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ミライト・ホールディングスの2022年3月期決算と、中期経営計画【1】

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 ミライト・ホールディングスが5月17日に発表した2022年3月期決算では、売上高4,703億円(対前期66億円増。6期連続での増収かつ過去最高を更新)など、好調な数字が示された。
 本件に関する記者発表会では、ミライト・ホールディングス 代表取締役社長である中山俊樹氏が登壇。NTT事業やマルチキャリア事業、ICT事業といったセグメント別の状況の説明や、7月の新会社・新グループ設立後のビジョン、そして中期経営計画(2022~2026)について解説された。
 本記事では、各項目に対する中山氏の見解をレポートする。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

2022年3月期 決算概況

受注高推移

ミライト・ホールディングス
代表取締役社長
中山俊樹氏

 受注高は5,213億円で、対前期464億円増となった。西武建設※の繰り越し受注高を除くと4,632億円で、対前期117億円減。中山氏は「全事業区分において好調だったということを反映して、期中に100億の上方修正をしている。下期以降は各キャリアの投資の抑制や、市場全体の半導体不足や物流の混乱、いわゆるサプライチェーンの影響などがあり、市場全体の投資マインドが少し冷え込んだこともあり、環境社会を除く三部門で前年割れとなり、上方修正した計画は残念ながら下回った」と説明している。

(※当サイト内関連記事:
ミライト・ホールディングスが西武建設を子会社化)

売上高推移

 売上高は4,703億円で、対前期 66億円増となった。この項目では、西武建設の影響は無い。6期連続での増収で、過去最高更新となる。中山氏は「前年度に受注が好調に推移したので、コロナ禍の影響は有ったが、キャリア事業等(高度無線環境整備事業、5G関連工事)が牽引をした。ただ、期中に上方修正した計画については、残念ながら届かなかった。これも受注と同じく、下期は全体的に若干の下降傾向があった」と話す。
 セグメント別の詳細は次の通り。

NTT事業
 NTT事業の売上高は1,634億円で、対前期64億円増となった。これは、北海道、東北、中国における、いわゆる高度無線環境整備事業が大きく進捗し、この影響を大きく受けて増収になったという。中山氏は「現在、固定系の技術者とモバイル系の技術者をマルチ化することによって、特に全業務の基地局の点検業務などを一体化して効率化を進めている。そういった効果でコスト削減や労働力の確保が進み、一定の成果を挙げられたのではないかと考えている」と話す。

マルチキャリア事業
 マルチキャリア事業の売上高は1,062億円で、対前期80億円増となった。中山氏は「キャリアごとに濃淡があり、必ずしも同じ傾向ではないが、総じて5Gの基地局工事が本格的になっている。また、DXやリモート需要、そしてCATVのネットワーク増強工事もある。そして、我々のモバイル関連の子会社の再編成を進めており、そうした業務集約による効果も進捗している」と説明する。

環境社会 イノベーション事業
 環境社会 イノベーション事業の売上高は556億円で、対前期25億円減となった。中山氏は「太陽光の設備、再エネは加速しているが、従来の大型から、中型・小型への移行による減となった。また前期はコロナ禍における空調が好調だったが、今年は反動減という影響でマイナスになっている。ただ、電気照明の工事等々は確実に増加しており、今後に期待できる。来年はこのジャンルに西武建設の売上利益が全部入ってくるので、この部分が来年は大きく増加していくと予測している」と話す。

ICTソリューション事業
 ICTソリューション事業の売上高は 1,451億円で、対前期52億円減となった。中山氏は「前年度はGIGA スクールによる需要の急増があったので、その反動減ということで52億円の微減となった。一方で、コロナ禍によるテレワークの増加やリモート経済の増加など、全体として通信設備の増強というニーズが強いので、データセンタの工事等が増加している。シンガポールのラントロビジョンも、アジア全体がコロナ禍から復調してきており、その部分が増加している」と話す。

営業利益推移

 営業利益は328億円で、前期比27億円増となった。この項目も過去最高となっている。中山氏は「利益率も念願の7%に上がった。この営業利益の推移は、売上増も要素の一部だが、基本的には、地道に取り組んできた利益の改善や、原価の改善が功を奏して、総利益の改善になった。この数年、生産性向上に全社をあげて取り組んできて、相対的に粗利率の高い事業が、その売り上げを伸ばしたという面も有るが、全体的には業務効率化が着実に実を結んできている。特に、通信分野だけではなく、今まで苦戦をしていた環境社会分野の利益率の向上も寄与している。販管費は人件費やシステム関連、7月の三社統合、M&Aのコストなども有るので、こうした部分の販管費の増加については引き続き改善努力を続けていく。また、前期の会計上は収益認識基準による影響が多少は有ったが、前期末でほぼ無くなったと認識している」と説明している。

当期純利益推移

 当期純利益は251億円で、前期比9億円増となった。中山氏は「受取配当金の減少といったこともあったが、利益率の向上、そして政策保有株の売却を進めていることにより、全体としては営業利益が増加した」と話している。

株主還元

 昨年度は前期よりも10円増配して、一株当たり年間配当は55円を予定しているという。自己株の取得に関しては、期初に30億円、そして第四四半期に20億円を追加し、合計50億円を実施。結果として、昨年度は、総還元性向41%になった。中山氏は「以前から30%目線にと申し上げてきたが、その水準を上回っている。今年度以降、新しい株主還元の方針については、後程の中期戦略で述べさせてもらう」と話している。

レポート目次

・2022年3月期 決算概況
7月に新会社 ・ 新グループ設立へ
MIRAIT ONE Group Vision 2030(人間中心経営)
MIRAIT ONE Group Vision 2030(事業成長加速)
2023年3月期 通期計画と、中期経営計画 (2022-2026)