光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

数年先を見据えたCATV伝送路の整備(6)

期間限定無料公開 有料

住友電気工業

 住友電気工業(以下、住友電工)はブロードネットマックスがCATV市場で培ってきたRF技術と住友電工ネットワークスがキャリア市場で培ったIPの技術を併せ持っている。IPとRFのそれぞれでヘッドエンドから加入者端末まで自社で提供できる強みが有り、事業者の状況に合わせた最適な提案ができる。
 ブースでは「Innovative Standards ~住友電工が考える高度化CATVシステム~」をテーマに、先進技術を取り入れた最新の高度化IP伝送システムや高度化RF伝送システム、そしてアプリケーション・システムが紹介される。

住友電工の高度化CATVシステム

住友電工の高度化CATVシステム

1G-EPONやHFCから10G-EPONへマイグレーション

 住友電工の10G-EPONは、北米のMSOや日本のCATV事業者による商用導入や、トライアルの実績が増えている。10G-EPONへの関心が高まっている背景について住友電工 ブロードネットワークス事業部 企画推進部 担当技師長の伴泰次氏は「総務省の発表したデータを見ても、2014年から15年にかけてブロードバンド契約者の総ダウンロードトラヒック量は54%成長している。この急峻な立ち上がりはこのまま何年間は継続するだろう。更に2018年には4K・8K実用放送も控えており、IP伝送のコンテンツも4Kが増えることが見込まれている。その状況下で10Gへの移行をご検討されるCATV事業者様が増えており、HFCから一気に10G-EPONへと移行するケースも出てきている」と話す。

10G-EPONプラットフォーム「FSU7100」

 住友電工の10G-EPONプラットフォーム「FSU7100」は、OLTシャーシに1Gカードと10Gカードのインターフェイスを同時に収容できる。10Gポートは下り1Gと10G光信号をWDM、上りでは1Gと10GをTDMで多重し1本の光ファイバ上で伝送する。また、ラインカードにはトリプレクサが備わっているので、同一のポートに1Gと10G端末を混在できる。
 「FSU7100」はPON信号を集約するL3スイッチを内蔵したことにより省スペース化を実現。これにより高額な光モジュールや配線が削減されるので、システム全体のコストも低減されている。また、スイッチは二重化が図られているので、片側が停止しても片系で動かしてサービスを継続できる冗長性を実現している。「FSU7100」には1Gのポートを最大160ポート、10Gを最大128ポートと高密度に収容することもできるので、この点でも省スペース化に貢献している。
 伴氏は「北米の大手MSOにご採用頂いているので、出荷数量を伸ばすことで製品のコストダウンを図っていく」と話している。また、同社は光部品の世界シェアも高いので、部品レベルでのコスト低減も期待できる。

4Uサイズの小型10G-EPON OLT「FSU7102」

4Uサイズの小型10G-EPON OLT「FSU7102」

運用系はDPoEに対応

 住友電工のPONシステムは米国ケーブルラボ標準のDPoEに対応しているので、DOCSISプロビジョニングサーバによるONUとケーブルモデムの管理・運用が可能だ。DOCSISからGE-PON、10G-EPONへ移行した後も、CATV事業者は使い慣れたDOCSISのコマンド系で運用することができる。伴氏は「集合住宅棟内の高速化は既設の同軸ケーブルを流用するDOCSIS EoCの利用が普及すると見ており、戸建て住宅の管理も集合住宅の管理もDOCSISで運用する方がシームレスだ。また、DPoEは米国ケーブルラボの認証を得たものなので、メーカーの互換性という観点でも有効な方法となる」と説明している。

4K-IP対応STB「ST4173」

 住友電工の4K対応セットトップボックス「ST4173」は、Googleが提供するテレビ向けOS「Android TV」を採用した製品。全国のCATV事業者が制作した放送を総合編集した「ケーブル4K-IP放送」はもちろん、各事業者の自主IP放送も受信することができる。
 「ST4173」は、CATV事業者が使用するIPマルチキャストサービスが端末まで問題なく伝送できるかの確認ツール/実証機としてニーズを見込んでいる。将来的に全ての映像がIP化する方向にあるが、本格導入までに解決すべき課題がまだ潜んでいると同社は考えている。
 また、住友電工の技術力をアピールとして、展示会では10G-EPON OLTと集合住宅の既設棟内同軸網を活用したEoCを経由し4K映像を流すデモンストレーションが行われる。

高度化RF伝送システム

 CATVにおいて高度BS17ch試験放送の再送信が可能となる環境への対応を見据えた高度化デジタルヘッドエンドや2018年の4K/8K実用放送の3.2GHz(BS・CS左旋)IF伝送に対応した光送受信機システムといったRF伝送の高度化についても展示を行う。
 さらに、ヘッドエンドの省スペース化製品として、HITSトランスモジュレータをHOG受信機に内蔵したIP-QAMエキサイタや地デジ自主センター機の中にOFDM変調器を一体化した製品の展示を行う。
 同社はこのように、RF系の技術もまだまま進化すると考え、目配りを怠らないようにしている。

伊藤忠ケーブルシステム
Viaviソリューションズ(旧:ジェイディーエスユー・ティーアンドエム)
NTTアドバンステクノロジ
シンクレイヤ
データコントロルズ
フジクラ
三菱電機

特集TOPへ戻る

関連記事

海外TOPICS

有料 nbnが、Nokiaプラットフォームによる10G、25G、50G、100G PONのライブネットワーク デモンストレーションに成功。様々なユースケースで最適な速度とコストポイントの選択が可能に

 Nokiaは4月17日(エスポー)、NBN Co (以下、nbn)が、Nokiaのプラットフォームによる複数の次世代 PON テクノロジーのライブネットワーク デモンストレーションを実施し、世界で初めて…
更新

続きを見る

テレコム

無料 一芯双方向の光ファイバ網での家庭向け10G-EPON通信と 法人サービス向けICE-Xコヒーレント通信の重畳試験に成功【住友電工】

 住友電工は9月27日、家庭向けの10G-EPON通信と、Infineraの法人サービス向け高速通信を実現するICE-Xコヒーレント通信が、一本の光ファイバで通信できることを、8月に住友電工 大阪製作所にて実証したと発表…

更新

続きを見る