NTTが、マルチコア光ファイバを用いた世界最高容量の192コア海底ケーブルシステムを開発
テレコム 無料海底ケーブル構造を変えずに通信容量を4倍に拡大
NTTは3月13日、通信用光ファイバ1本で従来の4倍の伝送容量を実現する4コアのマルチコア光ファイバ(MCF)を開発したと発表した。さらに海底4コアMCFケーブルに加え、ケーブルを接続するジョイントボックスおよび既存光ファイバとMCFケーブルを局内で接続する成端架を開発し、商用導入するための物品をラインナップ化した。
本成果により、伝送容量需要の拡大に対応する大容量な海底ネットワークの経済的な整備が期待できる。
本成果の一部は、OFC2026(3月15日~19日:ロサンゼルス)でトップスコア論文として採択され、発表を予定している。

図1:既存光ファイバの容量限界を超える4コアマルチコア光ファイバ
背景
NTTは、IOWN構想の大容量光伝送基盤を実現する要素技術の1つとして、1本あたりの光ファイバの容量限界を超えるMCFの研究開発を進めている。これまでに、現在の光ファイバと同じ細さのガラスの中に、4個の光の通り道を多重した4コアMCFの研究開発を推進してきた(図1)。4コアMCFの通信ネットワークへの商用導入に向けては、海底ケーブルを適用先の1つとして検討を進めてきた。海底ケーブルには、5Gや生成AI、動画視聴等の普及に伴う通信需要の増加に対応するため、さらなる容量拡大が求められている。海底ケーブルの敷設には、敷設ルートの海洋調査からケーブルの設計・製造、敷設船によるケーブル敷設工事まで多くの工程が必要となり、多大なコストを要する。そのため海底ケーブル1本あたりの通信容量を4倍に拡大できれば、敷設コストを従来の4分の1に削減できる。
海底ケーブルの通信容量は、収容する光ファイバの心数を増やすことで拡大できる。しかし、収容スペースには制限があり、現在の収容心数は既に海底ケーブル上限の48心に達している。また、海底ケーブルは、水深8,000mの超高圧に耐える耐圧性、25年以上の長期運用を前提とした信頼性および敷設船等の設備インフラへの適合性をすべて満たすよう設計・製造されており、ケーブル径を太くすることで光ファイバの収容数を増やすことは困難だ。
これらの背景から、既存の海底ケーブル構造を変えずに通信容量拡大を実現するMCFの活用が期待されていた(図2)。
NTTはこれまで、既存の光ファイバと同じ細さを維持することで、既存のケーブル構造との適合性や接続インターフェース、既存光ファイバとの光学互換性を満たす4コアのマルチコアファイバを提案・実現してきた。一方で、このMCFを用いた海底ケーブルを商用導入するための課題として、4コアMCFの海底ケーブルへの実装や、海底ケーブルと陸上ケーブルの接続物品、海底ケーブル同士の接続物品、通信局内で伝送装置と接続するために既存光ファイバへの接続を行う成端架の通信設備が必要不可欠だった。
今回NTTでは、4コアMCFの海底ケーブルへの実装に加え、海底ケーブルの建設を可能とするジョイントボックスおよび局内接続架の物品ラインナップを開発した(図3)。

図2:海底ケーブル構造と4コアMCFによる容量拡大

図3:海底MCFケーブルシステム構成と開発物品
開発概要と成果
海底MCFケーブルシステムは、ネットワーク構築要素として、海底ケーブル本体に加え、海底–陸上ケーブルの接続や海底ケーブル同士の接続を行うジョイントボックス、ならびに通信局内で伝送装置と接続するための既存光ファイバとMCFを接続する成端架から構成される。これらの構築要素を商用利用可能な水準まで開発することで4コアMCFを適用した大容量な海底ネットワークの経済的な整備が実現できる。
【①海底4コアMCFケーブル】
4コアMCFを直径約20mmの海底ケーブルに最大48心実装することで、光ファイバ収容制限のある海底ケーブルのコア数を4倍の192コアまで拡大することできる(図4)。4コアMCFは、既存光ファイバとの光学互換性を満たしつつ低損失と低クロストークを両立する構造で設計・製造しているため、48心まで4コアMCFの実装密度を上げた状態においても低損失かつ低クロストークの優れた光学特性を実現している。
【②海底ジョイントボックス】
4コアMCFを実装した海底ケーブルと従来光ファイバを実装した陸上ケーブルの接続を行う。
【③工場付ジョイントボックス】
海底において海底MCFケーブル同士を接続することが可能となる。接続には、側面画像調心技術をはじめとしたMCFに対応した融着接続を行う。
【④MCFケーブル成端架】
海底ケーブルを通信局内で配線し、既設の従来光ファイバとの接続を可能とする。

図4:開発した海底4コアMCFケーブルとその収容コア数
今後の展開
本研究では、既存の海底ケーブル構造を維持したまま通信容量を4倍に拡大できる192コア海底ケーブルシステムと、その商用導入に必要な関連物品を開発した。これにより、大容量海底ネットワークの経済的な整備が可能となる。NTTは「今後は、2029年頃の実用展開をめざし、海底ネットワークの大容量化と持続的な通信基盤の高度化に貢献していく」としている。








