AT&TとCiscoが、包括的なセキュア アクセス サービス エッジ(SASE)ソリューションを提供
期間限定無料公開 有料期間限定無料公開中
AT&T BusinessとCiscoは8月27日(ダラスおよびカリフォルニア州サンノゼ)、包括的なクラウド配信型ネットワーキングおよびセキュリティソリューションである、新しいAT&T Secure Access Service Edge(SASE)with Ciscoを発表した。
両社は「この協業は、今日のダイナミックなデジタル環境の課題に対応する、革新的で拡張性に優れた安全なソリューションを構築するという、AT&TとCiscoの共通のビジョンを具体化したものだ」としている。
AT&Tの先進的なネットワークの専門知識とCiscoの最先端のセキュリティおよびネットワーキング技術を組み合わせることで、IT管理をシンプル化し、進化する脅威に対する保護を強化し、信頼性の高い接続を確保する統合サービスを提供する。
AT&T SASE with Ciscoは、複数のブランチを持つ中規模企業や、レガシープラットフォームを近代化する大企業、そして拡張性、セキュリティ、レジリエンスの最適化に重点を置く高度に分散化されたグローバル企業まで、幅広い組織をサポートするように設計されている。
両社は「断片化されたマルチベンダ ソリューションは、複雑さとセキュリティ ギャップを生み出す。対してAT&T SASE with Ciscoは、クラウドネイティブなアーキテクチャを提供し、一貫したセキュリティ、最適化されたアプリケーション パフォーマンス、そしてプロアクティブなネットワーク管理を単一プラットフォームで実現する。このソリューションには、インテリジェントなゼロトラスト セキュリティ、予測的なパス最適化、集中的なポリシー適用も含まれており、これらはすべてIT運用の簡素化とユーザ エクスペリエンスの向上につながる」としている。
AT&T Businessのプロダクト責任者であるShawn Hakl氏は「今日の企業は、シームレスな接続を実現するだけでなく、デバイスとデータを保護する高度なセキュリティを提供するソリューションを求めている」とし、「Ciscoとの長年にわたる関係により、ネットワーク管理をシンプル化し、セキュリティを強化する統合型クラウドベース サービスを提供することで、急速に変化する環境において企業が安全に成長し、適応していくことが可能になる」とコメントを出している。
AT&T SASE with Ciscoの主な機能とメリットは次の通り。
・堅牢なセキュア・サービス・エッジ(SSE)の導入による多層防御
・SD-WANを活用したインテリジェントなネットワークルーティングと最適化
・エッジからクラウドまでの監視とレポート機能の強化
・自動化されたセキュリティワークフローとリアルタイムの脅威インテリジェンス
・マルチクラウド接続によるプラットフォーム間のシームレスな統合
・単一の統合サービスによる簡素化されたネットワーク管理
・エッジからクラウドまで、ネットワーク全体のユーザ、デバイス、データを保護する高度なセキュリティ
Ciscoのセキュリティ担当SVP 兼 最高製品責任者であるRaj Chopra氏は「AT&Tとの提携により、今日の企業が求める業界最先端のセキュリティとパフォーマンスを備えた統合型SASEソリューションを提供できることを誇りに思っている。Ciscoの先進的なセキュリティおよびSD-WANテクノロジーとAT&Tの強力なネットワークを組み合わせることで、あらゆる規模の企業が、ユーザやデバイスの所在地を問わず、安全で拡張性に優れ、効率的な接続を実現できるよう支援する」とコメントを出している。
AT&T SASE with Ciscoは、信頼性の高い接続と高度なセキュリティを兼ね備えた組織向けのソリューションだ。AT&TとCiscoは「我々は、あらゆる規模の企業が時代を先取りし、ますます接続が進む世界において成長できるよう、革新的なソリューションを提供し続ける」としている。
編集部備考
・AT&TとCiscoによる包括的なSASEソリューションは、単なるセキュリティ強化にとどまらず、従来の複雑さを解消し、リモートワークやクラウド、エッジ環境を念頭に置いた新しいサービス提供モデルを示している点で画期的だ。
例えば、エッジをカバーすることで、リモートワーク時代のブランチも含めたセキュア環境が強化される。これは、単なる「リモートワーク対応のセキュリティ強化」ではなく、SASEの理念に基づく真の意味でのネットワークとセキュリティの融合・クラウドネイティブ化・運用の自動化を実現した点が革新的だ。従来のVPN/データセンタ中心型から、一線を画す取り組みとも言えるだろう。
・こうした包括的なSASEの実現において、シングルベンダの場合、SD-WAN(拠点・エッジ側)と SSE(クラウド/セキュリティ機能)を一元的に統合できる強みが有り、複数ベンダの組み合わせで課題となりがちな「境界の設定ずれ」や「機能統合の複雑さ」が減り、結果的にエッジやブランチまで一貫してカバーしやすくなる。かと言って、エッジやブランチをカバーすること自体は、SD-WANやSSE機能の設計次第でマルチベンダ構成でも可能であり、シングルベンダというのが必須の条件ではない。
それを踏まえて「AT&T SASE with Cisco」が打ち出された理由を考察すると、「Ciscoが製品ポートフォリオを急拡大したことにより、シングルベンダによる包括的なSASEソリューションを商用レベルで打ち出すことができた」ことが考えられる。Ciscoはこの一年程で、「SSE 領域の充実(Umbrella による SWG、CASB、ZTNA 機能の拡張)」「SD-WANの拡張(Catalyst SD-WAN での高機能化、マルチクラウド接続強化)」「セキュリティ クラウドという統合ブランドを打ち出し、可視性・脅威情報・AIを統合」「買収や機能追加による一気のポートフォリオ完成(特に ZTNA、観測性、AI Ops系)」を実現している。これによって 「ネットワーク(SD-WAN)+セキュリティ(SSE)+可視性(Observability)」を Cisco 単独で提供できる体制が整った。
そして、このCiscoの製品ポートフォリオを活かすことができたのがAT&Tであり、既に「AT&T Business」ブランドでマネージドネットワーク+セキュリティのサービスを多数展開しているので、今回の「AT&T SASE with Cisco」のようにSASEを製品ではなくサービスとして提供できる土台が既に構築されていた。顧客企業にとっては「Ciscoのソリューションを自分で組み合わせる」のではなく、「AT&Tに任せれば導入・設定・監視・アップデート・24/7 運用までフルアウトソースできる」のは大きなメリットだ。これも、シングルベンダ型SASEを実用的に成立させた要素と言えるだろう。
本件のユニークな点は、「グローバルにおけるオープン化の潮流(マルチベンダ前提)」の中で、「シングルベンダ統合によるシンプル化や安心感」を強力なインパクトで示したことだ。「AT&T SASE with Cisco」の今後の動向は、オープン化(マルチベンダ)vsシングルベンダ統合という対立軸ではなく、双方の路線で技術やエコシステムが進化し、顧客の選択肢が増えていく流れの一つとして期待したい。