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CATV事業者向け10G級PONシステムの最新動向【1:既設PONタイプ別の高速化ガイドライン】

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 FTTH化が進展したCATV業界では、10G級PONシステムの導入が増え始めている。数年前は将来対応として構築されていた10G級PONシステムも、今では競合事業者がサービスを展開し、アクセスの無線もローカル5GやWi-Fi6など10Gが注目されるようになった。
 世界的に見ても10G級PONシステムの採用は増えており、その理由として「地域のビジネスを支える」、「個人の通信環境を支える」、そして「遠隔医療・診療を支える」ことが挙げられている。ニューノーマル時代では、地域の人々の健康を守るサービスという意味でも、10G級PONシステムは有効なツールとなる。
 3月22日に開催された第42回ラボワークショップでは「業界光化の展望~最新技術・製品化動向と導入事例~」と題し、10G級PONやリモートOLT、PON仮想化などの最新技術の動向を、日本ケーブルラボやベンダが解説した。

PON導入ガイドライン

 日本ケーブルラボではPON導入ガイドライン(JLabs DOC-079)として
・PONの高速化を実現する上で留意すべき点
・分散システムとしてのRemote OLT(R-OLT)の導入方法
・光ファイバの有効利用を目的とした5Gフロントホールへの適用
を整理している。
 このガイドラインは後述のベンダ解説のベースとなるので、まずは、この三点に関するサマリーを纏める。

各種PONの高速化移行のガイドライン

 日本のCATV業界ではGE-PONとG-PONの両規格が普及していることから、日本ケーブルラボはこれらを10G-EPONやXGS-PONに移行する際の様々なパターンを整理し、PON導入ガイドラインに組み込んでいる。

ガイドラインでは、PON高速化移行での1G/10G/40Gの共存、構築条件等を整理。

各種1G→10G移行ケースのコストに関する日本ケーブルラボの評価。ラボは「1G OLTの運用、そしてセンター側やユーザ側のWDM設置をポイントに評価した。しかしながら、既存のネットワークの状態や、採用している機器にもよるので、個別の検討が必要となる」と説明している。なお、本ページでは、後述の最新製品動向の解説にも関連する1-1、1-4、3-1をピックアップする。

【1-1】GE-PON→10G-EPON(2心3波→2心4波)の場合
・放送系と通信系が別の心
・新規10G OLTが既設1G ONUを収容できる

最もシンプルな移行ケース。10G OLTが上り1G/10G信号をTDMA(時分割制御)で管理するので、1G OLTの運用が不用になる。日本ケーブルラボは、コスト要因が最も小さいケースと評価している。留意点としては、新規10G OLTが既設1G ONUを収容する方法はベンダの製品仕様に依存する点となる(既設1G ONUの収容モードを備えている仕様や、既設1G-ONUを10G OLTに収容されるように更新する仕様など)。

【1-4】GE-PON→10G-EPON(1心3波→1心4波)の場合
・新規10G OLTが既設1G ONUを収容できる
・既存システムが放送系と通信系を波長多重した1心で、この心に10Gを追加する

WDMフィルタは10G対応に置き換える。10G OLTが上り1G/10G信号をTDMAで管理制御するので、1G OLTの運用が不用になる。

【3-1】G-PON→10G-EPON(2心3波→2心5波)の場合
・放送系と通信系が別の心
・新規10G OLTが既設の1G ONUを収容できない
・通信系の1Gと10Gを波長多重する

1Gと10Gの上り波長が重なっていないことが条件。1G OLTの運用は引き続き行う必要がある。ユーザ側にWDMは必要ない。

目次

■PON導入ガイドライン
・既設PONタイプ別の高速化ガイドライン
・R-OLTのメリットとデメリット
・既設のFTTH網を利用してローカル5Gの構築コストを削減
・PON仮想化技術による構築、運用費用の削減、新しいネットワーク機能への対応

■最新製品動向と導入事例
・住友電工の10G-EPON製品ラインアップと、その特長を活かしたサービス事例
・住友電工製品による、1G-EPONやG-PONから10G-EPONへの移行プロセス
・古河電工のN+1冗長10G OLTと、既設ONU巻取りソリューション
・古河電工によるPONとミリ波の連携ソリューション
・OLTシャーシを省いたAPRESIA のPONソリューション
・APRESIAが指摘する、ローカル5GでのPON適用における留意点
・R-OLTを用いたコムスコープの仮想化分散型FTTH/HFC

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