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数年先を見据えたCATV伝送路の整備(5)

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シンクレイヤ

 シンクレイヤは独自のFTTHシステム「10G R-PON」を始め、ケーブルネットワークに対応する様々なシステムやソリューションを展示する。ブースでは各種FTTHシステム、HFCシステム、DOCSISシステム、集合住宅対応システム、これらの統合管理システムを展示。また、Wi-Fiソリューションや、地域BWAシステム、告知放送システム、MCAシステムも紹介される。

シンクレイヤ独自のR-PONシステムを10Gに高速化

 光伝送路の冗長化が可能なFTTHシステムであるR-PONを10Gに高速化した10G R-PONが、今回の注目ソリューションだ。既にR-PONを敷設している場合は、センター側装置と加入者側端末を変えるだけで10G R-PONへ移行できるという。
 R-PONシステムは、センター内機器や伝送路の冗長によりネットワークの強靭化を実現している。光増幅器、スイッチ、モニタといった機器をセンターに纏めていることから、伝送路には電力の必要な機器を配置しない。伝送路で故障が発生した場合は自動的にサブのバックアップルートに切り替わる仕組みなので、FTTHのメリットを活かしながらHFC以上の信頼性を確保することができる。シンクレイヤは三菱電機社のGE-PON(1G、2.5G)とファーウェイ社のG-PONの双方の方式の機器を提供しているので、CATV事業者は敷設するエリアに適したPON方式でR-PONシステムを構築できる。また、シンクレイヤの統合管理システムはGE-PONとG-PONの両方に対応している。シンクレイヤ 経営企画部 次長 兼 パブリシティ課 課長の高橋誠氏は「お客様のご要望にお応えできるよう、GE-PONとG-PONをご提供している。それぞれの方式にメリット・デメリットがあるので、弊社のネットワークシステム推進部が専属でお客様にご提案できる体制を整えている。今回は10G-EPONやXG-PONも含めてご紹介する」と話す。
 光化への更改を徐々に進めていくというニーズにも応えられるよう、R-PONシステムは既存HFCとのサイマル運用も可能だ。HFCシステムとの共存エリア、HFC改修エリアとに分けることでシステムの柔軟な対応ができる。HFCの部分は光のループで繋いでそのまま活用する方法や、アンプのリプレースなども可能で、HFCエリアを有効に活かすことができる。
 集合住宅の高速化に対しては、集合住宅用RFoG端末や、棟内型光ノード、Cable Media Converter (CMC)で対応できる。

GE-PONやG-PONの統合管理システム

 GE-PONやG-PONのセンター機器から加入者端末まで、システムの監視を一括して行うことが可能な統合管理システムは、各機能をモジュール化したことで様々な運用に対応できる。例えば最初は必要な機能を絞った構成から始めて、後から別の機能を追加することも可能だ。将来の新たなサービスに対しても対応できる拡張性も備えている。エリアごとにGE-PONやG-PONを使い分けている場合でも、このシステムで一元管理することができる。

FTTHに最適な省スペースサブラックの対応ユニットが増加

 高密度実装が可能な新型3U光サブラック「SFHS-7300」は、同社従来品の5Uラックに対して体積を49%ダウンさせている。今回の注目点は3Uラックへの対応ユニットが拡充したことだ。新製品を含めたラインナップは次の通り。

  • 光増幅ユニット(2,4,8port)
  • 1×2光スイッチ
  • 8+1光スイッチ
  • 光送信ユニット(1310nm、1GHz)
  • 光送信ユニット(1550nm、1GHz)
  • 光送信ユニット(1550nm、2.6GHz)
  • 光受信ユニット
  • 1Uサブラックシャーシ
3U光サブラック「SFHS-7300」

