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FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー【FOE-8】 グローバル規模で急拡大する光アクセスサービスの最新動向とそれを支えるPON技術

INTERVIEW 有料

NTTアドバンステクノロジ(株)
常務取締役 先端プロダクツ事業本部長
知的財産ビジネスセンタ担当
丸野 透様


コースリーダー:
NTTアドバンステクノロジ(株) 丸野 透
サブリーダー:
華為技術日本㈱ 滝広 眞利

 日本国内に関してのみ言えば、光アクセス市場の状況は決して良くはない。また、FTTHを牽引していた中国に関しても、5G投資に備えてFTTH投資に関しては手控え気味という感がある。しかしながら、より高速で確実なアクセス手段という点では、モバイル通信よりもPONを用いた光アクセスサービスであることに疑いは無い。PONシステムの投資コストが低減され、さらにPONを用いたサービス展開がユーザの利用意欲を昂進させることで、今後のアクセスサービスはワールドワイドの隅々まで行き渡ることとなるだろう。何よりも手軽さを旨とするモバイル通信と確実な品質をもたらす光アクセス通信とは互いに補完しあう関係と言える。各国の状況によって、モバイルインフラ設備投資と光アクセスインフラ投資の順番が前後する関係にはあるが、特に今後海外で求められる課題は最新のPONシステムの導入であり、その導入に最も貢献できる可能性があるのはPONの生みの親である日本のベンダと言えるかもしれない。このセッションを聴講することで、最新のPON技術とはどのようなものか、それによってどのようなサービス展開が可能なのかを理解することが、今後の日本ベンダのビジネスチャンスに直結し得ることだろう。

NTT東日本における光アクセスサービスの現状と今後の展望
東日本電信電話(株)
ビジネス開発本部アクセスサービス担当 担当部長
滝口 英樹

 「滝口氏はNTT東日本の中でサービス開発の最前線の方だ。現有設備を有効活用した「光コラボ」がメイントピックとなるだろう。現状でできることと、そこから類推可能な将来の方向性。有効活用した先に新しいネットワークが必要となるはずだ。現実主義者の多い光アクセス技術者から「有効活用してマーケットが広がった暁には、アクセス系のこんな明るい未来が開けるんだ」という前向きなメッセージを聴いて頂ければ、今後の明るい光アクセスのビジョンにも説得力が増すだろう」と丸野氏は語る。日本においては、世界で一番早く光の幹線が整備され、アクセス網の進歩も早かった。成熟した日本光アクセス市場の現況からすれば、加入者をさらに増やすブレイクスルーとして、やはり利用者が魅力を感じるサービスの充実が必要だろう。新興国なら最新のPONを導入すれば良い話だが、加入者増を促進させるためのPON導入後の方策として、本セッションは耳を傾ける意義がある。

柔軟なアクセスシステムを実現する仮想化・機能部品化技術の取り組み
日本電信電話(株)
NTTアクセスサービスシステム研究所 プロジェクトマネージャ
大髙 明浩

 日本国内では、東西のNTTにおいて具体的なPONのステップアップが検討されている。爆発的な増加を続けるモバイル通信トラフィックを補完する意味でも、アクセスシステムの柔軟なアップグレードは必須課題だ。現在、次世代アクセスシステムにおいて取り上げられることが多いのは、SDN(Software Defined Network)を利用したキャリアネットワークの仮想化であり、そのためにOLT機能をサーバに配置する仮想化OLTの検討もなされ始めている。大高氏による本セッションでは、仮想化の概念から具体的な機器の話題まで取り混ぜて語られることになるだろう。

光アクセスPON標準化の過去と将来
(一社)情報通信技術委員会
代表理事専務理事
前田 洋一

 「FTTH投資については日本から海外へと既に移っているが、海外における標準化、つまり海外のPONはどの方向へ向かってゆくかを中心に語って頂く」と丸野氏は語る。成熟した日本と違って、海外では最新に近く、しかしながら出来るだけコストの勘案されたシステム導入に動くと目される。日本とは異なる環境の中で今後どのようなPONが標準化されていくのか、本セッションはそれらを正確にベンチマーキングしておくための貴重な機会となる。
 「FTTHは日本発の技術であり、その意味では『日本が世界を牽引するんだ』という強い気概を持って取り組むべきだ。実際に、強く実行するべきだし、これからもそうでなければならないと考えている。そうあるための現状把握と今後の展望を知っておく場であると認識して本コースに参加して頂ければありがたい」と丸野氏は強く望んでいる。PONの主戦場は確かに海外へと移っているが、より大きなスケールで戦うためには価格だけが有効な武器ではない。今後も進化を続けるPONシステムの中で、サービスも含めた最新動向を押さえておくことが激しい競争を生き残るための羅針盤となることだろう。
(OPTCOM編集部 井上政基)

FOE専門技術セミナー委員Interview一覧

【FOE-K】 5G・データセンター・IoT ~光ネットワークで広がる未来~
【FOE-1】 光技術の今後と新たな展開~通信市場と新たな市場への展開~
【FOE-2】 データセンタネットワーク戦略と最新の技術動向
【FOE-3】 急成長する映像配信サービス市場 ~事業者の戦略とIP配信技術の最新動向~
【FOE-4】 5Gで変わること、光通信に期待されること
【FOE-5】 大洋横断からデータセンタや各家庭まで、くまなく展がる情報網を支える光ファイバ技術
【FOE-6】 【基礎講座】クラウド・データセンタを支えるトランシーバの基礎と測定
【FOE-7】 基礎から実用化アプリケーションまで、シリコンフォトニクステクノロジーの最新動向
【FOE-8】グローバル規模で急拡大する光アクセスサービスの最新動向とそれを支えるPON技術
【FOE-9】 次世代超高速光通信トランスポートネットワークを支える光部品の最新技術動向
【FOE-10】 超高速トランシーバの最新動向