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ミライト・ワンの「2025年度 第2四半期 決算」および「今後の経営戦略」・2

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 ミライト・ワンはMIRAIT ONE Group Vision 2030を掲げており、通建会社を超える「超・通建」に向けて、通信事業をベースとして成長領域の拡大を図っている。
 菅原氏は「その実現には、企業価値向上とグループシナジーの創出が必須だ。これまでは“足し算”の連結経営でグループ各社・各カンパニーの事業強化を実現してきたが、今後は連携の強化・進化という“掛け算”の連結経営となる」と話している。

ミライト・ワンは、事業シナジーによる新たな付加価値創造をめざす。

原氏は事業シナジーの柱の一つとして、「顧客志向へのシフト」を強調している。

 グループ各社・各カンパニーの「掛け算」の具体例として、保守サービスが挙げられる。これまでミライト・ワングループにおける保守サービスは、主にオンサイトによる対応を中心としてきたが、2025年10月にクラウド保守技術を持つY2Sを連結子会社化したことにより、クラウドに加えオンサイト保守の体制を確立した。
 菅原氏は「ICT設備のトラブル発生時の即応性の向上を含めて、高品質なサービスを提供していく」とし、「今後は、お客さまシステムの運用監視をマネージドサービスという形で進化をさせていく。これにより、お客様の運用データを基に設備の更改や改善など最適な提案を行いたい。将来的には、このマネージドサービスをICTに限らず各種インフラ分野、例えば太陽光発電や蓄電設備、ZEB、街づくりなどのO&Mビジネスにも拡大していく」と展望を話している。

Y2Sの連結子会社化とグループO&M事業拡大のイメージ。こうした連携体制は、後述するデータセンタ事業にも役立つものであり、例えばデータセンタの近くに発電設備を構築することで電力問題を緩和する構成を、グループとして効率的に提案できる。

コンテナ型データセンタ ビジネスへの取り組み

ミライト・ワン グループは、コンテナ型データセンタをワンストップで提供できる強みを持つ。

 菅原氏は事業領域の拡大の一つとして、急拡大するコンテナ型データセンタ ビジネスへの取り組みにも言及し、「昨今、AI需要の対応として、データセンタ需要が旺盛だ。このコンテナ型データセンタは、完工までの迅速性、ワンストップ提供が可能な手離れの良さ、設置条件の自由度の高さがあり、現在、多くの引き合いを頂いている」と説明している。
 コンテナ部分は、ミライト・ワン グループが土地調査から保守までワンストップで提供し、複数の冷却方式も用意している。サービス部分は、協業パートナーであるモルゲンロットが対応してる。(当サイト内関連記事:ミライト・ワンの、コンテナDCビジネス戦略)

 提供モデルは、サーバ内の計算リソースをGPU単位で提供するモデルや、コンテナデータセンタそのものを保有したい顧客へ提供するモデルがある。菅原氏は「昨年度の受注は10億円だったが、2025年度末は70億円の受注をめざしている」と話す。

MIRAIT ONE Group Vision 2030 の進捗状況。同社は従来からデータセンタ施工において、通信設備、電気、コンテナ型データセンタを扱う、アジア最大級のデータホールのケーブリング事業者として活躍してきた。現在は、グループ全体の強みを活かして業容を拡大し、建物や空調も手掛けるフルバリュー型でデータセンタ事業に取り組んでいる。

データセンタ事業の推移の詳細。コンテナ型データセンタ事業の他、アジア12ヶ国におけるケーブリング工事などの通信設備工事を行うラントロビジョンと日本国内事業との連携強化、電気・空調の施工、自社データセンタ運営事業、そしてUPSの大型受注などにより、上半期の受注額は310億円となった。

