光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

フルーク・ネットワークスがケーブル試験とネットワーク試験を一台で実施できるLANテスターをリリース。産業用イーサネットにも対応【1: LAN配線の市場動向と課題】

FOCUS 有料

期間限定無料公開中

 テクトロニクス&フルーク(以下、フルーク・ネットワークス)は4月19日、ケーブル試験とネットワーク試験を一台で実施できる「LinkIQ ケーブル+ネットワーク・テスター」(以下、LinkIQ)の提供を開始した。フルーク・ネットワークスのテクニカル・マーケティング・アドバイザーである天本英樹氏は「配線敷設現場の方々やネットワーク管理者の方々から二つの試験を一緒に実施したいというご要望を頂いていたが、それにお応えできる製品が無かったことから新たな製品カテゴリとして開発した。10Gの帯域まで対応しており、ワンタッチ操作でケーブル試験とネットワーク試験ができる。PoE試験では最大でクラス8(90W)の実負荷試験が可能だ」と話している。

 また、産業用ネットワークにおけるイーサネットの比率が年々増加していることから、同テスターを産業用イーサネットに対応できるようにする「マルチ・コネクタ・アダプタ」をセットにした「LinkIQ-IE産業用イーサネット・ケーブル+ネットワーク・テスター(以下、LinkIQ-IE)」も、同日に提供を開始した。フルーク・ネットワークスのセールス・マネージャーである松下和展氏は「このアダプタを使うことで、産業用イーサネットで多く使用されているM8DやM12D等のコネクタで成端されたケーブルの誤配線や対分割等の結線の問題を確認することができる。また、Ethernet/IP、PROFINET、EtherCAT、CC-Link等、産業用イーサネット・プロトコルにも対応している。プラント技術者、制御系エンジニア、システムインテグレータの方々が、産業用オートメーションのインフラ構築や保守、トラブルシューティングをする際に、ご活用いただきたい」と話している。

 今回の取材では、LAN市場の動向や、ネットワークの不具合が起こりやすいケース、そして新製品の詳細について話を聞いた。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

「LinkIQ」の測定画面。配線の障害検出やネットワークの設定情報を1台で収集できる。日本語にも対応予定。

LAN配線の市場動向と課題

 フルーク・ネットワークスは、フルークコーポレーションの一つの事業部としてLAN配線テスターを担当。世界のLAN構築・運用を30年近くにわたり支え続け、日本のICT業界でもディファクトとして認知されている。フルーク・ネットワークスに所属する世界の従業員数は約700人。120ヵ国以上で特約店を通じ製品を提供している。
 同社のテスターは、主に次の4つの分野で利用されている。

  • 情報通信工事事業者、オフィスや学校関連等のLAN配線システムの工事
  • データセンタのネットワークインフラ構築
  • 工場の産業用イーサネットで使用する配線のアセンブリや配線工事
  • 屋内外の電話線などの通信インフラ

 今回発表された「LinkIQ」および「LinkIQ-IE」は、LAN配線テスター市場において世界的なマーケティング能力を持つ同社が新たな製品カテゴリとして打ち出した意欲的な製品であり、産業用イーサネット向けのアプローチにも注力している。松下氏は市場動向について「現在、ICT分野では音声、映像等の大容量データ通信を行う需要があるため、ネットワークインフラの高速化が急務となっている。LANケーブルにおいては10GをサポートできるCat6A による配線システムの構築、そしてスイッチングハブ等のネットワーク機器や端末においても2.5G、10G対応製品の導入が進んでいる。また、ネットワークカメラ、Wi-Fiのアクセス・ポイント、IP電話などの端末機器においては、PoEスイッチからLANケーブルを通じてそれらの端末に電源を供給するシステムの構築が数多く行われている。その結果、各機器の給電能力やポートの設定の問題、そしてLANケーブルの性能問題等で十分な電力が端末に供給されなかったり、必要な帯域幅が得られなかったりするなどの原因により、伝送エラーが生じ映像や音声が乱れるといったトラブルが数多く発生している。そこで今回、10GまでのLANケーブルの検証と、ネットワークの接続性の確認、そしてPoEを含めたトラブルシューティングを1台のテスターで実施できる製品を開発した」と説明している。
 
 また、フルーク・ネットワークスのシニア・セールス・エンジニアである高橋英治氏はネットワークの不具合の原因について「弊社が調べた結果、ネットワーク機器の障害、ケーブル配線の性能問題、機器の入れ替えや増設時の設定不具合が上位を占めており、不具合の原因の半分以上が物理層周辺に起因するという結果が出ている。これはネットワークに携わる様々な企業の調査結果とも一致しており、ICT業界では定説になってきたと認識している。こうした不具合を特定するケーブルやネットワークのテスターはICT業界で使われているものというのが一般的なイメージだと思うが、プラントや制御系などの産業用ネットワークでも検証やトラブルシューティングは重要だ。LinkIQならば、それを簡単かつ素早く実施できるので、産業用イーサネットに対応できるLinkIQ-IEもラインアップした」と説明している。

一般的なICT向けモデル「LinkIQ」。プローブ等を追加したキットも用意している。価格は税別。


産業用イーサネットにも対応できるモデル「LinkIQ-IE」。価格は税別。

「LinkIQ-IE」ならば産業用ネットワークの様々な課題の解決にも役立つ。

目次

1:LAN配線の市場動向と課題
2:LinkIQの各機能
3:産業用イーサネットの障害の原因を特定