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ノキアが取り組む、AIイノベーションと先進ネットワーク【4:ノキアが提案するミッションクリティカル・スマート ネットワーク】

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ITのユーティリティ化で必要とされる、ネットワーク設計思想の転換

ノキアソリューションズ&ネットワークス
ネットワークインフラストラクチャー事業部
エンタープライズ営業本部
執行役員 営業本部長
岡崎真大氏

 ITが社会インフラとしてユーティリティ化する中で、ネットワーク機器の設計思想も変わる必要がある。これまでのITとは異なり、OTデバイスのクラウド通信を前提とした常時稼働型のネットワークも求められるためだ。
 ノキアソリューションズ&ネットワークスのネットワークインフラストラクチャー事業部 エンタープライズ営業本部 執行役員 営業本部長である岡崎真大氏の講演では、この領域におけるノキアの取り組みやビジョンが語られた。

ノキアの技術とポートフォリオのリーダーシップ。

 ノキアは、企業や政府/自治体インフラ系向けのミッションクリティカル・ネットワークで40年以上の実績が有り、その顧客数は3,000以上を誇る。
 ソリューション別に詳細を見てみると、日本でもNTTドコモビジネスとの協業で話題となったオプティカルLAN(POL)の顧客数は700社以上であり、毎年倍増している。ナンバー1のシェアを誇る領域も複数あり、「IPエッジ・ルータ」、インフィネラを買収して約28%のシェアとなった「伝送装置」、900以上の顧客を有する「プライベートワイヤレス」、40%以上のシェアとなる「PON」がある。
 ノキアが抱えるベル研究所は量子ドットなどを含む様々な分野でゲームチャンジャーとして実績を伸ばしており、その技術力の高さから2023年に10件のノーベル賞を受賞している。

ネットワークトラフィックは、2030年まで2025年の4~9倍へと増加すると予測されている。

 2030年までのトラフィック増加の予測では、特にエンタープライズの伸び率が高くなるとされている。これは、外部に出すことができない情報を扱う社内用のAI活用が増え、画像や表のデータが頻繁に行きかう社会が予測されているからだ。

3000+ 社のクリティカルネットワーク展開中。

 こうした時代においてノキアがめざしているミッションクリティカル・スマートネットワークは、ITのユーティリティ化だ。今後もAIの活用が増え、新しいネットワークが必要になる。ここでITは、水やガスのようなユーティリティ的な要件がより強くなる。そのポイントは次の4点となる。
 1点目は接続性であり、360度カメラのようなデータ量が非常に上がるものも含め、OTデバイスをオフィスや自宅からコントロールするとなると、トラフィックの付加が増加する。そこで、無線や有線の接続性を持たせることが必要になる。
 2点目は、通信インフラのユーティリティ化が強まると、従来のようなメンテナンスを最小化する必要が出てくる。また、ITは道路や水道管のメンテナンスと異なる点として、物理インフラだけではなくOSのサポートというサービスの継続性がある。だが、そのソフトウェア アップグレードにおけるセキュリティは、ユーティリティ化により重要性が増してくるので、その対策が課題となる。
 3点目は、セキュリティへの対応だ。耐量子暗号を含む暗号化技術への対応に加え、複雑なアクセスコントロール(AC)ルールを適用した場合でも性能を確保することが求められる。
 4点目は、ネットワークのスマート化だ。近年はネットワークの自動化や高度な制御が重要なテーマになっており、この領域でもネットワークのインテリジェンス化が重要になる。

有線ネットワークの動向と、ノキアの強み

ネットワークインフラストラクチャのイノベーション。

 ミッションクリティカル・スマートネットワークを支える有線ネットワークの動向としては、「IPと伝送の融合」「全体のシンプルな管理を想定した拡張」「複数データセンタの管理統合や、AIエッジからバックボーン データセンタまでのシームレスな管理を実現するマルチクラウド」「有線と無線の連携」等が挙げられる。

 岡崎氏は「有線と無線の融合も進んでいる。例えば、OTデバイスの接続では無線の利用が増えているが、実際のネットワーク運用では無線だけで完結するわけではなく、有線と組み合わせた構成になる。そして、その有線側のバックボーンについても変化が起きている。現在は1Gや10GのPONが主流だが、アプリケーションの多くがクラウドとの通信を前提とするようになり、将来的にはトラフィックの増加も見込まれる。そのため、PONについても100G級までを視野に入れた高速化の議論が進みつつある。つまり、有線と無線が融合するだけではなく、非常に大きなバックボーンとしてファイバ・フォー・エヴリシング(Fiber for Everything)が起きている」と説明している。

