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光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー:清水 克宏氏【三菱電機】

INTERVIEW 有料

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■コースリーダー
三菱電機(株) 清水 克宏

■講演タイトル
FOE-3
Beyond 5G/6G時代の超拡張性を実現する光衛星通信

■講演者
(国研)情報通信研究機構ネットワーク研究所
ワイヤレスネットワーク研究センター 研究センター長
豊嶋 守生

三菱電機(株)
コミュニケーション・ ネットワーク製作所 所長
清水 克宏氏

 B5Gや6Gの時代には、衛星通信システムを包含して通信ネットワークをグローバルに拡張する非地上系ネットワーク(NTN)における通信の高度化が重要になる。講演では、その鍵を握る光ファイバ通信技術とも親和性が高い光衛星通信について紹介し、ワイヤレスネットワーク技術の将来像を解説するという。
 清水氏は「光衛星通信への関心は国際的に高まっている。この通信手段であれば、地上系では届きにくいロケーションをカバーでき、周波数の逼迫も無く、セキュリティにも優れ、災害にも強い。ただし、レーザを絞った送受信の難しさなどの課題もあるので、どこでも使えるというものではないが、地上系とは独立したネットワークとして補完できる。今回の講演では、NICTにおける光衛星通信への取り組みや、量子暗号通信、欧州における研究開発、そして衛星を使った最近の実験結果を解説し、衛星通信の将来像や、5GやB5Gにおける位置付けを示す予定だ」と話している

 登壇する豊嶋氏は、小型光トランスポンダ(SOTA)を用いた世界初の50kg級小型衛星―地上間のレーザ通信実験および量子通信基礎実験を、成功裏に実施した人物。今回の講演では、NICTのワイヤレスネットワーク研究を牽引する立場から見える将来像を聴くことができるだろう。清水氏は「光衛星通信を取り上げるにあたり、既存の通信にも詳しい方ということで講演を依頼した。光衛星通信のポイントである高感度な受信や暗号化といった技術は、光通信分野が長年取り組んでいる技術でもあるので、光通信技術展に来場される方々にとっては自分達が良く知っている技術の応用先となる。豊嶋氏からは、B5Gや6Gの世界をイメージする中でも大切なパーツとなる光衛星通信について、従来の光ファイバ通信との類似性や、シナジー効果についても解説いただけるだろう」と話している。

■講演タイトル
FOE-5
コヒーレント光センサ技術の応用例と今後の展望

■講演者
三菱電機(株)
情報技術総合研究所 光技術部 EOシステムグループ グループリーダー
今城 勝治

 光コヒーレント通信で適用されている光ヘテロダイン検波や周波数測定、光周波数同期技術は、気象・環境、産業、自動運転分野における距離計測や分光、振動計測等などの光計測にて広く適用されている。講演では、三菱電機での開発事例や取り組みを紹介しながら、特にコヒーレント光センサ技術に関する今後の展望について解説される。
 清水氏は「コヒーレントの適用は光通信よりも計測の方が先であり、光通信でコヒーレントが普及したことで様々なデバイスの質が上がり、種類が増え、値段も安くなり、計測側もレベルアップしているという背景がある。講演では、光通信技術と光計測の共通点や、コヒーレント光センサの原理といった基礎的な部分から分かり易く解説する」と話す。

 登壇する今城氏は、三菱電機で光を用いた計測・通信システムに係わる研究開発に従事している人物。同社のコヒーレント光技術を用いたLIDARは、空港で風の強さや向きを測る用途で使われている。このLIDARは、大気中のエアロゾルからの反射という微細な三次元データを読み解くためにハイエンドな光デバイスを用いており、遠方の風の分布や湿度の分布を高精度で把握できる。例えば、航空機前方の乱流を検知することで、飛行中の安全確保にも貢献している。
 光通信とは全く異なるアプリケーションだが、清水氏は「当社のコヒーレント光センサ技術を研究している部門と、光通信技術を研究している部門は、同じデバイス、似たようなデバイスを使っており、両分野の技術は非常に近いと言える」と話している。

 コヒーレント光センサ技術による風計測は、風力発電の発電予測や突風検知、産業監視といった用途でも期待されている。また気象予測の精度向上でも期待されているので、前述の風力発電だけでなく、太陽光発電の発電予測でもコヒーレント技術が貢献するかもしれない。光通信技術を応用したグリーン化の新たなアプローチを探るという意味でも、今城氏の講演は興味深い。
 センサ用途の広がりについて清水氏は「IoT展開でバーチャルな世界を創っていくためには多くのセンサが必要となり、コヒーレント光センサ技術はその代表的なセンサになりうる。例えばデジタルツインでは高精度なセンサが求められるので、IOWNにも繋がる技術になると期待している」と話す。
(OPTCOM編集部)

特集目次

「通信・放送Week 2022」開催直前 主催者インタビュー

■光通信技術展 専門技術セミナー委員インタビュー

中村 二朗氏【NTTアドバンステクノロジ】
FOE-K IOWN構想の実現に向けて

土井 健嗣氏【日本電気】
FOE-1 光トランシーバーの最新動向と新冷戦による影響
FOE-13 クライアント側高速光トランシーバの動向、データレートとフォームファクタの進化

石部 和彦氏【アンリツ】
FOE-2 Siフォトニクス(トランシーバ技術)アイオーコア社の最新技術動向
FOE-6 ハイパースケールDC向け800Gbps/1.6Tbps光トランシーバの標準化・技術動向

清水 克宏氏【三菱電機】
FOE-3 Beyond 5G/6G時代の超拡張性を実現する光衛星通信
FOE-5 コヒーレント光センサ技術の応用例と今後の展望

鈴木 貴智氏【キーサイト・テクノロジー】
FOE-4 プラガブル光トランシーバ測定の基礎

佐藤 良明氏【NTTエレクトロニクス】
FOE-7 Telecom Infra Project ~オープンかつディスアグリゲートされた、持続可能なトランスポートネットワークの構築~

笹岡 英資氏【住友電気工業】
FOE-8 伝送用光ファイバの基礎と将来展望

谷口 和彦氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】
FOE-9 空間分割多重光伝送技術の最新動向と今後の展開
FOE-12 光とASIC(特定用途向け集積回路)のコパッケージへの挑戦

太田 寿彦氏【古河電気工業】
FOE-10 海底光ケーブルシステムの大容量化に向けた技術動向
FOE-14 化合物半導体/シリコン異種材料集積技術を用いた光集積回路

和田 悟氏【フジクラ】
FOE-11 IOWN構想実現に向けた光ファイバ技術への期待と今後の展望

岡安 雅信氏【華為技術日本】
FOE-15 Beyond 400Gコヒーレント光トランシーバの市場・技術動向

■「通信・放送Week 2022」出展製品Preview

アダマンド並木精密宝石
NICT採択の自己形成導波路など紹介

NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)
ネットワーク保守、インフラ設備保全、光コネクタ製造を幅広く展示

キーサイト・テクノロジー
120 GbaudのBERTや、超高速デジタルコヒーレント光伝送評価のAWG

精工技研
作業効率の良い同社オリジナルのLCユニブーツコネクタや、機能が追加された光コネクタ研磨機

センコーアドバンス
高密度型SN-MTコネクタを用いた400G伝送ライブデモ

光貿易
超高速RFモジュール製作請負サービスや、他の追随を許さぬ超高分解能OSA

横河計測
多心ファイバ測定に優れたOTDRや、高分解能と高速測定を両立したOSA

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