3U光サブラック「SFHS-7300」

FTTH集合住宅対応システム

 既設の集合住宅の高速化については、DOCSIS3.0の高速性を活かしたノードタイプのCable Media Converter(CMC)を提案している。従来のDOCSIS技術をそのまま利用しているので、従来の機器を流用しながらFTTH移行時の戸引き配線が難しい集合住宅の取り込みが可能となる。
 上位接続はギガビットEthernetかPONのSFPで接続。棟内の上り流合雑音の影響範囲はCMC配下のみに抑えられる。SNRが改善されるので、高速な変調方式を選択できる。
 高橋氏は「KDDIケーブルプラス電話やSoftBankケーブルライン電話の認定対応も済んでいる」と話す。

1GHz対応機器による広帯域化

 HFCの新製品では、1GHz対応の延長増幅器と保安器がリリースされた。これらの製品を使うことで、伝送路の少セル化や広帯域化において、機器のリプレースを円滑に進めることができる。
 延長増幅器「EA-1001-U」は下り1GHz、上り60MHzまで拡張し、各種通信系サービスに帯域を有効利用できる。高出力、低出力電力設計の為、従来機器の代替としても使用可能だ。
 1GHz対応の保安器は15MHzハイパスフィルタを搭載したTV、DATAの両方で使用可能な製品。双方向、双方向型1分岐、双方向型2分配をラインナップしている。漏洩特性に優れた圧入タイプ蓋構造の非絶縁型。

DOCSIS3.1対応システム

 シンクレイヤが扱うARRIS社のCMTS「ARRIS E6000」はDOCSIS3.0に対応し、ソフトウェアアップグレードでDOCSIS3.1下り出力もサポートできる製品。高橋氏は「DOCSIS3.1のお問い合わせは増え始めた」と話している。
 1台のシャーシでDCAMあたり最大 256DS(DOCSIS用)、UCAMあたり最大 96USと、高密度ダウンストリーム、アップストリームを実現している。
 全てのコンポーネントが1+1 あるいはN+1の冗長性を備えており、ヒットレスRFスペアリングやホットスワップ可能といった特長も備えている。
 「ARRIS E6000」は世界で5,000シャーシ以上を運用中とのことなので、市場トップシェアと考えて良い。Remote PHYとの接続も開発中だ。高橋氏は「今後は10G EPON OLTカードの開発も予定している」と話す。

Wi-Fiソリューション

 Wi-Fiソリューションでは、普段利用している本人認証済みのソーシャルアカウントで制約の無い、安全で簡単なWi-Fi認証システムを提案する。高橋氏は「弊社はクラウドを経由した認証システムを開発しており、Facebook、Twitter、google+、LINE、そして中国のWeiboにワンクリックで認証して入ることができる」と話している。

業界最小の告知放送システムに機能を追加

 シンクレイヤは20年以上に亘り告知放送システムを提供している。気象庁の緊急地震速報や気象警報・注意報、津波警報、全国瞬時警報システム〔J-ALERT〕に対応する告知放送端末「AFM-300」、「AFM-400」、「AFM-500」、「AFM-600」シリーズを展開しており、ブースでは今年の新モデルとなる「AFM-612C」も紹介される。
 「AFM-612C」は、業界最小の告知端末「AFM-600」シリーズと同様の98mm×148mm(縦×横)というハガキサイズと38mmという薄さに、AM受信や録音・再生機能を追加した製品。自立スタンドによる据え置きや、壁掛けが可能だ。緊急時には音だけでは無く拡散型ランプの点滅により確実に緊急情報を伝達する。地域内を複数のグループに分割して同時に異なる放送を行うことも可能だ。FTTHとHFCの両方に対応している。高橋氏は「お客様からのご要望により様々な機能を盛り込んだ」と話している。

BCP対策用無線システム

 シンクレイヤが2014年に子会社化した奥田電気工業の製品では、BCP(事業継続計画)対策の非常用ネットワークとして注目を集めている無線システムが紹介される。簡易無線、MCA無線、IP無線機のほか、車載機をAC12V/24V、AC100V、バッテリで運用可能な同社オリジナル製品となる3WAY電源装置「ODK320PSⅡ」もラインナップしている。

伊藤忠ケーブルシステム
Viaviソリューションズ(旧:ジェイディーエスユー・ティーアンドエム)
NTTアドバンステクノロジ
住友電気工業
データコントロルズ
フジクラ
三菱電機

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