処理とのことなので、快適なサービス環境であることが分かる。
 担当者は「東京五輪の2020年の段階では、5Gはまだスポット的に先進性を示すものだと思うので、既存のLTEやWi-Fiを使ったソリューションであれば広くお使い頂けるということから、こうした使い方をご提案している。MECはライブ配信だけでなく、地域の監視カメラ網でのビデオ解析やキャプチャポイントでのIoT解析などでもお使い頂ける」と説明している。今回は分かりやすい事例としてEVOが紹介されたが、MECの仕組みはIoT全般に適用できる技術なので、リアルタイム性が必要なソリューション、例えばパブリックセーフティでの活用や、スタートアップが新たなビジネスを創出するのにも相性が良い。

デモで使用されたMECサーバ。会場ではカメラ4台の映像をエンコーダ経由でMECサーバに入力し、Wi-Fi経由でスマートフォンアプリへリアルタイムな動画配信をしていた。

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