ノキアは戦略的にシリコンチップへ投資しており、アクセス系(PON)からIPまで、End-to-End で自社チップのポートフォリオを有している。アクセス系のQuillionは40%以上のシェアを持っており、100Gに向けて開発を進めている状況だ。IPのFPSも日本で高い評価を得ており、長年の実績が有る。こうした自社チップの技術がファイバ・フォー・エヴリシングを高度化し、ミッションクリティカルなネットワークの最適化に繋がっていく。

キャリア寄りの話となるが、Nokia IPルータのグローバルマーケットにおける実績は伸びており、アメリカ市場でもシェアトップになっている。「絶対に落とせない」という設計思想(冗長化技術や障害検知プロトコルなど)が求められるキャリア市場で培われたこうした技術は、ITのユーティリティ化による設置環境の変化に対応する様々なモデルの信頼性にも繋がっている。

豊富な機器ラインアップと先進のセキュリティ技術による、ミッションクリティカル ネットワーク

ノキアは、ミッションクリティカル ネットワーク向けアクセスルータの豊富なラインアップを誇っている。

 通信の活用シーンの広がりとともに、ミッションクリティカル ネットワークを構成する機器も様々な場所に設置されるようになった。無線対応の屋外モデル、インダストリー系の耐環境性を備えたモデル。またSDH/SONET、レガシーインターフェース、音声などにも対応している。岡崎氏は「ITはユーティリティ化するので、これまでデータセンタールームで使われてきたデバイスとは考え方を変える必要がある。そこで、いわゆるインフラに優しい接続性を実現している」と話す。

自社製チップは、CVE管理における信頼性の高さにも繋がる。ノキアは、ルータOSでクラス最高のソフトウェア品質を実現している。

 また、ノキアの自社製チップという戦略は、CVE(Common Vulnerabilities and Exposures、共通脆弱性識別子)管理というセキュリティ対策でもアドバンテージが有る。
 他社製チップを採用する場合、チップ内部の脆弱性(CVE)の修正はチップベンダに依存する。対して自社開発であれば、脆弱性が発見された際に外部ベンダの対応を待つことなく、自社で直接マイクロコードやファームウェアの修正を行えるため、CVEへの対応スピードが上がる。また、自社チップは仕様が公開されていないため、攻撃者が脆弱性を見つける難易度が高くなる。
岡崎氏は「脆弱性を抑えることは、お客様にとってデジタル時代のサービスがダウンしないことに繋がる」と話す。

ノキアは、複数ネットワークレイヤでの量子暗号化も提案している。L1暗号化は物理層に近い部分で圧倒的な低遅延・高帯域を実現するが、量子暗号(特にQKD:量子鍵配送)や耐量子計算機暗号(PQC)を導入する際、L1(OTNsec)だけでなく Anysec(L2.5/L3)を併用する多層防御(Defense in Depth)は、セキュリティと柔軟性の両面から非常に有効な戦略となる。

 これまで見てきたように、ノキアは豊富な機器ラインアップと先進のセキュリティ技術を有している。この総合力により、例えば変電所のようなミッションクリティカルな環境でも、「過酷な環境に耐えうる物理ハードウェア」と「量子安全な暗号化技術」を、一つのエコシステムとして完結して提供できる強みがある。
 変電所内は電磁干渉(EMI)が激しく、温度変化も極端だ。つまり、データセンタ内でネットワークを構成するのとは条件が大きく異なる。そこでノキアは、耐環境性に特化した製品群を適切に配備するとともに、複数のネットワークレイヤで量子安全な暗号化を組み合わせ、それらを総合的にオーケストレーションする提案をしている。
 岡崎氏は「ノキアが他社と大きく違う点として、ダラスとシンガポールに電力向け統合試験施設を有している。Nokia製ではない様々なデバイスも接続できるので、現在お使いいただいているレガシーなコミュニケーションツールもテストできる。これは鉄道系でもご利用いただいている」と話す。

ミッションクリティカルOTネットワーキングソリューション全体像例。

電力向け統合試験施設。

エネルギー市場における、NokiaのIP、光、ファイバアクセスの取引実績。

ノキアのミッションクリティカル ネットワークは、世界の鉄道インフラでも実績を伸ばしている。

レポート目次

TOP

1:AIコネクティビティのための超高効率ネットワーク

2:AIと高度なネットワークソリューションでパフォーマンスと利益を促進

3:ノキアのプライベートワイヤレス技術で広がるAIの可能性。360度マルチメディアによる産業のデジタル化

・4:ノキアが提案するミッションクリティカル・スマート ネットワーク

以下、後日更新