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NTTエレクトロニクスが、140Gbaud対応の高性能コヒーレントDSPを販売開始

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 NTTエレクトロニクスは3月6日、140Gbaud高性能コヒーレントDSP(「ExaSPEED GAIA」)の出荷を開始すると発表した。

 ExaSPEED GAIAは、フレキシブル符号化変調と5nm FinFET CMOSの最先端半導体プロセスにより最大140Gbaudまでbaudレートが可変であり、1波長あたり1.2Tbpsという世界最大容量の光伝送を実現する。

 ExaSPEED GAIAは、非常に細かい粒度でbaudレートが可変であるため、スペクトル効率を最大化しながら、短距離のデータセンタ相互接続(DCI)、ROADMを多段通過する陸上のメトロネットワーク、そして超長距離の海底伝送路等の様々なリンクに適用することが可能だ。
 また、これらのアプリケーションでは、ユーザは広く普及している400Gインターフェイスを効率的に使用することができます。例えば、DCI用には1.2T(3x400GbE)、メトロ用としては800G(2x400GbE)、そして海底用へは400G(1x400GbE)として利用することができ、これによりインターフェイス種別を簡素化し、CAPEX/OPEXの削減を可能とする。さらに、ExaSPEED GAIAでは、baudレートの柔軟性に加えて、伝送容量を50G単位で可変であり、これらの組み合わせによりあらゆる顧客の要求に対応する。

 ExaSPEED GAIAに搭載するフレキシブル符号化変調は、高度なコンステレーション整形符号、前方誤り訂正(FEC)符号、高次変調を高性能かつ低電力で効率的に実装するために新しく開発された技術だ。これにより、ExaSPEED GAIAは、顧客の伝送リンクを低エネルギーでカバーする様々な動作モードをサポートする。
 また、ExaSPEED GAIAは、パフォーマンスを向上させるために、非線形歪み補正技術、偏光状態(SOP)の適応高速トラッキング技術、デバイス・伝送特性の高速推定技術、高ボーレートシステム用の超長距離対応波長分散補正技術等の様々な新しい補正アルゴリズムを採用している。また、NTTエレクトロニクスの業界トップクラスの高速コヒーレント ドライバ モジュール(CDM)を組み合わせることで、ExaSPEED GAIAの性能を最大限に引き出すことができるという。

 富士通 フォトニクスシステム事業本部 副本部長 松井秀樹氏は「”ExaSPEED GAIA”の性能に大変感銘を受けている。この革新的なDSPは、当社の製品の市場競争力を高め、革新的なソリューションを提供することを可能にする。”ExaSPEED GAIA”は、『テラビット時代』という新しい世代を切り開き、業界のゲームチェンジャーになるだろう」とコメントを出している。

 日本電気 フォトニックデバイス開発統括部長 後藤明生氏は「将来の高度情報化社会の実現にあたり、今回新たに開発した最新型DSPが主要な技術となると考えている。我々は、この”ExaSPEED GAIA”ならびに超広帯域光変調モジュールを次期WDM製品に導入し、柔軟性があり大容量かつ低消費電力な将来の光ネットワークを実現していく」とコメントを出している。

 NTTエレクトロニクス ブロードバンドシステム・デバイス事業本部 エレクトロニクス事業ユニット ユニット長 重松智志氏は「ExaSPEED GAIAは、従来の当社高性能DSPよりビットあたりの消費電力が50%小さく、baudレートが2倍高速だ。この新しい高性能DSP、ExaSPEED GAIAは、お客様の最先端光伝送装置およびシステムに貢献すると確信している」とコメントを出している。

 NTTエレクトロニクスは、早期提供パートナーに対し販売を開始しており、2023年末に量産製品化の予定だという。
同社は「今後も業界最先端のDSPラインナップを拡充し、長距離・メトロ・近距離データセンタ間のあらゆる領域でファイバ伝送容量を効率良くアップグレードする手段を引き続き提供していく」としている。

 なお、本件の製品は、NEDOの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(JPNP20017)/ポスト5G情報通信システムの開発/(b2)テラビット級光伝送用DSP実装基盤技術の研究開発」の成果の一部と、総務省委託研究「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発 課題Ⅰ」(JPMI00316)の成果の一部を活用している。

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