編集部備考

■今回、菅原社長が事業領域の拡大の一つとして強調したミライト・ワンのコンテナ型データセンタは、AI設備提供や注力事業展開として捉えるだけでなく、AIスーパーサイクル時代におけるインフラ構築モデルの転換点として、今後の飛躍が期待できる。その理由は、グローバルにおいてAIインフラの競争軸が、「計算資源の確保」や「拠点の拡張」から、「設計変更をどこまで高速に吸収し、実装まで落とし込めるか」という組織能力へと移行しつつある中で、ミライト・ワンは既にそれを体現している企業だからだ。
 AIはCognitive AIからGenerative AI、さらにAgentic AIへと、わずか数年単位で進化してきた。その結果、データ生成量の増大、双方向トラフィックの常態化、低遅延処理の要求など、ネットワークやデータセンタに求められる前提条件そのものが短期間で変化している。一方で、従来のインフラ構築プロセスは、投資判断から設計、建設、運用までを含めると5年から10年単位の時間軸で動く。この時間軸の乖離こそが、通信事業者、データセンタ事業者、AI活用を進めるユーザ企業にとって、AI投資の拡大にネットワークや物理インフラの整備が追いつかない構造的要因となっている。これはグローバル規模で課題とされていることであり、例えば米国と欧州の約2,000人のテクノロジーおよびビジネス意思決定者を対象とする調査では、「米国は引き続き世界的なAI導入と大量市場での導入をリードしているが、米国の回答者の88%がネットワークインフラの拡大がAI投資に追いつかないのではないかと懸念している」と報告している(当サイト内関連記事)。

 この懸念を解消する方法の一つが、コンテナ型データセンタだ。モジュール化された構成により、需要変動や設計変更に応じた拡張・移設・再構成を可能にするこのモデルは、AI進化の速度とインフラ構築の時間軸の乖離を埋めるための、現実的な解の一つと言えるだろう。
 そして、このコンテナ型データセンタを、長年にわたり通信建設に携わってきたミライト・ワンが構築することは、AIインフラのグローバルな潮流の未来を既に体現していることを示している。コンテナ型を含めデータセンタの構築モデルは一般的に、GPU、電力、冷却、立地といった各要素を「個別最適」で積み上げることになる。だが、AIスーパーサイクル時代になると、AI投資のスピードが上がる一方で、AI需要の変化やGPUリソース確保のサプライチェーンの変化などの外的要因により、データセンタの設計変更が例外ではなく常態となる。その中で重要になるのは、「速く作る」こと以上に、「設計も速く作り直せる」体制を持てるかどうかである。すなわち、競争優位の源泉は、物理資産の保有量だけではなく、論理設計(ICT)と物理設計(電力・建設)を一体として最適化できる組織能力へと移行しつつある。その潮流を象徴する最近の出来事として、例えばAIインフラ構築に強みを持つNscaleが、データセンタ エンジニアリング コンサルティング企業であるFuture-techを買収している(当サイト内関連記事)。

 こうしたグローバルの潮流の中、通建業者としてネットワークインフラの構築・運用に精通しつつ、GPU、電力、冷却、立地といったデータセンタ設計要素も内包してきたミライト・ワンは、この新しい競争軸を最初から体現している存在だと言える。通信インフラとデータセンタを別領域として分断的に扱うのではなく、ICTと物理インフラを統合設計する発想は、即応性が高く、AIインフラ市場における不確実性を前提とした事業モデルと親和性が高い。特に同社のコンテナ型データセンタは、この組織能力を物理アーキテクチャとして実装した形と位置づけられる。
 ミライト・ワンのポジションは、AIインフラ領域全体において、「資産獲得」や「設備拡張」に加えて、「設計思想と実装能力の統合」が競争力の源泉となりつつある中で、大きなアドバンテージとなる。同社がコンテナ型データセンタを注力事業としていることは、AIスーパーサイクル時代における顧客の付加価値創造に直結する重要な取り組みであると同時に、今後のAIインフラ構築モデルの一つの標準像を示すものとも言えるだろう。